床の間に仏壇を置くのは問題ない!正しい方法を知るためのガイド

床の間に仏壇を置くのは問題ない!正しい方法を知るためのガイド

仏壇の設置に適している部屋は、どこなのでしょうか?

仏壇は、和室に置かれるイメージが強いですよね。しかし、仏壇を自宅のどこに置くか検討しているときに「床の間に仏壇を置くのはよくない」という話を耳にして、判断に困った経験がある人もいるかもしれません。

実際、仏壇はどこに置いてもよいわけではありません。
設置場所の採光や湿度に気をつける他、和室以外に置く場合は、部屋の雰囲気にあわせて仏壇を選ぶ、といったことに気を配る必要があります。

はじめに、床の間に仏壇を置いてよいか、について解説します。
続いて、仏壇を置く際の注意点、和室以外の設置場所、仏壇を設置するまでに必要なことや、方法についてもご紹介いたします。


床の間に仏壇を置くのはダメじゃない

結論からいうと、 床の間は仏壇を置く場所として適しています
宗派による区別もなく、家全体の構造からみても、床の間は仏壇を置くのに理想的な場所です。

床の間は、和室のうちでも特によい客間の奥にある、一段高く作られた床のことです。
日本建築の伝統でも格式が重んじられてきた箇所で、通常、花や掛軸などを飾りますが、上座(かみざ)であるため、先祖や本尊をまつる仏壇を置くスペースとして適しています。

床の間のある部屋は、設計の段階から風通しと採光が考えられています。そのため、床の間は直射日光があたらず、工芸品である仏壇を劣化させにくい造りになっているのです。

反対に、仏壇を床の間に面して設置することはしません。なぜなら、床の間は上座なので、床の間に向き合うと、仏壇が下座に置かれることになってしまうからです。

床の間に置く仏壇の選び方

床の間に置くなら、 床置き型仏壇を選ぶのが一般的 です。

床の間は、高さがある造りになっています。そのため、サイズに問題がなければ、大きな床置型の仏壇から、小さな上置き型仏壇まで置くことが可能です。

ただ、ひとくちに床の間といっても、家によって大きさは異なります。仏壇を設置する前には、かならず寸法を測りましょう。

床の間の仏壇の置き方

仏壇を設置する場所として床の間を使用するとき、 真ん中に仏壇を置くことで、堂々とした印象 になります。また、家の人が先祖を大切に思い、お祀りしていることも感じさせます。

一方、真ん中ではなく、横に寄せることでスペースができ、飾り物などを置いて活用することができます。

床の間に仏壇を置く際の注意点

では、床の間に仏壇を置く際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

具体的には、床の間のサイズ、仏壇の向き、神棚との位置関係、直射日光を避けることなどに気をつける必要があります。詳細をみていきましょう。

床の間のサイズに気をつける

あらたに仏壇を選ぶとき、 基本的には仏壇店のスタッフが床の間の大きさにあう仏壇を選定してくれます 。ですから、相談する前に床の間のサイズを測っておくと、その後の相談がスムーズです。
一方、すでにある仏壇を移動するときも、移動の前にあらかじめ床の間を測っておき、安置が可能かどうか検討しましょう。特に、観音開きの扉がついている場合、扉を開いたときの寸法を把握しておく必要があります。

必要な床の間の寸法は、幅・高さ・奥行きです。これらの寸法を、正確に測ることが大切です。
床の間の横幅は、一間(約182cm)か半間(約91cm)のものがあります。4畳半や6畳の和室には、半間サイズの床の間があるのが一般的です。
高さは一間程度、奥行きは床の間のつくりによって異なります。

仏壇の向きに気をつける

仏壇を置く方向には、南向き、東向き、西向き、本山(宗派を統括する中心的な寺院)がある方角に向けて仏壇を置くなど、さまざまな考え方があります

基本的に床の間は、東か南に向くよう設計されています。そのような理由もあり、仏壇の向きについては、深く考えなくても大丈夫です。

しかし、地域によっては本山の方角に向けることを重んじることもあります。
一概にいえませんので、迷った場合は、地域の慣習にしたがったり、年長者に尋ねたりして決めても問題ありません。

神棚と向かい合わせは避ける

仏壇を神棚がある部屋に安置するときは、神棚との位置関係に注意して安置します 。どちらも尊重するため、「仏壇と神棚を向かい合わせにしない」「仏壇の上に神棚をお祀りしない」ことに気をつけます。

向かい合わせにすると、どちらかに手を合わせたときに、もう一方にお尻を向けてしまうことになるため、避けます。
また、仏壇と神棚が上下の位置関係にあると、優劣をつけてしまっているかのようにみられます。どちらに手を合わせているのかも分かりにくくなります。

もし、スペースの関係で安置場所が限定されるときは、できるだけ真上と真下の配置にならないよう、神棚と仏壇の中心を左右にずらします。
そのとき、神棚はかならず、仏壇より高いところに安置します。

ただし、ルールにとらわれすぎないことも大切です。日常のお参りのしやすさを優先し、配置を決めるとよいでしょう。

直射日光を避ける

仏壇は、本尊や位牌を安置する場所であり、繊細な細工が施された工芸品でもあります。そのため、 直射日光が当たる場所や、湿気が多い場所は厳禁 です。

仏壇や位牌は、ほとんどが木製ですので、日当たりが良すぎることによって日焼けしたり、ひび割れを起こしたりすることがあります。
また、湿気の多い場所では、カビが発生しやすくなります。

仏壇を床の間以外に置くなら

近年は、床の間がない洋風の家も増えています。仏壇を床の間以外に置くとしたら、どのような場所が適しているのでしょうか。

仏壇を置くのに最も適した場所は 仏間ですが、リビング、寝室、書斎、ダイニング にも置くことができます。
このような場所に仏壇を置く場合、大きな仏壇ではなく、洋風の暮らしに合うモダンな造りの小型仏壇を選択するとよいでしょう。

仏壇を安置する場所について、それぞれの特徴やメリットを解説します。

仏間

仏間(ぶつま)は、仏壇を置くための和室を指しますが、ここでは 「仏壇を置くために設けられたスペース」 を仏間として解説します。

仏間がある場合は、そこに仏壇を設置するのが適しています。床の間の場合と同じく、風通しや採光を考えて設計されているためです。
仏間の横に床の間がある場合は、床の間に季節に合わせた掛け軸や花を飾るとよいでしょう。

仏間は、造りや大きさによって「半床仏間」「地袋(じぶくろ)付仏間」「三尺仏間(半間)」「六尺仏間(一間)」などの種類があります。建築の基準尺には、京間、江戸間、団地サイズなどがあり、寸法が少しずつ異なるため、仏壇を選ぶ前にしっかり測っておくことが大切です。

居間(リビング)

分譲マンションなどでは和室を取り入れていないことが多いため、近年、 仏壇をリビングに置く家が増えています
家族が集まるリビングに仏壇を置くことで、いつも故人が見守ってくれる印象があります。また、気軽に手を合わせることができたり、花や水を取り替えやすいのも特徴です。

スペースや搬入の関係で大型の仏壇を置くことが難しい場合、ミニ仏壇が選ばれています。
ミニ仏壇は、タンスや棚の上、押入に置けるタイプなど、さまざまなタイプが提案されています。洋風の部屋に合わせた、モダンなデザインのミニ仏壇が主流です。

リビング

寝室

仏壇を置く場所として、 生活の中でもっとも気が休まる場所・寝室を選ぶ人もいます 。心を落ち着かせて、身近だった故人や先祖に手を合わせることが優先されています。
仏壇は、家族が積極的に手を合わせる姿をイメージして、部屋の広さや、雰囲気に合わせて選ぶとよいでしょう。

ただし、家族以外の人がお参りしづらいこともあり、親戚や知人が多い場合は注意が必要です。
また、家で法要をおこなう場合、僧侶も仏壇のある部屋に入ることになるため、よく考えて設置場所を決めましょう。

書斎

仕事や読書のために設けられた書斎に仏壇を置くこともできます
書斎にある仏壇に手を合わせて、心身を整えることにより、仕事の集中力アップにつながるかもしれませんね。1人になって集中したり、くつろいだりする空間で、ご先祖様に見守られるイメージです。

現在のミニ仏壇は、おちついた雰囲気の本棚や、書斎の家具にマッチするデザインが数多く提案されています。部屋の広さと、仏壇のサイズのバランスを考えて設置しましょう。

寝室と同じく、法要の場合についても考慮しましょう。

書斎

ダイニング

ダイニングは、家族が食事を楽しむ場所であるため、生前、家族といっしょに過ごすことが好きだった故人を思いながら、気軽にお参りすることができます 。床の色や部屋の雰囲気に合わせて、仏壇を選ぶとよいでしょう。
キッチンに近いので、お供えの交換も気軽にできます。

ただし、鍋料理をする場合などは、湿気対策として換気をし、風通しをよくすることが大切です。

まとめ

仏壇の設置には、現在、さまざまなパターンがあります。
昔ながらの床の間や仏間のある住宅でなくても、現代の洋風スタイルに合わせて、仏壇を選ぶことが主流になりつつあります。

ただし、床の間には、かならず大きな仏壇を置かなければならないというわけではありません。
床の間であっても、その他の場所であっても、十分な高さや奥行きのある台を置き、その上に小型の仏壇を安置して供養することが可能です。仏壇にお参りする時、目より下の位置にならないように設置することが大事です。

部屋のスペースや予算の関係で、仏壇での供養を諦めることがないよう、この知識を多くの人に知ってもらいたいと願います。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。