手元供養での新盆の迎え方|準備から過ごし方までやさしく解説

手元供養での新盆の迎え方|準備から過ごし方までやさしく解説

「手元供養で新盆を迎えることになったけれど、どのように準備をしたらいいの」

このような不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

手元供養での新盆は、故人の魂を初めてお迎えする大切な機会 です。

この記事では、供養スペースの準備から、お迎え火・お送り火の方法、日々の供養の進め方 まで、現代の生活様式に合わせた具体的な方法をご紹介します。

手元供養で新盆を迎えるご準備をされている方は、ぜひ最後までお読みください。

手元供養での新盆の意味を理解する

手元供養は、故人の遺骨の一部を自宅で保管する現代的な供養方法 です。

新盆(にいぼん) は、亡くなった方の魂を初めてお迎えする大切な機会とされており、初盆(はつぼん) とも呼ばれます。手元供養での新盆は、故人との親密な距離感を保ちながら、今の暮らしに寄り添った形で故人を偲び、感謝の気持ちを伝える機会となります。

特に、日々の生活の中で自然と故人を身近に感じられることが、手元供養での新盆の特徴といえるでしょう。

新盆の時期と意義について

新盆は、亡くなって四十九日の忌明けを過ぎてから迎える最初のお盆に行われる仏事 です。

一般的には、その年の7月から8月にかけて執り行われます。この時期、故人の魂は初めて帰ってくると考えられており、生前お世話になった感謝の気持ちを込めて供養を行います。

新盆には、故人との再会を喜び、生前の思い出を家族で分かち合いながら、新たな形での関係を築いていく意義があります。

お盆

手元供養ならではの新盆の特徴

手元供養での新盆の最大の特徴は、日常生活の延長線上で故人を身近に感じながら供養できること です。

リビングの一角など、家族の生活空間に近い場所で供養することで、普段の何気ない会話や想いを自然に故人に伝えられます。

また、家族それぞれのライフスタイルに合わせて柔軟に時間を設定できるため、忙しい現代社会においても、しっかりと故人を偲ぶ時間を確保できます。

お寺での新盆との違いについて

お寺での新盆が定められた場所と時間で執り行われるのに対し、手元供養での新盆は、より柔軟な形で実施できます。

また、お寺での新盆では親族が集まって執り行う大がかりな儀式となることが多いですが、手元供養の場合は、核家族での静かな供養が可能です。

ただし、両者は対立するものではなく、可能な範囲でお寺での行事に参加しながら、日々の供養は手元で行うという組み合わせも一般的です。

お寺 参拝

手元供養の新盆の準備を整える

新盆を迎えるにあたり、故人を安らかにお迎えするための準備が必要です。

手元供養の場合、日常生活の中で自然と故人を感じられる場所選びが重要 となります。
特に新盆期間中は、普段以上に丁寧な準備と心づかいで供養スペースを整えましょう。

主に、以下の3つの準備が大切です。

  • 供養スペースの準備
  • 必要な供養具の確認と準備
  • お供え物の選び方と準備

ひとつずつ詳しく解説します。

供養スペースの準備

供養スペースは、家族の生活動線を考慮しながら、清潔で落ち着いた場所を選びましょう。リビングの一角や和室など、家族が自然と立ち寄れる場所が理想的 です。

新盆期間中は特に、供養スペースの周りを整理整頓し、清らかな雰囲気を保つよう心がけましょう。毎日の掃除と花の水替えで、丁寧な空間づくりを心がけます。

また、供養スペースの周囲には、故人の遺影や思い出の品を飾るスペースも確保すると良いでしょう。これにより、より親密に故人を感じられる空間となります。

必要な供養具の確認と準備

基本的な新盆の供養具として、手元供養用の骨壺やミニ仏壇、位牌、花立て、香炉、白提灯、ローソク立て などがあります。

供養具は無理にすべて揃える必要はなく、シンプルなものから始めることができます。新盆期間中は、お線香やローソクの予備を多めに用意しておくと安心です。また、お供え物を置くための器や花立ても、日常使いの清潔な物で代用できます。

なお、安全面に配慮した供養具の配置を心がけ、火の元には細心の注意を払ってください。

仏壇 仏具

お供え物の選び方と準備

お供え物は、故人の好みを大切にしながら選ぶ といいでしょう。お水やお茶は毎日欠かさず新しいものに取り替え、お花はユリやカーネーションなど長持ちする種類がおすすめです。

果物や菓子類は、生活環境に合わせて日持ちの良いものを選択します。

夏の新盆では、涼しげな印象の花を選んだり、季節の果物を供えたりすることで、より一層心のこもった供養となります。

新盆期間中の過ごし方

新盆期間中の過ごし方について、以下の実践的なポイントを紹介します。

  • お迎え火・お送り火について
  • 日々の供養の進め方
  • 家族や親族との過ごし方

順番に詳しく見ていきましょう。

お迎え火・お送り火について

お迎え火とお送り火は、故人の霊をお迎えし、お送りする大切な習わしです。お迎え火は一般的に、8月13日(7月盆の場合は7月13日)、お送り火は8月16日(7月盆の場合は7月16日)に行います。

特に新盆では、初めて帰ってこられる故人の魂が道に迷わないよう、白紋天(しろもんてん)という真っ白な提灯を目印として、玄関や窓際などに飾ります。

火の使用が難しい住環境では、ローソク型の電池式ライトで代用できます。大切なのは「おかえりなさい」「どうぞ安らかに」という心を込めること です。

なお、白紋天は新盆のみの使用で、お盆明けには処分します。

日々の供養の進め方

新盆期間中の毎日の供養は、朝夕の基本的な流れを決めておくと安心です。

朝は「おはようございます」と挨拶し、お水やお茶を新しく取り替え、お線香をあげます。夕方も同様に「お帰りなさい」と声をかけ、お供え物の取り替えや、お線香をあげる時間を持ちます。

何より大切なのは、続けられる範囲で丁寧に向き合うこと です。

自宅 仏壇

家族や親族との過ごし方

新盆期間中は、故人の魂が家に帰ってきて共に過ごす特別な時間です。食事の際には故人の分もお供えし「一緒に食べましょう」と声をかけたり、家族で集まる時には故人の座っていた場所に花を飾ったりすることで、確かな存在として故人を感じることができます。

子供たちに「おばあちゃんが見に来てくれているのよ」と自然に伝えることで、目に見えない大切な存在への敬意や、年長者を大切に思う心が育まれていくでしょう。

手元供養ならではの利点を活かし、リビングなど生活空間の中で故人と共に過ごす時間を大切にすることで、より親密な新盆の時間を過ごせます。

お盆

大きな骨壺のまま自宅で供養している場合は粉骨でコンパクトに

手元供養をより便利な形で実施するための方法として、粉骨 という選択があります。

火葬後のご遺骨は、関東では7寸(直径21.7cm:高さ25.5cm)、関西では6寸(直径18.2cm:高さ20.5cm)と、かなりの大きさになります。
これを粉骨することで容量を1/3〜1/4にコンパクト化でき、より自然な形で生活空間に溶け込む手元供養が可能となります。

私どもでは粉骨サービスを提供しています。
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まとめ

新盆は、故人の魂が初めて帰ってくる大切な機会です。手元供養の場合、日常生活の中で自然に故人を感じられる環境を整え、心を込めて迎え送りをすることで、より深い供養の時間となります。

供養スペースの準備から日々のお供え、お迎え火・お送り火の準備など、できる範囲でしっかりと整えましょう。

特に大切なのは、故人と共に過ごす時間を家族で大切にすることです。子供たちにとっても、自然と故人を身近に感じられる経験は、かけがえのない成長の機会となります。

手元供養ならではの親密さを活かしながら、心温まる新盆の時間を過ごしていただければと思います。

新しい「故人を偲ぶ」形

本記事をご覧になった方の中には、手元供養での新盆の迎え方について考える過程を通じて、改めて故人に対する想いが高まっている方もいらっしゃるかもしれません。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。