自宅葬は大変?余裕を持って自宅葬を行うための6つの工夫

自宅葬は大変?余裕を持って自宅葬を行うための6つの工夫

故人や遺族の自宅で葬儀を行うことを、自宅葬といいます。親族中心にお知らせを出し、少人数で葬儀を行う「家族葬」が最近のトレンドですが、家族葬が想定しているのは、葬儀式場での葬儀であり、自宅葬ではありません。

自宅葬というと「プライベートな空間に参列者が集まって、大変では?」というイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。確かに、専用の葬儀式場に比べると大変な部分はありますが、人数や形式に注意すれば、自宅葬はくつろぎの空間でご家族のこだわりを実現できる、世界に一つだけのご葬儀になります。自宅葬ならではの大変さとの付き合い方、余裕を持って自宅葬を行うための工夫について解説します。

自宅葬は大変?

自宅葬は、儀式のための設備が揃った葬儀専用式場に比べると、大変な部分が多々あります。しかし、 どんな面で「大変」であると想像されるのかを考えてみれば、その解決策が分かります

以下に、「自宅葬は大変」とイメージされる理由を挙げてみました。

家に人がたくさん来て大変

日本に多い狭小住宅は、たくさんの人が一度に参列するには不向きです。「葬儀式場と同じように50人、100人単位の参列者が押しかけたら、家はパンクしてしまう」と心配するのも、無理はないでしょう。

家の掃除が大変

たくさんの人をもてなし、また祭壇や棺を飾るためには、家を掃除しなければなりません。家具を移動したり、建具を取り払ったり、見せたくないものを隠したりといった手間は、遺族にとって負担になります。

僧侶の控室の用意などが大変

僧侶を呼ばない無宗教の自宅葬もありますが、仏式で行う場合、僧侶が訪れることになります。控室を準備したり、式の前に湯茶接待をしたりする手間が生まれます。葬儀式場のように案内スタッフがいるわけではないので、忙しい遺族が対応することになります。

通夜の晩、夜中まで親族が酔って騒いで大変

一日葬で自宅葬を行う場合もありますが、通夜・告別式を自宅で行う場合はこのような不安もあります。通夜振る舞いが深夜に及ぶと、ご近所の目が気になってくるでしょう。酔った親族が大きな声で騒ぐのではと、ハラハラすることになります。

葬儀の日、早朝から身支度や会場のセットで大変

葬儀は多くが午前中なので、葬儀の日、遺族は朝早くから準備で忙しくなります。着付や髪のセットを行う予定があると、葬儀式場での葬儀であっても5時起きは当たり前です。自宅葬では、加えて玄関周りやトイレの清掃など、自宅を人が集まるところとして準備しなければなりません。一体何時に起きれば良いのかと感じる人も多いでしょう。

自宅で会食した後の片付けが大変

通夜の後は通夜振る舞い、葬儀の後は精進落としという会食の席があります。自宅で会食を行うと、後片付けが大変です。遺族は葬儀がすっかり終わって疲れている中、食器を洗うなどの片付けをしなければなりません。これはけっこうな負担となるでしょう。

大変さを見越して工夫すれば、余裕のある自宅葬ができる

自宅葬の大変さを踏まえたうえで、それらを解消できるような工夫をすれば、自宅葬はぐっと楽になります。次の6つの工夫で、遺族が心からリラックスできる葬儀を実現させましょう。

自宅葬の工夫1 人数は最小限に

自宅で葬儀をすると決めたなら、まずは式場となる部屋の中にどれだけの人数を呼ぶことができるかを確認しましょう。スッキリ片付いた部屋であれば、 6畳間の場合であっても5~6人程度は会葬が可能 になります。 1畳増えるごとに、3人ほど会葬可能 な人数が増えていきます。

割り出した人数をもとに、葬儀に来てもらう人を絞ります。他の人には「葬儀を自宅でやると決め、手狭なので、人数を限定して行います」と会葬を遠慮してもらうのです。「個人を住み慣れた家から送り出したい」「感染症対策のため不特定多数の人が訪れる式場を使いたくない」といった理由を添えれば、理解してもらいやすいでしょう。

時間に余裕のある場合は事前に葬儀社へ相談し、見積もりに来てもらうのがおすすめです。会葬可能な人数が正確につかめます。

自宅葬の工夫2 おおがかりな祭壇は作らない

自宅が狭ければ、祭壇を飾る必要はありません。棺を中心とした葬儀にしましょう。棺の他には、遺影や花、少しの供物をお供えする程度にします。祭壇のための費用を節約できるうえ、部屋を広く使えるので参列できる人数も増えます。

「殺風景な葬儀になるのでは」と心配する人もいるかもしれませんが、葬儀式場のような広さがない空間なので、違和感は生じません。祭壇を設けない代わりに、玄関周りに故人の思い出の品を飾ったり、式場となる部屋の周りに思い出の写真を飾ったりすれば、温かいお別れの空間を演出できるでしょう。

祭壇

自宅葬の工夫3 肩ひじ張らない無宗教葬を選択する

僧侶のもてなしが重荷であれば、無宗教葬を選択するのはいかがでしょうか。菩提寺を持たない人や、宗教にこだわりがない人にはとくにおすすめです。

無宗教葬であれば、宗教儀式がないので故人との別れの時間をたっぷりとることが可能になります。お布施の必要もありません。仏具など、葬儀式に使うものを用意することもありません。

ただ、菩提寺を持っている人が無宗教葬を選ぶと、ご住職とトラブルになることもあるため注意が必要です。「ウチはどこの檀家でもない」という認識であっても、お墓はどこにあるのか、霊園側との契約はどうなっているのかをもう一度確認してみましょう。

自宅葬の工夫4 通夜は省略する

通夜や通夜振る舞いで夜間に人が出入りすることによって「ご近所に迷惑がかかるのでは」と考えるのであれば、通夜を省略するという選択について考えてみましょう。自宅葬はただでさえ少人数の葬儀になりがちですから、通夜と葬儀の顔ぶれが全く同じというケースも多いのではないでしょうか。だとしたら、葬儀だけを行うことにしても、さほど支障はありません。

通夜を省略すれば、遺族の時間的・金銭的負担や、参列者の移動負担が減ります。通夜の晩は、遺族だけでゆったり故人を見守れます。

自宅葬の工夫5 遺族の都合が良い時間帯に葬儀時間を設定する

葬儀式場での葬儀であれば、回転の都合から、ある程度は開式時間が定められています。しかし、自宅葬では、遺族自身が無理のない時間帯を選ぶことが可能です。早朝に起きて準備をするのが辛いなら、午後からの葬儀としても良いのです。

ただ、葬儀の開式時刻は、火葬時間との兼ね合いも考えて決めましょう。自宅と火葬場との距離や、葬儀にかかる時間にもよりますが、葬儀の開式時刻は、火葬時刻のおおむね2時間から3時間前とするのが一般的です。

【例】15時から火葬の場合
13:00 葬儀開式
13:40 閉式、休憩
14:00 棺を開けて最後のお別れ
14:30 出棺
14:50 火葬場到着
15:00 火入れ

葬儀や火葬の日程については、葬儀社に希望を伝えれば、しっかりスケジューリングしてくれます。

自宅葬の工夫6 精進落としは近くのレストランで

自宅葬での会食が重荷であれば、精進落としは思い切って外に出かけましょう。故人が気に入っていたレストランや料亭で、精進落としを行います。

通常、一般のレストランや料亭では、精進落としを行いません。その主な理由は「突然、大人数の予約を受けることはできないから」です。葬儀はいつも突然です。亡くなってから、精進落としの日(予約日)までは2~3日しかありません。「3日後に60人の予約で貸し切り」という内容では、常に大人数をさばいている居酒屋等でなければ対応できないでしょう。

しかし、少人数の自宅葬であれば、予約を受け入れてくれるところは見つかるでしょう。ただ、遺骨を持ち込んでの会食が可能かどうかは、しっかり確認しなければなりません。心理的に抵抗のある人もいるためです。

レストラン

【まとめ】余裕のある自宅葬で、ゆっくりお別れしよう

自宅葬をする際の工夫について解説しました。自宅葬は2つとない会場である「自宅」から故人を見送る選択肢です。どのような点が大変かを事前に知り、余裕を持つための工夫をすることで、安心して葬儀を行うことができます。

大変な中でもさまざまな工夫をし、故人を自宅から送り出した経験は、その後の遺族にとってかけがえのない想い出になるでしょう。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。