海に散骨するための準備や手順について解説

海に散骨するための準備や手順について解説

近年、自然葬のひとつとして注目を集めている海への散骨。手続きや流れがわからないという方も多いかもしれません。

実際に海へ散骨するには、一般的なお墓への納骨とは違う準備が必要です。

この記事では、海への散骨の流れをわかりやすく解説します。散骨の種類や準備方法、当日の流れはもちろん、海への散骨のメリット・デメリットについても詳しくご紹介します。

海への散骨を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


海での散骨とは

海での散骨は、火葬後の遺骨を粉骨にして海にまく供養方法 です。

近年、自然に還りたいという希望や、お墓の維持管理の負担を軽減したいという理由から注目されています。

海での散骨は、風景や自然の美しさを感じながら、故人との別れを深く感じることができる儀式として捉えられています。

また、遺骨は海で自然分解されるため、環境負荷が少ない供養方法です。さらに、お墓の購入や管理のための費用がかからないため、費用を抑えられるというメリットもあります。

海での散骨の種類

海での散骨は、船の使用方法などによって、3つの種類があげられます。

  • 委任散骨
  • 乗合散骨
  • 貸切(チャーター)散骨

順番に説明します。

委任散骨

委任散骨とは、 亡くなった人の遺骨を、散骨事業者に頼んで海に散骨してもらう方法 です。

この方法では、家族や友人が直接海に行く必要はありません。

散骨事業者は遺骨を海に撒くための手続きや手配を行い、家族にはその様子を報告することが一般的です。

委任散骨は、家族が海に出ることが難しい場合や遠方に住んでいる場合に利用されます。

乗合散骨

乗合散骨は、複数の家族が集まって、共通の船やボートを利用して海に散骨する方法 です。

参加者は、同じ船に乗り合わせて海に出て、それぞれの遺骨を撒きます。

この形式では、一人で手配するよりも費用を抑えられ、また他の参加者と共に亡くなった人を偲びながら、絆を感じられます。

船の手配や手続きは散骨事業者が行い、参加者は用意されたセレモニーに従って散骨します。

貸切(チャーター)散骨

貸切(チャーター)散骨は、家族や友人が専用の船やボートを借りて、海で散骨する方法 です。

この形式では、ひとつの船を家族や友人だけで使えます。また、散骨を行う場所や時間を自由に選べ、参加者は自分たちだけの静かな時間を過ごせます。

散骨事業者に貸し切り散骨を希望して船やボートを予約してもらい、当日は船長やスタッフの指示に従って散骨を行います。

海で散骨をするための準備

海で散骨をする場合、以下の2つの準備が必要です。

  • 散骨事業者と打ち合わせ
  • 遺骨を引き渡し粉骨

詳しく見ていきましょう。

散骨事業者と打ち合わせ

海での散骨をするための準備で、事業者との打ち合わせは重要です。

まず、自分の希望に合う事業者を探して、連絡を取ります。

事業者には、以下の点について確認するといいでしょう。

  • 希望日に散骨できるか
  • 散骨できる場所はどこか
  • 費用はいくらか
  • 手続き方法について

事業者は散骨の手配や必要な書類の提出、船やボートの手配を行います。

事業者からは、散骨時の服装や持ち物、安全対策についての指示などを受けます。

遺骨を引き渡し粉骨

海での散骨をするためには、 遺骨を粉末状にする「粉骨」が必要 です。

散骨を行う際、遺骨を2mm以下のパウダー状に細かく粉砕する必要があります。

一般的に粉骨の作業は、事業者にお任せです。事業者は遺骨を受け取り、専用の機械を使用して粉骨を行います。

粉骨後、運営会社は遺骨を骨壺などに入れて遺族に返却します。この段階で、遺骨が海に撒かれる準備は完了です。

散骨を海へする際の当日の流れ

海で散骨する日の流れを紹介します。

委任散骨の場合は、事前の準備をして当日は事業者にお任せです。

乗合散骨・貸切(チャーター)散骨の場合は、事前に事業者から伝えられた準備をして、乗船場所へ出向きましょう。

委任散骨の場合

委任散骨の手順は以下の通りです。

まず、 複数の事業者から見積もりを取り、費用やサービス内容、実績などを比較して、自分に合った事業者を選びます

申し込みをした後、事業者から遺骨を入れる専用容器の連絡があります。指定された容器に遺骨を入れて、事業者へ送付または手渡しします。

事業者が遺骨を預かり、散骨を行います。通常散骨の日時を指定することはできません。

散骨後は、事業者から完了の報告として写真や散骨証明書などを受け取ります。

乗合散骨・貸切(チャーター)散骨の場合

乗合散骨や貸切(チャーター)散骨の場合は、遺族や知人が船に乗り込んで散骨を行います。

当日は、基本的に以下の流れで進められます。

  • 乗船
  • 黙祷
  • 散骨
  • 献花・献酒
  • 下船

順番に見ていきましょう。

乗船

当日、 参加者は指定された場所に出向きます。出港場所では、船のスタッフの案内に従って乗船してください

ライフジャケットを着用し、船内設備の説明を受けるなど、安全を確保します。

出港後は、散骨ポイントへ向かいます。

船

黙祷

散骨ポイントに到着すると、船長またはスタッフによる散骨開始のアナウンスがあります

この時、静かに全員で黙祷し、故人を心から偲びましょう。

散骨

遺骨の容器を開けて、中の粉骨された遺灰だけを海に撒きます

散骨を行う際は、風向きに気をつけてください。風が強すぎると、遺灰が散る範囲が広がりすぎたり、参加者に遺灰がかかってしまう可能性があります。

散骨するときは、船の船長やスタッフの指示に従って行うようにしましょう。

献花・献酒

遺骨を海に撒くとき、花びらを一緒に海に撒いて故人に捧げます

このとき、故人の好きだったお酒を海に捧げることもできます。

花は包装から外し、お酒は少量に留めておくなど、海洋環境を保護することを忘れないでください。

お酒

下船

散骨セレモニーが終わった後、船は港に戻ります

参加者はスタッフに見送られ、安全に下船してください。

散骨を海へするメリット・デメリット

海への散骨はメリットだけでなくデメリットも存在します。

散骨を検討する際には、メリットとデメリットをよく理解することが重要です。

海への散骨のメリット・デメリットを順番に解説します。

メリット

海への散骨には、以下の3つのメリットがあります。

  • 自然に還る
  • 費用を抑えられる
  • 環境への負荷が少ない

まず、散骨によって故人の遺灰が、自然に還るという点が挙げられます。

海は地球上の大自然の一部であり、散骨によって遺灰が海に還ることで、故人の存在は自然と一体化できます。

次に、海への散骨は費用を抑えられるという利点があります。散骨を海へ行う場合、墓地や墓石の費用が抑えられます。

さらに、海は自然の循環の一部であり、遺灰が自然に還ることで生態系への負担が最小限に抑えられ、環境への負荷が軽減されるのがメリットです。

デメリット

海への散骨には、以下の3つのデメリットがあります。

  • お参りに行けない
  • 規制や制限がある
  • 周囲へ悪影響を与える

まず、海への散骨を行った場合、故人の墓参りが難しくなるというデメリットがあります。

散骨地点へ家族や友人がお参りに行くことは困難です。従来のお墓のように、故人に直接手を合わせたり、花を手向けたりすることはできません。

次に、海へ散骨する場合、事前に散骨場所の規制や制限を十分に確認する必要があります。

規制や制限を守らないと、周囲へ悪影響を与える可能性があるかもしれないからです。

例えば、海水浴を楽しむ人にとって、その沖で散骨が行われているのは、不快な思いを与えるでしょう。

海への散骨は、周囲への悪影響を最小限に抑えるために、慎重な配慮が必要 です。

そのため、海への散骨は専門の運営会社に依頼して、安全な場所に連れて行ってもらうのが安心です。

まとめ

海への散骨について、準備方法や手順などを解説しました。

海への散骨は、従来のお墓に代わる選択肢として人気が高まっています。

散骨事業者に依頼する際は、事前に散骨方法、費用、散骨場所などを確認し、希望に沿った会社を選びましょう。

またお花やお酒は少量に留めるなど、海への配慮も忘れないでください。

海への散骨は、故人を偲び、遺骨が自然に還る美しい供養方法です。この記事で紹介したメリットやデメリットをよく理解した上で、マナーを守って行いましょう。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。