適切な焼香のやり方を学ぶために基本から宗派別までわかりやすく解説
「葬儀に参列することになったが、焼香のやり方がよくわからない」とお困りですか。
焼香には基本のやり方がありますが、葬儀形式や宗派によって異なるため、どうしたらいいか迷いますよね。
そこで本記事では、焼香の基本のやり方から、葬儀形式と宗派別の違いについて解説しています。
焼香での数珠の持ち方や、順番についても説明していますので、焼香のやり方について知りたい方はぜひ最後までお読みください。
焼香とは
焼香(しょうこう)は、 お香を燃やす儀式や習慣のこと を指します。
儀式の目的は、仏様の食べ物として香りをお供えしたり、故人の幸せに祈りを捧げたりすることです。
焼香に使われるのは、抹香と呼ばれる粉末状のお香や、細い棒状の線香です。
香が炊かれることで、場の雰囲気が清浄になり、心が静かになるとも信じられています。
古くから宗教や精神的な目的で行われてきた焼香は、宗派により作法が異なる点に注意してください。
焼香をする意味
焼香には、いくつかの意味や目的があります。
第一に、 心を穏やかにし、リラックスさせる効果 があります。お香の香りが心地よく、落ち着いた状態に導いてくれるのです。
そのため、焼香は故人を亡くした悲しみを和らげる手助けとなります。
葬儀で焼香をすることは、故人や仏様へのお供えでもあります。香りや煙は、故人や仏様の食事となり、故人を極楽浄土へと導く役割を果たすのです。
さらに、焼香の香りや煙には、場の空気を清める効果もあります。
このように、焼香には多くの意味や目的があり、葬儀においては欠かせない儀式のひとつです。
基本的な焼香のやり方
基本的な焼香のやり方をご紹介します。
まず、右手の親指、人差し指、中指の3本を使って、抹香をつまみます。そして目の高さまで持ち上げ、額におしいただいてください。
その後、指をこすりながら、抹香を香炉の中に落とします。
この動作を、 1回から3回繰り返す のが、焼香です。
宗派によっては、抹香をつまんでそのまま香炉に落としたり、回数が異なったりします。各宗派の焼香のやり方は、この後の「宗派によって異なる焼香のやり方」の章で説明します。
一般的な立礼焼香のやり方
立礼焼香(りつれいしょうこう)とは、焼香の中でもっとも一般的な、 立ったまま行う方法 です。
立礼焼香は、広めの会場で、椅子が用意されている場合に行われます。
立礼焼香の手順は次の通りです。
- 順番が回ってきたら、周囲に会釈をして、遺影の前に進む
- 焼香台の前で、僧侶や遺族に一礼
- 祭壇の遺影に向かって、もう一度一礼
- 焼香
- 遺影に合掌
- 後ろ向きに数歩下がり、僧侶や遺族に一礼
- 席にもどる
和室で行う座礼焼香のやリ方
座礼焼香(ざれいしょうこう)は、 祭壇の前で正座して焼香する方法 です。小規模な会場や自宅など、畳敷きの和室の葬儀で行われます。
祭壇までは、立ち上がらず膝をついて移動(膝行)するのがマナーです。ただし、祭壇が遠い場合は、中腰で移動してもいいでしょう。
座礼焼香の手順は次の通りです。
- 順番が回ってきたら、膝行または中腰で焼香台の手前まで進む
- 焼香台の手前で、僧侶や遺族に一礼
- 遺影に向かって合掌
- 焼香
- 遺影に合掌
- 焼香台の前から下がって、僧侶や遺族に一礼
- 膝行または中腰で席にもどる
狭い場所での回し焼香のやり方
回し焼香(まわししょうこう)とは、 自分の席に着席した状態で焼香する方法 です。参列者は、回ってきたお盆上の、香炉と抹香を使用して焼香をします。
回し焼香は、参列者が多い場合や、場所が狭くて焼香台が置けない場合などに選ばれることがあります。
回し焼香の手順は次の通りです。
- 一礼して隣の人から香炉を受け取る
- 祭壇上の遺影に合掌
- 焼香
- 合掌して、遺影に一礼
- 次の人へ両手で渡す
宗派によって異なる焼香のやり方
焼香の回数や抹香の扱い方は、宗派により違いがあります。基本的には、ご遺族の宗派の作法に従います。
相手側の宗派が自分と異なる場合、どうしても自分の宗派にこだわりがある場合は、自分の宗派のやり方で行ってもいいでしょう。
焼香の回数の違い
宗派により、抹香を香炉にくべる 回数が異なります 。
以下は、各宗派による回数です。
- 真言宗:3回
- 浄土宗:1~3回
- 日蓮宗:1~3回
- 天台宗:1~3回
- 浄土真宗:本願寺派1回
真宗大谷派2回 - 臨済宗:1回
- 曹洞宗:1回
ただし、参列者が多い葬儀では司会者により「焼香は1回で」と案内されることがあります。
焼香の仕方の違い
焼香では、 抹香を額の高さでおしいただいてから香炉にくべるスタイルと、おしいただかず、そのまま香炉にくべるスタイルがあります 。
このスタイルは、宗派により異なりますので、それぞれの宗派ごとの抹香の扱い方は、以下で確認ください。
- 真言宗:抹香を額の高さでおしいただく
- 浄土宗:抹香を額の高さでおしいただく
- 日蓮宗:抹香を額の高さでおしいただく
- 天台宗:抹香を額の高さでおしいただく
- 浄土真宗: 抹香をおしいただかない
- 臨済宗:抹香をおしいただかない
- 曹洞宗:1回目:抹香を 額の高さでおしいただく
2回目: 抹香をおしいただかず、そのまま香炉へ
数珠の持ち方の違い
焼香をする際、 数珠は左手に持ちます 。ただし焼香の前後で、遺影に合掌する際には、数珠を両手に持って行います。
その際の数珠の持ち方が、以下のように宗派によって異なります。
- 真言宗:房が付いた側を左にして、両手の中指に掛ける
- 浄土宗:房を手前に下げ、2つの輪を親指と人差し指で挟む
- 日蓮宗:二輪にして、左手に掛けて両手で挟む
- 天台宗:房を下に垂らし、数珠を二輪にして左手に掛ける
- 浄土真宗:房を下側に、左手に数珠を掛け、右手を通す
- 臨済宗:二輪にして、左手に掛けて両手で挟む
- 曹洞宗:二輪にして、左手に掛けて両手で挟む
焼香をあげる順番に注意
焼香の順番は、どの宗派であっても、故人との縁が深い人から行います。
最初に喪主がお焼香し、その後に遺族や親族、そして参列者が続きます。
遺族や親族内の順番としては
①親または配偶者
②子供
③孫
④兄弟姉妹
子供、孫、兄弟姉妹の順番は、年齢順に行うのが一般的です。ただし、地域によっては同性順や男性優位というケースもありますので、よく相談して決めるといいでしょう。
参列者は、座席順で焼香を行います。祭壇に近い方から順番に焼香台へ向かってください。
また、参列者が多い場合には、複数の焼香台が用意されることもあります。その場合は、列に並んで、空いた焼香台で焼香します。
親族間の焼香の順番で揉めることは、少なくありません。喪主は、あらかじめ周りとよく話し合って、納得する順番で行うことが大切です。
まとめ
焼香のやり方は、葬儀の形式により、次のような方法があることを説明しました。
・立ったまま焼香する方法
・座って焼香する方法
・自席で焼香する方法
また、宗派別に焼香の回数や抹香の扱い、数珠の持ち方も違います。
焼香は、参列した遺族の宗派に従うのが通例です。それぞれの宗派の焼香のやり方を、前もって理解しておくといいでしょう。
焼香のやり方で迷った際は、この記事を参考にしていただけましたら幸いです。