【初めての仏式葬儀】基本の流れや作法・マナーを理解しよう

【初めての仏式葬儀】基本の流れや作法・マナーを理解しよう

はじめてお葬式に参列する場合、事前に儀式や流れを知っておくことで、当日の状況に戸惑うことなくスムーズに過ごせます。

日本の葬儀の多くは、仏式です。仏式葬儀について基本的な理解を持っておくことで、いざというとき対応しやすくなります。

この記事では、仏式葬儀の基本的な流れやマナーについてわかりやすく説明しています。また参列する際に知っておきたいマナーも紹介していますので、仏式の葬儀について知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。


仏式葬儀の基本を理解しよう

仏式葬儀は、主に仏教の教えに基づいて行われる葬儀の形式 です。

日本仏教における多くの宗派では、死後に人は浄土へ旅立つとされています。よって仏式葬儀では、僧侶によってお経が唱えられ、浄土における故人の冥福を祈ることが中心となります。

他の葬儀形式としては、神式葬儀やキリスト教の葬儀が挙げられます。

神式葬儀では、故人は家の守り神になると考えられ、仏式とは違う死生観です。そのため仏式葬儀とは異なる儀式や作法で行われます。

神式葬儀に興味のある方は、こちらの記事を参考にしてください。

リンク:神式葬儀に参列するとき知っておきたい流れや作法・マナーをご紹介

キリスト教の葬儀は、キリスト教の教えに基づき、死後の召天を祈ることが一般的です。

このように葬儀の形式は、宗教により異なります。そのため葬儀に参列する際は、故人の信仰に敬意を表し、基本のマナーを知っておくことが大切です。

仏式葬儀の基本の流れ

仏式葬儀といっても、宗派により流れや作法が、多少異なります。

ここで紹介するのは、 一般的な仏式葬儀の基本的な流れ です。

ご臨終日

今日では、約8割の人が病院で最期を迎えます。

病院でご臨終を迎えると、医師や看護師から死亡診断書が渡されます。

自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医などに来てもらって、死亡診断書を発行してもらうことになります 。かかりつけ医がいない場合は警察による検案が発生し、死体検案書が発行されます。

葬儀社へ連絡

死亡が確認されたら、葬儀社へ連絡します。

病院で遺体を安置できる時間は、限られています。速やかに葬儀社へ連絡をして、車の手配をする必要があります。

家族が亡くなってからでは、感情が動転したり、やることが多かったりで、適切な葬儀社を選ぶのが難しい場合もあります。

普段から、 葬儀社について家族で話し合いを済ませておくと、いざというときスムーズに進むでしょう

末期の水

末期の水(まつごのみず)は、臨終間際の方の口元を水で潤す儀式です。現在は、 臨終が伝えられた直後に行うことが多く、「死に水」とも呼ばれています

死に水の儀式では、まず新品の割り箸の先に脱脂綿を巻きつけます。そして茶碗に入れた水に、血縁者や親しい関係者が順番に浸しながら、故人の唇を湿らせます。

遺体の搬送

病院で亡くなった場合、 ご遺体は死化粧(エンゼルケア)が行われます

その後、自宅や斎場へ搬送します。

遺体搬送は、自家用車で行っても法律違反ではありません。しかし、衛生面や安全面を考えて、葬儀社に依頼するのが一般的です。

枕経

故人が自宅や斎場に到着したら、 僧侶による枕経(まくらぎょう)が行われます

そのため、臨終が確認された際には、菩提寺へ連絡する必要があります。菩提寺がない場合は、葬儀社に相談して紹介してもらうのがいいでしょう。

枕経について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

リンク:「枕経」ってなに?意味や由来を理解して準備や流れを知ろう | 自宅葬のここのコラム

納棺

納棺は、故人を棺に納める儀式 です。通常、故人が安置されている場所で行われます。

納棺師または葬儀担当者が手順に従い、最後の着替えや化粧を行います。故人を棺に納めた後、親族や関係者は、棺にゆかりの物を納めるなどして最後の別れを行います。

お通夜

お通夜は通常、葬儀の前夜に行われます

具体的な日時は家族や関係者の都合により異なりますが、故人の遺影や遺体に別れの言葉をかけ、冥福を祈るとともに、家族や友人と共に故人と最後の時間を過ごします。

お通夜で行われる儀式には、以下のようなものがあります。

読経

遺族や弔問客、僧侶が入場し、通夜が開始されると、僧侶により読経が行われます。

読経の時間は、 通常30分から40分ぐらい です。

故人の冥福をお祈りしながら、静かに聞きましょう。

焼香

読経の間に、焼香を行います。

焼香の順番は、喪主、遺族、親族、弔問客 です。

焼香は焼香台へ出向いて行いますが、会場が狭い場合は、回し焼香になる場合もあります。

葬儀・告別式

葬儀・告別式は、一般的に通夜の翌日に行われます

ただし、火葬場の予約状況や親族の予定などで、日程が延びることがあります。

葬儀・告別式の主な儀式は、以下の4つです。

読経

通夜と同じく、僧侶による読経が行われます。

お経は、お釈迦さまの教えがまとめられたものです。葬儀でお経が読まれるのは、故人を極楽浄土へ導くためだけではなく、遺族の悲しみを和らげるためでもあります

お経について、以下の記事で解説しています。

リンク:お経を唱える意味や心を安定させる効果的なお経の唱え方

焼香

通夜と同様、葬儀でも焼香が行われます。

焼香には、以下のような意味が込められています。

  • 参拝者の心身の浄化
  • 仏様や故人の食事として香りを捧げる
  • 仏様へ敬意を表す

焼香は、精神的な浄化を促し、尊敬や感謝の気持ちを示す儀式です。

遺族の挨拶

読経、焼香が終わり、僧侶が退場した後、 喪主によって挨拶 が行われます。

この挨拶は、遺族を代表して参列してくれたお礼や、生前お世話になった感謝などを伝えるためのものです。

出棺

出棺は、葬儀・告別式が終わり、故人の遺体が安置された棺を霊柩車に乗せて、火葬場に向かう儀式です。

出棺は火葬場へ行かない一般の参列者にとって、故人と最後の別れとなります

見送るときコートなどは着用せず、雨天の場合は派手な色の傘の使用を避けたほうがいいでしょう。霊柩車が見えなくなるまで、合掌で見送ります。

仏式葬儀に参列する際の作法

仏式葬儀で知っておきたい、以下の作法について解説します。

  • 合掌礼拝の作法
  • 焼香の作法

ひとつずつ見ていきましょう。

合掌礼拝の作法

合掌礼拝(がっしょうらいはい)は、 主に日本の伝統文化や仏教の宗教儀式で行われます

葬儀では、お焼香のときなどに行います。

合掌は、手のひらを合わせ、指先を上に向けて顔の前まで持っていきます。心の中で深呼吸してから、お念仏をとなえてください。

その後、上体を45度ほど傾けて礼拝の動作を行います。

合掌礼拝では、立ったまま行う立拝(りっぱい)と、正座をして行う座拝(ざはい)があります。

焼香の作法

焼香の作法は、宗派により多少の違いがあります。

基本的な作法は、 右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香をつまみ、それを額の高さでおしいただきます。そして、つまんだ抹香を香炉に納めます

焼香を行う前には、ご遺族、祭壇の遺影に一礼。焼香の後にもう一度遺影に一礼をするのがマナーです。

抹香をつまむ回数や、額の高さでおしいただく動作が宗派により異なるため、参列する葬儀がどの宗派で行われるか、あらかじめ親族などに確かめておくといいでしょう。

宗派別の焼香の作法は、以下の記事で解説しています。

リンク:適切な焼香のやり方を学ぶために基本から宗派別までわかりやすく解説

仏式葬儀のマナー

仏式葬儀に参列する際、以下のマナーを知っておくといいでしょう。

  • 挨拶について
  • 服装について
  • 持ち物について
  • 香典について

順番に解説します。

挨拶について

仏式葬儀の会場では、まず遺族にお悔やみの言葉をかけます。

お悔やみとして「お悔やみ申し上げます」「ご愁傷様です」という言葉を使います。

その後、故人に関する思い出や感謝の気持ちを述べるのがいいでしょう。

例えば、「亡くなられた○○さんは本当に素晴らしい方でした。いつも笑顔で周りを明るくしてくれました。私たちはその温かさに感謝しています。」

そして最後に「本当に残念です。心よりお悔やみ申し上げます。」などと伝えます。

ただし、 大勢の方がいる葬儀の場で、長々と挨拶するのは禁物 です。

また、「重ね重ね」や「たびたび」などの重ね言葉を使わないのも、葬儀挨拶の基本的なマナーとして覚えておいてください。

服装について

仏式葬儀では、控えめで礼儀正しい服装が求められます。 基本的には喪服が一般的 です。

女性は喪服が適しています。男性は黒のスーツに黒のネクタイを合わせましょう。

気をつけるべき点として、光沢のある素材は避けます。とくに男性の場合、光沢のある黒いスーツは婚礼用なので、間違えないようにしましょう。

なお、とくに女性の場合は肌の露出を控えるのも大事です。スカートの丈は膝より下、ふくらはぎ程度の長さが適しています。胸元も開きすぎないよう気をつけます。

また、アクセサリーは基本外しておきますが、つけるとしたら結婚指輪とパールのアクセサリーだけが許されています。男性のネクタイピンはつけないのがマナーです。

髪型やメイクも控えめな清潔感を意識してください。素のままの髪は避け、ヘアオイルやワックスできちんとまとめます。メイクについては、パールやラメの入ったコスメを避けましょう。

服装

持ち物について

仏式葬儀に参列する際、 バッグはできるだけシンプルな地味で控えめなデザインがいいでしょう

バッグの中に入れる持ち物として、涙拭きや手を清潔に保つためのハンカチが必要です。

また、仏式葬儀においては参列者が数珠を携帯するのが一般的です。できるだけバッグの中に入れておきましょう。数珠を持っていない人は、無理に買う必要はありません。

現在誰もが持っている携帯電話ですが、葬儀中はマナーモードにするか、完全に電源を切ることが望ましいです。

カバン

香典について

仏式葬儀での香典は、 白黒または双銀の水引がかかっている香典袋を使用します

香典袋には適切な金額を入れ、額面が分かりやすいように記載しましょう。通常、香典袋の表に「御霊前」や「御香典」と書き、下に自分の名前を記載します。

香典袋は、袱紗(ふくさ)に包んで持っていき、受付で袱紗を開いて差し出します。

香典で使用する袱紗や、香典の渡し方は、以下の記事で詳しく解説しています。

リンク:葬式で使う袱紗(ふくさ)の種類やデザインは?香典の入れ方や渡し方も解説

まとめ

仏式葬儀へ参列する機会は他の葬儀形式に比べて多く、把握しておくと不慣れな状況でも余裕を持てます。

大人としてのマナーへ理解を深め、この記事を通じて仏式葬儀に関する基本を身につけておくと、未経験の場でも自信を持って対処できるでしょう。

この記事が、仏式葬儀の基本を理解するためお役に立てれば幸いです。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。