喪中の正月はどんな料理が良い?おすすめの献立もご紹介
喪中に新年を迎えることになったとき、これまでと違った形でお正月を過ごす必要があるのか、気になりますよね。
喪中では、お正月のお祝いを控える必要がありますが、神社への参拝を遠慮することの他に、どのようなことに配慮すればよいのでしょうか。
特に気になるのは、自宅でのお正月の準備や過ごし方ですよね。
「お正月は煮炊きを止めて、休むとき」とも言われると、おせち料理をとった方がいいの?という疑問もわいてきます。
また、「おせち料理の注文をしてしまったが、お正月が来る前に喪中になってしまった場合」は、どうすればよいのでしょうか。
ここでは、喪中のお正月にはどんな料理がふさわしいのか、年末にいただく食事から、順を追って確認していきましょう。
おすすめの献立もご紹介いたします。
おせち料理は食べてはいけない?
そもそも、おせち料理は喪中に食べてよいのでしょうか。
結論からいうと、 祝いごとを避ける喪中には、お正月を祝うおせち料理を食べない、とするのが一般的 です。
ただし、浄土真宗とキリスト教には喪中の概念がないため、おせち料理をいただいて問題ありません。
本来、おせち料理は、季節の変わり目の日(節日)に無病息災を願って神様にお供えしていた料理のことで、「御節供(おせちく)」とも呼ばれていました。
もともと中国ではじまった、5つの節供(人日、上巳、端午、七夕、重陽)に用意されていた料理が起源となっています。
なお、人日は1月7日、上巳は3月3日、端午は5月5日、七夕は7月7日、重陽は9月9日です。
現在では、お節句と聞けば、季節の変わり目のタイミングについてピンとくる人もいるでしょう。
「供」の字には、供物をささげるという意味があり、中国の節供では、それぞれの節日に食べものを神様にお供えすることにより、無病息災のほか、長寿や邪気払いの願いを込めました。
節供の習慣が奈良時代に日本に入ってからは、いつしか子どもの成長を祝うといった、なじみのある習俗に変化し、漢字の表記も「節供」から「節句」に変わったようです。
現在、お正月にいただくおせち料理は、一年を無事に迎えられたことをお祝いするためのもので、食材や料理に意味をつけて縁起をかつぎます。
また、重箱に入れることにより、「めでたさを重ねる」といった意味が込められています。
年越しそばは不適切?
では、年末にいただく年越しそばは、どうでしょうか。
年越そばを食べることには、「長いものを食べることにより長寿を願う」や「1年の厄を落とす」という意味があります。
お祝いごとの意味合いは含まれていないので、 喪中に食べても問題ありません 。
ただし、紅白のかまぼこや、花形に切った野菜など、お祝いごとを連想させる食材を入れないように配慮しましょう。
地域や人によって意見が異なることもありますので、祖父母や親戚など、周囲の人に聞いてみるのもよいですね。
鏡餅は飾っても良い?
お正月を迎える準備のため、毎年、自宅に鏡餅を飾るところもあることでしょう。
鏡餅は飾ってもよいのでしょうか。
鏡餅には、新年の神様のよりしろ、という意味があります。
新年の神様のことを「年神様」といいますが、そもそもお正月は、年神様を家に迎えておもてなしをし、見送る行事なのです。
お正月の間、鏡餅にはお迎えした年神様が宿り、その家の人々に新年の幸福とともに、一年分の力を授けてくれる、と考えられてきました。
ですが、喪中の家にはケガレ(気枯れ)があることから、神様をお迎えすることができません。
そのため、 鏡餅を飾ることは控えます 。 門松やしめ縄も同じ目的で飾るため、喪中には適さない といえます。
お祝いを連想させない食事とは
「お正月は煮炊きをやめて家事の手を休める」ため、おせち料理を用意する、と言いますよね。
でも、喪中におせち料理を食べることがふさわしくないのであれば、どんな料理をいただくのがよいのでしょうか。
まず、 めでたいことを意味する食べ物は避けます 。
例えば、鯛や海老、紅白のかまぼこといった食べ物がよく知られています。
他に、紅白のなますや、昆布巻き、菊花かぶ、くわいにも、縁起を担ぐ意味が込められているため、避けた方がよいでしょう。
特に、伝統的な和風のおせち料理には、お祝いを意味する食べ物が多く入っているため、あえて洋風や中華風のおせち料理を選べば、喪中に食べられない食材を減らすことになるでしょう。
また、 料理は、重箱に入れないようにします 。
さきほどと重複しますが、「めでたさを重ねる」という意味が込められているためです。
こういったものを除けば、普段の料理としていただくことが可能です。
紅白の祝箸を使わず、重箱に入っているものは、普段の食器に移し替えていただきましょう 。
この方法をとることにより、おせち料理を注文した後で急遽、喪中になってしまった場合も、無理なく対応することが可能です。
お雑煮はお祝いにあたる?
おせち料理と同じく、お雑煮も昔はお祝いの日に食べるものでした。
昔の人にとってお餅は、普段、めったに食べられないものでしたが、現在の私たちには一般的な食品となっています。
そのため、鏡餅などのお供えの餅を避けて、普段の食べ物としていただくのであれば、問題ありません。
ただし、紅白のお餅やかまぼこなど、めでたい食材は使わないようにして、 シンプルにまとめたお雑煮にしましょう 。
誰かを食事に招いても良い?
毎年のお正月は親戚や友人を呼んで、大勢で楽しく過ごしていたというお家もありますよね。
しかし、 喪中は友人や親戚を呼ぶことは避け、身内だけで過ごします 。
もし、亡くなったのが配偶者の身内である場合は、配偶者の家の考えにしたがいます。
喪中である配偶者の家に招かれた場合、故人をしのぶ機会ととらえ、食事中のマナーに気を配りましょう。
元日の朝に飲むとされているお屠蘇(とそ)には、「新年の邪気を払う」という意味もあるので、お屠蘇を少々いただく程度にし、お酒の飲みすぎには注意しましょう。
喪中のお正月のおすすめの献立
喪中のお正月には、「ふせち料理」や鍋物などの献立がおすすめです。それぞれ詳しくご紹介します。
ふせち料理
ふせち料理は、喪中において、 おせち料理の代わりに作られる「喪中用おせち料理」 です。
精進料理をベースとし、お祝いの食材が使われていないため、喪中にお正月を迎える家に適した料理の内容となっています。
お正月のほか、新盆などの集まりでふるまうための料理としても、提供されています。
近年、ふせち料理を販売しているところが増えてきました。
葬儀社だけでなく、大手デパートでも注文を受けつけています。
地域によって名称が異なる場合があり、精進おせち、もせち、ふせちなどと呼ばれます。
なお、「ふせち料理」という言葉自体は、近年みられるようになった造語です。
仏教の考えでは殺生を禁じていることから、以前は一般人でも、喪中に魚肉を避けた精進料理を食べていました。
このような喪中生活を過ごし、忌明けに「精進落ち」「精進あげ」と呼ばれる、あえて魚などの食材を使った料理を食べることにより、「日常の生活に戻る」儀礼が行われていました。
現在の「ふせち料理」には、現在人の生活や嗜好に合わせて、多少の肉や魚も取り入れられています。
鍋物
おせち料理以外にも、喪中のお正月にいただく食事として、すき焼き、焼肉、鍋などを選択することもできます。
「お肉や魚は、殺生を禁ずる喪中にはふさわしくない」という意見もありますが、 喪中のお正月は家族だけで過ごす場合が多いため、必要以上に気にしなくてよいでしょう 。
まとめ
お正月にいただく食事について、それぞれの由来とともに、喪中に食べてよいかどうかを確認してきました。
改めてお正月の食事について確認してみると、新年を迎えるにあたって、人々が食事にさまざまな意味や願いを込めてきたことがわかりましたね。
現在、その意味を意識することは少ないですが、お正月の習慣に注目してみるだけでも、喪中は日常生活と少し離れたところにあることが見えてきました。
おめでたい意味のある食材を省くなど、配慮すべきことを多く挙げましたが、喪中のお正月は、身内で質素に過ごすものです。
どうか家族や自分に厳しくなりすぎないよう、故人を想って、心穏やかにお過ごしくださいね。