ご遺体の顔に変化がある場合の自宅でできるケアをご紹介
故人や喪主の家で葬儀をする自宅葬では、葬儀までの間、自宅でご遺体を安置するため、ご遺体が傷む可能性があります。自宅葬の担当者が適切にケアしてくれますが、常にそばにいる遺族だからこそ気づけることも少なくありません。いざというときのために、知っておきたい故人のケア方法について解説します。
ご遺体に触れても良い?
感染症などで亡くなった場合や、腹水が漏れ出しやすい病気など、触れることはあまり良くないとされる遺体もあります。葬儀社に死因を告げ、故人に触れてもよいかどうか確認しましょう。
触れてもよいといわれたときも、ケアを行うときは常にビニール手袋を着用しましょう。
安置する部屋は冷房を入れる?
自宅は、常に空調が効いている葬儀社などの安置施設と比べて、部屋の温度が上下しがちです。しかし故人の体にとって最も大事なのは、常に涼しい場所に安置することといえます。高温では、腐敗が進みやすくなってしまうからです。
できれば、故人を布団に休ませている部屋は、 夏場は18度以下 に保ちましょう。冬はなるべく暖房を入れないようにします。遺族がずっと同じ部屋にいると冷えにより体調を崩す恐れがあるため、 空間を分けられるように すると理想的です。
夏場、どうしても部屋の温度が上がってしまう場合は、なるべく 早めに納棺の儀式を行う のがおすすめです。棺の中に故人を休ませ、ドライアイスを多めに入れれば、棺が冷蔵庫のように保冷してくれるためです。あまり頻繁に棺のふたを開けると、中の温度が上がってしまうため、小窓からお顔を覗く程度にしましょう。
ドライアイスがズレてしまったときの直し方は?
葬儀社が適切な位置に置いて行ってくれるドライアイスも、何かの拍子でズレ落ちてしまうことがあります。そのままでは保冷効果が薄れてしまうため、できれば元の位置に戻しましょう。
ドライアイスは太い血管が通っている場所や、内臓周辺に置く と効果的です。具体的には、首もと、お腹、足の付け根に置いて冷やすのが良いとされます。
一方で、手元や足元など冷えやすい場所をドライアイスで冷やすと、皮膚が黒くなってしまうことがあります。気をつけましょう。
ご遺体のヒゲが伸びたらヒゲ剃りで剃ってあげてもいい?
安置して2日も経つと、男性はヒゲが伸びてくるように見えます。皮膚表面の水分がなくなって落ちくぼんでくるため、毛穴に埋没していた毛が現れ、ヒゲが伸びたように見えるのです。
もし、ヒゲが伸びた姿が故人らしくないと感じたときは、遺族の手で剃ってあげても構いません。このとき、故人の 電動ヒゲ剃りがあればぜひ使用 しましょう。簡単にヒゲを剃ることができます。
故人のヒゲを剃るときは、皮膚をそっと引っ張るようにしながら処置をするのがおすすめです。水分が失われた皮膚は弾力性がなく、そのままではうまく剃ることができないためです。
また、電動ではないカミソリなどを使うときは、カミソリを強く引いて皮膚を傷つけることのないよう注意しましょう。
ご遺体の目や口が開いたときの対処法は?
看護師などによって処置がなされた後も、目や口が開いてくることがあります。目が開いたときは、まぶたを閉じてあげてそのまま5秒ほどじっと待っていると、自然に閉じられることがあります。それでも開くようなら、目薬を差してあげて、やはり5秒くらい瞼を閉じてみましょう。
看護師や死化粧の専門家は、アイプチ(二重瞼をつくる化粧品)を使用することもあります。もし自宅にあるようなら、試してみるのもいいでしょう。
口が開いたときは、あごの下におしぼりを縦型にして挟んでみましょう。おしぼりがあごを圧迫し、口がしっかり閉まる位置を探します。口が閉まったら、しばらくおしぼりをそのままあごにあてておきましょう。あとでそっと外すと、口が閉まったままになることがあります。
もし、おしぼりを外すと口が開いてしまうようなら、おしぼりはそのままにしておき、首元をスカーフなどで隠すのがおすすめです。
ご遺体のメイク直しをしてあげたいときの注意点は?
看護師が最後に施してくれたエンゼルメイクが「故人らしくない」と感じることもあるでしょう。そんなときは、遺族の手で メイク直しをしても構いません 。メイク用品は、故人専用のものを使わなくてもよいのです。生前に使っていたものを、そのまま利用しましょう。
このとき、直接故人の肌に触れるメイク用品は、衛生上の観点から、使い捨てにした方がいいでしょう。アイメイク用のチップや、使い捨てのメイク用スポンジが重宝します。
故人の肌は、だんだん水分を失い、落ちくぼんできます。もしフルメイクするなら、パウダーよりもリキッドファンデーションのほうがおすすめです。チークも、パウダー状のものより塗りチークのほうが上手に仕上がるでしょう。
ご遺体から出血したら時はどうする?
故人の口や目から出血する場合があります。こんなときは 慌てず、そして触らず 、速やかに葬儀社へ連絡しましょう。肝臓の病気などで腹水が溜まっている場合などが考えられます。
出血部分をやさしくぬぐう程度で収まるケースもありますが、出血が止まらない場合は、納棺の専門家を呼んだ方がいいかもしれません。多くは別料金となるので、葬儀社と相談しましょう。納棺の専門家の手配も葬儀社が対応してくれます。
自宅葬でのご遺体のケア方法のまとめ
自宅葬では、故人と一緒にいる時間が長いため、ご遺体の変化に気づくシーンもあるでしょう。そんなときにも慌てず、葬儀社の指示を仰ぎながら、適切に処置を行いましょう。故人にできる最後のケアとしてメイクなどを行なえば、温かな思い出として胸に残ることでしょう。