生前葬を通じて人生の総括!感動的な思い出作りの演出アイデア6つ

生前葬を通じて人生の総括!感動的な思い出作りの演出アイデア6つ

自分の葬儀の内容について、考えたことはありますか?
葬られる側となる、自分の葬儀を考えるきっかけには、さまざまなケースがあります。

・自分の死後、家族がどのような葬儀をおこなうつもりでいるのかが気になる
・家族に喪主がつとまるのだろうか、といった心配を抱えている
・終活の1つとして、前向きに検討している

このような思いに応える儀式として、生前葬を提案することができます。
生前葬は、送られる立場の人が生きているうちに、自分で開催する葬儀のことです。

以前は、芸能人やミュージシャンがテレビの企画として生前葬を開催したこともあり、「生前葬は有名人が行うもの」というイメージをもっている人が少なくないでしょう。
しかし、実際には、一般の人でも生前葬をおこなうことは可能ですし、終活への関心に比例して、今後、需要が高まるだろうと予想されます。


生前葬とは自分自身が主役の特別なセレモニー

生前葬は、 自分自身が主役となる、特別なセレモニー です。
開催する人の多くが晩年を迎えており、節目の年齢になったときや、仕事・社会的活動に区切りをつけることをきっかけとして、開催することが大半です。
人生においてお世話になった友人・知人などを招待し、自分が元気なうちに、これまでの感謝の気持ちを伝えることが目的です。

「死ぬ前に自分の葬儀をおこなうなんて縁起でもない!」と考える人も中には、いることでしょう。
しかし、生前葬には「生まれ変わり」の意味が込められています。つまり、擬似的な死を通して、生きていながら、人生のリ・スタートを切ることが生前葬の目的なのです。
さながら、第2の人生の幕開けを、さわやかなものにするための「謝恩会」のような位置づけにあるといえるでしょう。

生前葬の意義とメリット

生前葬をおこなうことにより、以下のような意義やメリットを感じることができます。

  • 自分自身が希望する葬儀ができる
  • 生きているうちに感謝を伝えられる

また、生前葬を主催する人だけでなく、 のこされる家族の負担を軽減するというメリットもあります 。以下で簡単に解説していきます。

自分自身が希望する葬儀ができる

生前葬は、社会的地位のある人が区切りをつけるためにおこなうもの、というイメージがあります。しかし、実際には「自分の意思で葬儀をおこない、見届けたい」という気持ちがあれば、 誰でも開催することができます

自分が希望すれば、開催する場所、参集するメンバー、会の進行、料理や会場の装飾といったことまで、すべてを決めることが可能です。事前の準備ができるので、バンドによる生演奏を取り入れることもできます。

決まった形式がないので、通常の葬儀のように作法や段取りに縛られることはありません。宗教的な要素を入れる必要もないです。
反対に、読経してもらうことで「葬儀らしい雰囲気」を出したいのであれば、僧侶に相談してみてもよいかもしれませんね。

生きているうちに感謝を伝えられる

生前葬を選択する人の気持ちには、これまで関係のあった人たちに対して「きちんと御礼を言いたい」「体が動くうちに最後の集まりを企画してお別れを言いたい」といったものがあります。
その背景には、これまでの人生で出会った人たちへの愛情や、感謝の想いが込められています。

他にも、主催者が病気などの理由から「余命を受け入れて、人生を大切に捉える機会としたい」と考えていることもあります。
また、「高齢になるにつれ、体力的理由で葬儀に出席できない人が増えると予想されるため」といった理由もあるでしょう。

いずれの事情にしても、 主催者は、亡くなった後ではなく生きて参列者とまみえ、直接、感謝を伝えたい、という愛情ぶかい思いを表すことができるでしょう

遺族の負担を軽減できる

一般的な葬儀は、自分が亡くなった後、家族が葬儀社や宗教家と打ち合わせをしたり、会場や料理などの手配をします。

しかし、生前葬を開催したことによって、葬儀はある程度、 簡略化することが可能 です。
生前葬の参列者は、すでに生前、感謝を伝え合ったり、疑似的にお別れする場をもったことにより、故人の実際の死をある程度納得して受け入れることができるのです。

そのため、遺族は葬儀をごく近しい人のみで行うことが可能です。結果的に、家族の精神的・金銭的負担を減らすことにつながります。

生前葬の演出アイデア

決まった形式がないことから、オリジナルのアイデアで、自由な式次第を実行することができるのが生前葬です。
開催する場所の選択肢も、自宅やホテル、旅館などと 幅広く検討 できます。

生前葬の演出については、事前に葬儀社や、会場とするホテルなどに連絡し、どのようにしたいかを相談するとよいでしょう。生前葬は多くが無宗教葬で、友人代表によるスピーチ・余興・映像演出・会食などで構成されています。

感動的な思い出作りを演出するアイデアの候補には、以下のようなものがあります。

感謝を伝えるスピーチ

主催者が、参列者に対して感謝を伝えるスピーチをおこなうとよいでしょう

逆に、参列者から主催者に対するスピーチをお願いすることもできます。疑似的な弔事ということになります。
スピーチの中に、過去の笑えるエピソードなどを織り交ぜてもらえば、湿っぽくなく、会場が温かくなることでしょう。

スピーチ

生演奏で盛り上げる

事前に準備ができる生前葬ならではの演出として、 会場を生演奏の音楽で盛り上げる ことができます。
知り合いや、プロの演奏家に依頼して、自分が望む雰囲気の音楽で、会場を包みましょう。
音楽によって会場の雰囲気はずいぶんと変わるものです。

自分史の映像を見せる

主催者のこれまでの軌跡を、自分史という形で、映像にして披露します。写真をスライドショーにしたり、動画でメッセージを入れてもよいですね。
映像にすることで、 主催者の懐かしの場所や過去のエピソードを、参列者にも近く感じてもらいやすくなります

参列者と手紙の交換

主催者が参列者と手紙の交換をすることにより、今の気持ちを後々まで見返すことができます。
すべての参列者に手紙を書くのは大変ですので、手紙を交換するのは伴侶や親友などと対象をしぼるとよいでしょう。

手紙

記念樹を植える

参列者と一緒に、 生前葬を行った記念樹を植えてみるのはいかがでしょうか
大切な木になりますので、植える場所は十分、吟味しましょう。

タイムカプセルを埋める

タイムカプセルを埋めることを招待状に明記しておけば、参列者が埋めたいものを持ち寄ってくれるでしょう。タイムカプセルを いつ開封するのか、誰が開封するのかを決めておく とよいですね。
例えば、主催者が手紙を埋めて、死後に家族に開封してもらえば、亡くなった故人からの手紙が届くという趣向になります。

生前葬の費用は内容次第

生前葬は、開催例がそれほど多くないことや、自由に内容を決められることから、相場を求めることが難しいものです。

生前葬の費用は、会費制、もしくは主催者が全額負担する形により賄われます
会費制の場合、会費の金額は、生前葬の見積もりを参列者の頭数で割って算出するのが基本です。主催者が自己負担する額を決めて、残りを参列者の会費としてもよいでしょう。

  • 会場の利用料 5万~20万円
  • 会費     一人あたり1~2万円(飲食費、返礼品を含む)
  • 演出料    場合による

特別な演出料がかからないとしても、50名の生前葬であれば、最低でも55万~75万円はかかります。事前に、会場で見積もりを提示してもらい、会費をいくらにするのか考えましょう。会場が高級ホテルとなれば、さらに多くの費用がかかります。

生前葬に参列する際のポイント

生前葬に招待されたら、どのようにふるまえばよいのでしょうか。

亡くなった後におこなわれる通夜や葬儀と大きく異なるのは、 拍手や笑いが歓迎される ことです。
通常の葬儀では、拍手を偲び手(手を合わせて音を出すことはしない)とするのがマナーとされます。一方で、生前葬で参加者を楽しませる演出がある場合は、遠慮せずに笑ったり、拍手をしたりするとよいでしょう。

以下では、生前葬に参列する際のポイント、特に服装や香典について簡単に解説します。

生前葬の服装

服装は、まず招待状のドレスコードを確認してください 。生前葬では、「平服で」と指定されることも少なくありません。

見当たらなければ、本人や喪主に直接確認してみましょう。ドレスコードを直接確認する事はマナー違反にならないので、安心してください。

生前葬の香典

生前葬の多くは、 香典ではなく、会費を集めます 。招待状の記載をよく確認しましょう。
会費についての記載がなければ、香典の形で持参します。

生前葬後の葬儀について

生前葬をおこなった方が亡くなったら、一般的に葬儀はしないものなのでしょうか。

実際には、 改めて葬儀をおこなう場合がほとんど です。
ただ、すでに生前葬をおこなったため、近しい親族のみがつどい、家族葬や密葬として執り行われる傾向があります。他の選択肢として直葬や火葬があり、20万円から30万円程度の低コストで収めることが可能です。

また、一般的な葬儀を行うことになった場合は、家族の時間的・金銭的負担は減らせないということになります。仏教の檀家となっているのであれば、ほとんどの場合、あらためて仏式による葬儀を執り行うことになるでしょう。
このような場合のお布施や葬儀の費用については、生前葬をおこなう場合にも考慮しておく必要があります。

まとめ

日本には昔から、還暦や88歳の米寿など、年齢の節目に長寿を祝う風習があります。本人が生きている間に行われ、家族や親族が集まって長寿を祝い、想い出を語ったり感謝を伝える風習は、まるで生前葬です。

生前葬の準備を行う中で、自分の人生を振り返ることになります。また、生前葬の開催という思い出を作ることによって、様々な人とかかわった人生の証しにもなります。
感謝をつたえる生前葬を通じて、より具体的に人生の総括をすることができるでしょう。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。