葬式での写真撮影は遺族の希望に従って慎重に!葬式写真撮影のマナーと注意点

葬式での写真撮影は遺族の希望に従って慎重に!葬式写真撮影のマナーと注意点

葬式に参列した際、葬儀場で写真撮影しているところを見かけることがあります。
厳粛な雰囲気がある葬式という空間で写真撮影をすることに対して、「非常識では?」とか「撮っても大丈夫なの?」という感想を持ったという人もいることでしょう。

現状では一般的に、葬式での写真撮影は禁止されていません。しかし、葬式で写真を撮影する際は、当然のことながら、守るべきマナーや注意点があります。

ここでは、葬式で写真撮影をおこなう際のマナーと注意点について、簡単に解説します。


葬式での写真撮影は禁止ではない

葬式での写真撮影は、おもに葬式の様子を写真に収めることが目的です。地域によっては、遺族・親族を集めた集合写真を撮ることもあります。
近年では、遺族が葬儀社やプロのカメラマンに撮影を依頼することも増えてきました。

葬式での撮影自体は禁止されていませんが、これは 葬儀場や遺族が了承している場合に限られています
自分が会葬者である場合、かってに写真撮影をおこなうことには、とりわけ注意が必要です。

近年、だれでも手軽に写真を撮影できる機器が普及していることも相まって、親しかった故人との「最後のお別れの様子を写真に残したい」という気持ちから、遺族の許可がないまま、撮影してしまうことがあるかもしれません。
ただし、このような状況での撮影は、NGとなります。なぜなら、葬式での写真撮影に不快感を感じる人は、少なからずいるためです。
かならず事前に、写真撮影に関する遺族の意向を確認し、節度をもって撮影をおこなうことが大切です。

葬式における写真撮影の意義

葬式での写真撮影には、さまざまな目的があります。
おもに、 故人との最後の瞬間を残す、参列者の確認をする、葬式の流れを記録する 、という3つの目的です。

地域によっては、葬式での写真撮影が慣習となっている所もあります。
葬式での撮影が慣習ではない場合、撮影が可能かどうかの判断は、遺族の意向を尊重することが基準となります。

以下で詳細をまとめていますので、確認していきましょう。

故人との最後の瞬間を残すため

葬式は故人を見送る儀式です。そのため、故人との最後の思い出を写真におさめたいと考えるのは、自然なことでしょう。
写真によって記録を残すことで、 日にちが経ってもその時の状況を振り返ることができます

遺族はもちろんのこと、故人と親しかった参列者の中にも、故人との最後の思い出を写真で残したいという思いを持つ人がいるのではないでしょうか。

参列者の確認をするため

葬儀を執り行った後、遺族は参列者に対する返礼の準備をおこないます。
お礼状や香典返しの手配をおこなう中で、参列者の氏名や肩書、香典の金額などをきちんと調べなければならないのです。

会葬者の記録として「芳名帳」もありますが、遅れて来場した場合などに、芳名帳を書き損ねてしまったというケースもしばしばあります。
こういったケースでは、香典を送った人と芳名帳の内容に齟齬が生じ、あとで遺族が返礼品の準備をおこなうときに混乱することが想定できます。
このような想定に備えるためにも、葬式の様子を撮影しておくことで、実際の参列者について、確実に把握することが可能です

また、いただいた供物・供花について確認したい場合にも、写真は役に立ちます。

葬式の流れを記録するため

記録を目的として、葬式の様子を写真におさめておくとよい場合もあります。

あとで当日の様子を思い返そうとしても、思い出せない人もいます。
例えば、喪主をつとめるのに精一杯で、全体を見ることができなかったとか、悲しみが深くて周りが見れなかったという場合が当てはまります。
葬儀の様子や、参列者の雰囲気はどうだったか、写真を見れば、具体的に思い返せることがあるかもしれません

また、今後、喪主になる可能性がひかえている場合などに、のちの葬儀の参考として撮影することもあります。

葬式での写真撮影における注意点5つ

写真を撮影したい場合には、 撮影してもよいかどうか、確認することが重要 です。基本的には、親族や僧侶、葬儀社に事前の許可を得た人だけが撮影できると考えてください。

遺族の希望に従うことを前提として、その他には、葬式の雰囲気を壊さない、シャッター音やフラッシュを控える、遺体を撮影しない、葬儀を撮影した写真の取り扱いといったことに注意する必要があります。

以下で詳しく確認しましょう。

遺族の希望に従うことが大切

まず、写真を撮影してよいかどうか、遺族の意向を確認しましょう。
遺族の許可が取れたら、あるいは撮影を頼まれたら、 撮影する人は「記録係用の腕章」などの目印をつけます
親族や参列者の中には、撮影自体を不謹慎と感じる人が少なくありません。そのため、公の立場で撮影していることがわかるようにしておくのが適切です。
記録係用の腕章は、葬儀社が準備していることもありますので、尋ねてみてください。

もし、遺族から頼まれた場合でも、葬儀社のスタッフや僧侶などに撮影を行うことを、あらかじめ伝えておきましょう。

集合写真を撮る場合は、葬儀社のサービスを利用したり、プロのカメラマンに依頼するなどすると安心です。

葬式の雰囲気を壊さないよう注意

読経や、祭詞を奉上するなどの場面、さらに焼香中の撮影は、特に配慮が必要です。
具体的には、 僧侶や神官が集中すべき場面や、焼香中など、故人を偲ぶ行動をとっている人の視野に入らないよう にします。

撮影者の挙動が気になってしまい、故人を偲ぶ重要な場面で集中できなかったり、進行の妨げになってしまっては大変です。
故人を安らかな気持ちで見送るという、本来の目的を妨げないよう留意しましょう。

葬儀

シャッター音やフラッシュに注意

フラッシュやシャッター音など、集中を妨げるものは、極力控えましょう

厳粛な場面で、シャッターを切る小さな音や、フラッシュなどの効果が連続して発生すると、気になるものです。
葬式の様子を撮影する前には、使用するカメラやスマートフォンの設定を確かめ、シャッター音はもちろんのこと、操作音もできるだけ消すようにしてください。

スマートフォンを使う場合は、音が鳴らないアプリを利用することを推奨します。
ミラーレスカメラであれば、シャッター音が消せる機種もあるため、周囲の人に気遣うことができるでしょう。

スマホ

ご遺体の写真撮影は慎重に

基本的に、 遺族から「故人の最後の姿を撮影してほしい」と頼まれている場合をのぞいて、故人の姿を撮ってはいけません
遺族の了解を得ないで、無断で写真に収めることはマナー違反です。

故人と縁があった人たちを迎える葬式の場合でも、家族の死という非日常のできごとに向き合っている遺族の気持ちを考える必要があります。
故人の姿を撮りたいと希望するのであれば、遺族に了承を得たうえで、撮影しましょう。
葬式がおこなわれている間、周囲に撮影しているスタッフやカメラマンがいない場合は、遺族が写真撮影を望んでいない、と判断するのが賢明です。

写真の取り扱いに注意

葬式の撮影が遺族に許可されたとしても、その写真を自由に取り扱うことができるわけではありません。
特に、 SNSなどに掲載し、不特定多数が閲覧できる状態にすることは、厳禁 です。

撮影した写真は、自分だけが見返す思い出として保管しておきましょう。
葬式に参列した友人などと共有することも、できれば避けた方がよいです。写真の取り扱いについて、他の人も自分と同じような認識をもっているとは限らないためです。

火葬場での写真撮影は禁止

火葬場(火葬炉前)や収骨室での撮影は、「プライバシー保護」の観点から、写真撮影が禁止 されています。
なぜなら、火葬場や収骨室には仕切りがなく、他の遺族が写真に写り込んでしまう可能性があるからです。

故人が亡くなった原因や、死のとらえ方は、さまざまです。大往生をとげた故人と、予期せぬできごとで亡くなった故人の遺族では、雰囲気がまったく異なるものです。

複数の喪家が集まる火葬場で撮影すると、それをよく思わない他家とトラブルに発展してしまう可能性があります。
このような可能性を避けるためにも、火葬場での撮影は控えます。

まとめ

ここまで、葬式で写真撮影をおこなう際、注意すべき点やマナーを確認してきました。

誰でも手軽に写真を撮影できる時代ですが、葬式という厳粛な場においては、日常の行為をいつも通りおこなって良いわけではありません。
従来の葬儀における常識やマナーに照らして、周囲を気づかうことで、はじめて写真の撮影が許されると考えましょう。

葬式は、誰にとっても故人との最後のお別れの場です。故人や葬式の写真を残しておきたい、という自分だけの気持ちを優先するのではなく、遺族や参列者の気持ちに寄り添い、良いお別れの場になるよう、つとめましょう。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。