葬式饅頭の由来や使い方!北海道から関西までの葬式饅頭事情
「葬式饅頭って、いったいどんなものだろう?」と疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。葬式饅頭とは、通夜や葬儀の際に、返礼品として参列者に振る舞われる饅頭のことをいいます。
本記事では、葬式饅頭の由来や使い方、地域による違いについて詳しくご紹介します。
また、葬式饅頭のオススメの食べ方についても紹介していますので、葬式饅頭について知りたい方はぜひ最後までお読みください。
葬式饅頭とは
葬式饅頭とは、通夜や葬儀の際に、返礼品として参列者に配られる饅頭のこと です。
葬式饅頭は祭壇に供える供物や香典返しとして用いられることもあります。葬式饅頭のタイプは地域によって異なりますが、小豆餡が入った小麦粉や米粉で作られた饅頭で、白色や黄色のものが一般的です。
箱には「志」や「粗供養」と記された掛け紙が使われることもあります。また、地域ごとの風習によって形状や使い方が異なる場合もあります。近年では個包装された饅頭が主流で、手軽に配布できるという特徴があります。
葬式饅頭の由来について
葬式饅頭を返礼品として参列者に渡す行為には、故人の財産の一部を饅頭の形で分け与えるという意味 があります。
これは仏教的な考え方で、故人が生前に手放せなかった物欲のために死後に残った財産を、世間に還すことで罪を軽くし、成仏しやすくなるという意味が込められています。このような行為は 「お布施する」 と呼ばれ、葬式饅頭を配ることもその一つです。
さらに、昔は甘い物が貴重だったため、財産を分け与える手段として甘い饅頭を配るという方法が主流となったともいわれています。甘い饅頭をもらえることは参列者にとっても喜ばしいことであり、地域によってはまんじゅうではなく羊羹やおはぎが配られる場合もありました。
このように、葬式饅頭には時代背景と深いかかわりがあります。
葬式饅頭の使い方
葬式饅頭は、主に祭壇に供える供物や参列者への配布、香典返しとしての用途があります。以下では、葬式饅頭がどのように用いられるのか、それぞれのシーンごとに詳しく解説します。
祭壇に供える葬式饅頭
祭壇に供える葬式饅頭は、故人への供物として使用されます。饅頭は故人が好きだったものを選ぶ場合もありますが、基本的には白色や黄色のシンプルなものを供えます。祭壇に供える饅頭は、その場で供物としてだけでなく、後に参列者へ分けられることもあります。
参列者に配るための葬式饅頭
葬式饅頭を参列者に配り、通夜や葬儀への参列に感謝を示します。葬儀後に個別包装された饅頭が参列者一人ひとりに渡されることが多く、その場で持ち帰る形が一般的です。
香典返しの葬式饅頭
香典返しとしての葬式饅頭は、香典をいただいた方々へのお礼として用いられます。葬儀後に渡されることが多く、その際には「志」や「粗供養」などと表書きされた掛け紙が付けられるのが一般的です。地域によっては葬儀当日ではなく後日渡される場合もあります。
葬式饅頭は地域によって異なる
葬式饅頭は、地域によってその形状や色は異なります。ここでは、葬式饅頭の違いについて地域ごとに見ていきます。なお、ここでは代表的または特徴的な葬式饅頭を挙げており、その地域全体で同じものが配られるわけではなく、地域差があります。
北海道の葬式饅頭
北海道の葬式饅頭は 「中華まんじゅう」 と呼ばれています。この名前を聞くと、コンビニで見かけるひき肉入りの中華まんじゅうを想像するかもしれませんが、まったく異なります。
北海道の中華まんじゅうはどら焼きのような生地で、餡を二つ折りにして包み、半月型に仕上げられています。特徴的なのはそのサイズで、20㎝ほどの大きさのものが一般的で、見た目がバナナのように見えることもあります。
他の地域の葬式饅頭とは異なり、大きくて作りやすい点が特徴で、特に参列者の多い田舎の葬儀ではこの工夫が役立っています。
東北や関東の葬式饅頭
東北や関東では、葬式饅頭として主に2種類が配られます。
ひとつは 「春日饅頭」 で、小判型の饅頭にこしあんが詰められているという特徴があります。白い薄皮の中央にはシノブヒバの焼き印が付いていることから、「しのぶ饅頭」や「ひば饅頭」と呼ばれることもあります。サイズは少し大きめですが、片手にのるものが多いようです。
もうひとつは 「青白饅頭(緑白饅頭)」 で、抹茶でできた緑色の皮で餡を包んだ饅頭と、白い皮で包んだ饅頭の2つがセットで配られるのが特徴です。昔の習慣では、葬儀にはこしあん、結婚式にはつぶあんが使われることが多かったですが、最近は餡の種類にこだわらない地域も増えています。
関西の葬式饅頭
関西では、 「黄白饅頭」 と 「おぼろ饅頭」 の2種類が葬式饅頭として用いられます。
黄白饅頭は、山芋を練りこんだふわふわの皮で、こしあんを包み込みます。基本的に、黄色と白色の2種類がセットで配られます。また、生地に山芋が使われているため、地域によっては「じょうよう饅頭」や「しょよ饅頭」と呼ばれることもあります。
おぼろ饅頭は、蒸した後に表面の薄皮を剥がし、おぼろ状に仕上げることが特徴です。中身はこしあんです。
その他の葬式饅頭
その他の地域でも葬式饅頭の形状や色には違いがあります。
例えば九州地方では、黒糖を使用した甘さ控えめの饅頭が多く、香典返しとして使用されます。また、四国地方では地方特産の餡を使った饅頭が香典返しとして配られることがあります。さらには、山陰地方の一部では葬式饅頭の代わりに菓子パンが参列者に配られたり、静岡県の一部の地域では代わりに「平パン」と呼ばれるお菓子が配られたりと、葬式パンを用いる地域もあります。
こうした地域ごとの違いは、地元の文化や習慣を色濃く反映したものとなっており、それぞれが故人への思いを込めた贈り物となっています。
葬式饅頭の美味しい食べ方
葬式饅頭はそのまま食べても十分美味しいですが、ここでは葬式饅頭をより美味しく食べるためのアレンジ方法をご紹介します。
1つ目に、饅頭をトースターで軽く焦げ目がつく程度に 「焼く」 ことです。バターや油を使って、両面がキツネ色になるまで焼くと良いでしょう。
2つ目に、饅頭を 「蒸す」 ことです。電子レンジの場合、少し湿らせた饅頭をラップでふんわりと包んでから500Wで10秒ほど加熱します。また、鍋の場合には、耐熱皿に饅頭を載せ、皿に入らないように周囲からお湯を注ぎ、鍋に蓋をして弱火で2分ほど温め、その後3分ほど蒸したら完成です。
3つ目に、饅頭を 「揚げる」 ことです。油で素揚げすると表面がカリッと仕上がります。また、天ぷら粉やホットケーキミックスをまんじゅうに付けて揚げるとふわっとした食感が楽しめてオススメです。
まとめ
葬式饅頭の由来や饅頭を用いる場面について解説しました。地域によって形や色が異なる葬式饅頭は、葬儀の際に故人への供養や感謝の気持ちを込めて配られます。
葬式饅頭は、最近では目にする機会は減ってきましたが、地域によっては使われるケースもあります。使う機会があれば、意味や由来を知ったうえで使用することが大切です。
本記事がお役に立てましたら幸いです。