葬想式がグッドデザイン・ニューホープアワード 優秀賞を受賞しました!
葬想式を運営するむじょうの共同創業者でエンジニアの佐々木です。
先日、 2022年度グッドデザイン・ニューホープ賞 にて、葬想式が 優秀賞 を受賞しました!
これまで利用していただいた全ての皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
今回は受賞の経緯とこれまでの葬想式の歩みについて詳しくご紹介させていただきます。
学生版のグッドデザイン賞「グッドデザイン・ニューホープ賞」
みなさん一度は聞いたことや目にしたことがあるグッドデザイン賞。
Gのマークでお馴染みですね。
これは1967年に創設された、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みです。
“デザイン”といえば、インテリアデザインやプロダクトデザインといった、モノのデザインがイメージされることが多いと思いますが、実は、グッドデザイン賞は「情報」や「仕組み」などの幅広いデザインを対象としています。
そして今年2022年に新たにグッドデザイン賞に、学生と新卒1年目までを対象とした「グッドデザイン・ニューホープ賞」が、設立されました。
葬想式を運営するメンバーが学生であること、そして葬想式をより多くの人に知ってもらうきっかけになればと思い、応募させていただきました。
大変嬉しいことに、 応募総数414点の中から、優秀賞8点の中の一つ に選んでいただきました。
これまでご利用いただいた皆様、応援してくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
これまでの葬想式の歩み
きっかけは二人の大学生の会話から
実は、葬想式は大学生二人の会話をきっかけにはじまったプロジェクトです。
2020年4月、世界でコロナウイルスが流行り始め、イタリアで葬儀が中止になっていると聞いた前田(当時大学1年生)は日本も同じような状況になるかもしれないと考え、同じ大学の友人である私佐々木に声をかけました。
将来の日本に必要になるであろうサービスを一緒に作れないかと相談された私は、すぐに「いいね、作ろう」と返事しました。これには訳がありました。
祖父のお葬式で流したスライドショー
実は前田から声をかけられる1年前、私の祖父が亡くなるということがありました。
私は高校生の頃から海外を放浪するため通信制高校に通いたいなどたくさんのわがままを言ってきました。
しかし、私の祖父は、どんな選択もいつも後押ししてくれるとても優しい人でした。
そんな祖父の葬儀でできることは何かでできることはないかと考えた私は、思い出の写真をスライドショーにして葬儀で流すことにしました。
LINEやメールを使って親族のみんなが持っている写真を集めて動画を作成。
葬儀当日、参列者の人はみな式場の後ろに固まってモニターに釘付けでした。
おじいちゃんの友達たちが、「あら〜こんなところに行ったのね〜」「いい写真だね〜」と笑顔で話していました。
私はこんな形の葬儀も良いなって思いました。
コロナで縮小してく日本の葬儀の規模と違和感
そして2020年、日本でもコロナが流行り始めました。
葬儀の規模は縮小、そして日本の葬儀業界ではzoomを使って葬儀を配信するというオンライン葬儀が登場。
しかし、何かしっくりきませんでした。お焼香ができるわけでもないし、落ち着いてゆっくりと思い出話ができるわけでない。そんな「オンライン葬儀」に違和感を覚えていました。
葬儀の役割と抜け落ちていたものの発見
そこで私たちは、そもそも葬儀とは何なのかということを考えることから始めました。
葬儀には様々な要素があり、それら役割で整理すると、以下のように分けることができます。
この役割の中でも、葬儀が縮小していく流れの中で抜け落ちがちになっていた「心理的な役割」にフォーカスしてサービスを開発しました。
3ヶ月間で仕様策定からリリースまで
最初の前田との会話からリリースまで3ヶ月間で、一気に仕様を策定し、デザインし、開発を行いました。
ユーザーの声をもとに、改善の日々
葬想式はリリースしてから2年半、のべ3700人以上の方に利用していただきました。
「父の知らなかった姿を知れた」「家族の歴史を知れてよかった」「やってよかった」といった温かい声がたくさん届いています。
また、ユーザの方から頂いた声をもとにに、デザインや機能の改善を多数行ってきました。
その一部をご紹介いたします。
思い出を重荷にしない、「葬想録」
人は身近な人が亡くなると、そこからその人がいた日常からいない日常へと変化していかなければなりません。その時、時間経過を感じづらいデジタル上の思い出は時に心の負担になってしまいます。
このような理由から、葬想式はサイトを見ることができるのは3日間限定にさせていただいています。
この3日間という期間もユーザーの方とのやり取りの中で設定されました。
一方で、せっかく集まった写真をまた見れるようにして欲しいといった声も多く寄せられました。
そこで、葬想録という紙のアルバムをご用意しています。
紙は劣化などの変化を通じて、時間経過を感じられます。この葬想録には、葬想式を卒業し、自身の生を生き切って欲しいという願いが込められています。
言語を超えて利用したいとの要望に応えるべく、「多言語対応」
葬想式は日本国内のみならず、アメリカやメキシコ、ヨーローパなどで利用されることが増えてきました。
最初は翻訳版のマニュアルを作成するなどしていましたが、ユーザーが投稿したテキストも読めるように翻訳機能も含めた多言語対応をいたしました。
葬儀に参加できた人もできなかった人もみんなで偲ぶ「スライドショー機能」
また最近では再び友人を招いた葬儀や偲ぶ会も増えてきました。
一方、遠方で葬儀に参列できないといった人も含めて皆で葬想式を使いたいという声が多く寄せられました。そこで式場でもお手元のスマートフォンでも再生できるスライドショー機能をリリースしました。
集まった写真を音楽と共に再生していただくことができます。新たに写真が追加されても自動でスライドショーに追加されます。
最終プレゼンテーションについて
今年のグッドデザイン・ニューホープ賞は応募総数414点あり、91点が入賞しました。そのうち各カテゴリーの上位2点、合計8点が優秀賞として最終審査に進みました。葬想式は、惜しくも最優秀賞を逃してしまいましたが、それでも優秀賞という光栄な賞をいただき大変嬉しい限りです。
わかりやすく、共感してもらえるプレゼン
最終プレゼンは、プロダクトデザインから、建築家、アーティストまで各分野のデザインの専門家による審査が行われました。
全員がWebサービスの専門家ではないので、できる限り専門用語を使わずにわかりやすいプレゼンテーションを心がけました。
また、プレゼンの構成は、「Why」「How」「What」の順番になるようにしました。
これは人はWhyから説明された方が心がうごきやすいという性質を利用しています。
100%の力を発揮できるように行った入念な練習
どんなにプレゼンテーションに慣れている人でも、練習無くして最高のパフォーマンスを発揮することはできません。かの有名なスティーブ・ジョブズも一言一句、スライドを切り替えるタイミング、間なども含めて完璧に練習していたと言われています。
最高のプレゼンをするために、プレゼンは数日間に渡り、かなりの時間を費やして準備を行いました。
原稿の暗記はもちろんのこと、実際にプロジェクターに繋いでプレゼンをしたり、会場の見取り図を頭に叩き込んで演台からの景色をイメージするなど、できることは全て行いました。
また、プレゼンテーション当日はなるべく緊張せずにスムーズに話せるよう、朝早くに会場近くの公園でぶつぶつ喋りながら練習をしていました笑(散歩している人には少し怪しまれました)
最後に
私は中学生の頃にプログラミングを始めて、これまでたくさんのアプリやサービスを作ってきました。しかしこれだけ多くの人に利用されるサービスを0から作ることができたのは葬想式が初めてです。
これまで利用していただいた全ての皆様、そして応援してくださった全ての方のおかげです。本当にありがとうございます。
これからも多くの人の心に寄り添えるサービスを作り続けていきます。
グッドデザイン・ニューホープ賞
https://newhope.g-mark.org/
2022年度グッドデザイン・ニューホープ賞 優秀賞 葬想式紹介ページ
https://newhope.g-mark.org/award/22NHA040002.html