葬儀における菩提寺の役割と連絡方法 〜菩提寺がない場合の対応も解説〜

親族が亡くなり、葬儀の手配をする中で「菩提寺はどちらですか」と尋ねられ、答えに困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、「今すぐではないものの、わが家の菩提寺がどこかわからず不安」という方もいらっしゃるかもしれません。
菩提寺(ぼだいじ)とは、先祖代々のお墓があり、葬儀や法要をお願いするお寺 のことです。
本記事では、葬儀前に菩提寺へ連絡すべきことや、菩提寺がない場合の葬儀の進め方について解説しています。さらに、菩提寺を変更したい場合の注意点についても解説していますので、菩提寺について詳しく知りたい方はぜひ最後までお読みください。
葬儀における菩提寺の役割と重要性
菩提寺とは、先祖代々のお墓を管理し、家族の供養を担ってくれるお寺 のことです。先祖代々のお付き合いがあることから、家族の実家近くのお寺が菩提寺であることが多く、僧侶とも信頼関係が築かれています。
菩提寺がある場合、葬儀は基本的にそのお寺に依頼し、読経や供養をはじめ、四十九日以降の法要についても相談できます。葬儀後は、先祖代々のお墓に納骨できるほか、納骨後のお墓の管理もお任せできます。新盆などの供養についても丁寧に教えてもらえるでしょう。
ただし、菩提寺が遠方にある場合は、葬儀が難しいこともあります。後々トラブルになることを防ぐためにも、まずは亡くなったことを菩提寺に伝えることが大切です。 菩提寺に連絡をせずに葬儀を進めてしまうと、納骨を断られるなどのトラブルにつながる恐れがあるため、丁寧な対応を心がけましょう。
葬儀前に菩提寺に連絡すべきこと
葬儀の準備を進める中で菩提寺への連絡は欠かせません。早い段階で菩提寺に訃報を伝え、通夜や葬儀の日程を決めることが大切です。以下では、訃報の連絡方法とタイミングや初回連絡時に確認すべき事柄、菩提寺側から聞かれる可能性のある質問と答え方について解説します。
訃報の連絡方法とタイミング
菩提寺への連絡は、 ご遺体を安置し葬儀社と今後の流れを話し合った後、電話で行うのがおすすめ です。これは、菩提寺に連絡したときに通夜や葬儀などの日程について相談するためです。
一般的には朝7時から深夜0時までの連絡であれば失礼にはあたりませんが、中には「葬儀の連絡は何時でも構いません」と言ってくださるお寺もあります。そのため、可能であれば いつ電話するべきか事前に確認できると安心 でしょう。
初回連絡時に確認すべき事項リスト
お寺へ最初に連絡する際は、以下について確認しましょう。
☐通夜・葬儀日時
お寺のご都合をお伺いしつつ、希望時間があればお伝えします。
☐枕経のタイミング
枕経をいつ行っていただけるかを伺います。すぐにお越しいただける場合もあれば、通夜のときに一緒に行う場合もあります。
☐お勤めいただく人数
葬儀でお勤めいただくお寺様の人数を伺います。家族葬が多くなり、導師のみ1名でお勤めいただくことが増えましたが、もともとは導師に加えて脇導師が1名〜4名で行うことが一般的でした。
☐お布施
お布施の金額はお寺によって決まっていることも多いため、遠慮せずに伺いましょう。脇導師がいるときは、脇導師へのお布施の金額についても伺います。もし尋ねづらかったら、お布施の相場についてはその地域の事情をよく知る葬儀社にアドバイスいただくのも良いでしょう。
☐初七日のタイミング
初七日法要を葬儀当日に行うことも多くなりました。葬儀当日に初七日をまとめて行いたい場合は、事前にお願いしておきます。
菩提寺側から聞かれる可能性のある質問と答え方
お寺は、誰の葬儀がどこで行われるのか正確に把握する必要があります。突然のことでなかなか準備ができない可能性もありますが、事前に情報をまとめておくとスムーズに答えられます。
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故人の名前、生年月日、年齢
答え方:「故人の名前は○○(漢字)です。生年月日は○○○○年○月○日です。」 -
死亡日時と享年
答え方:「「○月○日、○時に亡くなりました。享年は○○歳です。」 -
住所や連絡先
答え方:「故人の住所は○○市○○町○○番地です。連絡先は、○○(遺族名)の携帯電話番号(または自宅電話番号)です。」 -
葬儀の場所と規模
答え方:「葬儀は○○会館で行います。規模は家族葬です。」 -
戒名の希望
答え方:「○○(院号、軒号など)の戒名を希望しています。」
菩提寺がない場合の葬儀の進め方
菩提寺がない場合はどのように葬儀の準備を進めればよいのでしょうか。急な葬儀であっても安心して進めるためには、お寺探しの方法や葬儀社を通して依頼する流れを知っておくことが大切です。ここでは、 急な葬儀のための寺院探しのポイントや、葬儀社経由で依頼する方法をご紹介します。
急な葬儀のための寺院探しのポイント
急な葬儀でお寺探しが必要になった場合、3つの方法があります。 1つは、親族や友人から紹介してもらう方法で、2つめは葬儀社に紹介してもらう方法、3つめはご自身で探す方法 です。
もし葬儀だけでなく、法要や納骨など長いお付き合いをするお寺を探すのであれば、近所に住んでいる親族や友人に相談し、菩提寺を紹介してもらうのが一番安心です。実際にそのお寺とお付き合いがある本人から紹介してもらうことになるため、お付き合いのしづらいお寺を避けることができます。
菩提寺としてのお付き合いは考えておらず、今回の葬儀だけをお願いしたい場合や、親族や友人から紹介してもらえない場合は、葬儀社に紹介してもらうのもいいでしょう。ただし、葬儀社は多数のお寺と繋がりがあるため、「特定のお寺を紹介することはできない」と言われてしまう場合もあります。
もしもご自身でお寺を探したい場合は、過去に関わったお寺や地域の行事で知ったお寺を思い出してみてください。自分の目で選ぶことで、葬儀だけでなく法要や納骨も任せられるお寺と出会える安心感があります。ただし、時間と手間がかかるため、無理のない範囲で検討しましょう。
菩提寺を変えたい・新しく選びたい場合の葬式対応
菩提寺との関係が薄れていたり、遠方などで今後の供養が難しくなったりする場合、葬儀をきっかけに新たな菩提寺を選ぶことがあります。ただし、宗教的な慣習や地域とのつながりに配慮が必要です。
以下では、もとの菩提寺との関係が疎遠な場合の対処法や、葬儀をきっかけに新しい菩提寺を検討する際の注意点、変更手続きのタイミングについて解説します。
以前の菩提寺との関係が疎遠な場合の対処法
以前の菩提寺と疎遠になっている場合は、寺院の変更(離檀)を検討することも選択肢の一つです。遠方で通えないなどきちんとした理由があれば僧侶の理解を得やすいでしょう。
離檀が決まったら、墓じまい業者に墓石の解体を依頼し、「改葬許可証」や新たな墓地の「受入証明書」などの書類を準備しましょう。
寺院の変更には、墓石の撤去費用や新しいお墓の購入費用のほか、離檀料が必要になる場合があります。離檀料は、これまでお墓を守っていただいたことや、お世話になったことへの感謝の気持ちを表した「お気持ち」として包むものであり、必ずしも納める義務はありません。しかし、お寺によっては金額を明示して請求されるケースもあるようです。
葬儀を機に新しい菩提寺を検討する際の注意点
葬儀を機に新たな菩提寺を検討する際は、 もとの菩提寺とトラブルにならないよう、事前によく相談することが大切 です。菩提寺は、先祖代々のお墓を管理し、供養してくれてきた大切な存在です。そのため、変更を希望する場合はその理由を丁寧に説明し、感謝の気持ちをきちんと伝えましょう。円満な話し合いを心がけることが重要です。
また、お墓の解体と新設をあわせると、少なく見積もっても100万円程度の費用がかかるとされています。そのため、菩提寺の変更は気軽にできるものではなく、あらかじめ十分な費用を確保しておく必要があります。
さらに、地元のお寺との関係は地域全体との関係にもかかわってきます。檀家を離れることで、親族やご近所の方々との間にトラブルが生じることもあります。特に地域独自の慣習が強い場合は、あらかじめ親族や関係者にも話を通しておくと安心です。
菩提寺変更の手続きのタイミング(葬儀前か葬儀後か)
菩提寺の変更手続きは、 基本的には葬儀後に行うことが一般的 です。
葬儀の段階では、これまでお世話になってきた菩提寺に対応してもらうことで、先祖への礼を尽くすことができ、地域や親族との関係にも配慮ができます。無用なトラブルを避けるためにも、葬儀後に落ち着いてから菩提寺の変更についての相談や手続きを始めるとよいでしょう。
ただし、宗教的な理由や家族の強い希望がある場合には、葬儀前に検討することも可能です。その際は関係者に丁寧な説明と相談を行うことが重要です。
まとめ
葬儀前に菩提寺に連絡すべきことや、菩提寺がない場合の葬儀の進め方、菩提寺を変更したい場合の注意点などについて解説してきました。
菩提寺とは先祖代々のお墓があるお寺で、葬儀や法要を担ってくれる大切な存在です。葬儀を行う前には必ず菩提寺に連絡し、相談をしたうえで進めることが大切です。菩提寺が遠方にある場合も、まずは事情を伝え、指示を仰ぎましょう。
菩提寺がない場合や変更したい場合も、勝手に進めるのではなく、丁寧に説明しながら手続きを行うことで、後々のトラブルを回避することにつながります。先祖供養のためにも、関係を大切にしていきたいものです。
本記事がお役に立てましたら幸いです。
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