散骨の手続きは必要?場所選びのポイントやメリット・デメリットを解説!

散骨の手続きは必要?場所選びのポイントやメリット・デメリットを解説!

散骨を選んだ場合、「どこで行ったらいいのだろう?」「散骨の注意点は?」など、場所の選び方やメリット、デメリットについて多くの疑問が浮かんでくると思います。
今回は、そんな疑問の多い散骨の場所選びのポイント、メリット、デメリットなどをご紹介させていただきますので、ぜひ最後までお読みください。


散骨とは故人の遺骨を撒くこと

散骨とは、 故人の遺骨のすべて、あるいはその一部を遺灰にし、海、山、川、湖、砂漠、空、宇宙などに撒く葬法の一つであり、墓石のない供養 です。遺骨を自然に還すことから「自然葬」とも呼ばれています。

散骨は長く違法であると思われてきました。しかし1990年代にNPO法人が公開散骨を行い、「散骨は違法ではない」と訴え続けたことで散骨を支持する人が徐々に増え、現在は新しい供養の形として知られています。

散骨は「最期は自然に還りたい」と考える方や、「お墓は必要ない」という方に人気の葬送のスタイルで、一般的なお墓に比べて費用を安く抑えられるのもポイントです。
さまざまなタイプがありますが、代表的なものは海に遺灰を撒く「海洋散骨」、里山の森林に散骨する「樹木葬」、カプセルに納めて宇宙へ打ち上げる「宇宙葬」などが挙げられます。
ヒンドゥー教では、今も亡くなった人の遺灰を川などに散骨するのが一般的で、米国にも散骨を合法化している州は多数あります。

散骨のための手続は不要

散骨を検討している時、遺骨を勝手に散骨して良いのか、手続きをしないと違法になるのではないかと心配な点が多く出てくると思います。
しかし、 現在の日本では散骨に関して明確に定められた法律が存在しません 。なので、散骨を行うための許可や手続きなどは必要ありません。

散骨の場所選びのポイント

どのような場所にでも散骨していいかというとそうではありません 。正しい場所でルールやマナーを守って行わなければトラブルの原因になってしまう可能性があります。これからご紹介する場所を参考に行うとトラブルを未然に防げるでしょう。
また、2020年には厚生労働省が散骨事業者向けとして「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」を公表しているので、そちらもチェックしてみてください。

個人で散骨をする場合は、故人が生前気に入っていた場所や思い出のつまった場所に散骨してあげたいと思う方は多くいらっしゃると思います。
一見、散骨しても問題もないように思える場所でも、実は周囲に影響を与えかねない場所だったということも十分ありえますので、個人で散骨を行いたい場合は事前に散骨する場所選びの基準やポイントを理解しておくことが非常に重要です。
それでは散骨をする際の場所選びのポイントについてご紹介させていただきます。

所有者の許可が得られる場所

ご自身が所有している山や自宅の庭は基本的に散骨が可能です。また、所有者の許可が得られる場所であればそれも可能 です。

ですが、ご自身の私有地で散骨をする場合でも、散骨のルールを十分に確認してから行う必要があるので、注意しましょう。
たとえば、山で散骨をする場合は、その自治体で散骨禁止条例が敷かれていないかを確認するとともに、水源近くや人目につく場所は避けるといったことに注意が必要です。

庭で散骨をする場合も、自治体のルールや近隣住民への配慮をするとともに、散骨のマナーに注意して行うことが重要です。もし今後引っ越しをしたり、その土地を売りに出したりする予定がある場合は、その場所への散骨は避けるようにするのがマナーです。

条例で禁止されていない場所

海は所有者がいないため、基本的に散骨が可能な場所とされています
海はとても広いので、どこにでも散骨できるイメージがあるかと思いますが、漁場や海水浴場付近など、散骨を避けるべき場所がいくつか存在します。

たとえば、観光産業のイメージを守ること、海産物への風評被害に配慮して漁場や人目につかない沿岸から離れた沖合で散骨を行うのが望ましいでしょう。

散骨の費用の目安

散骨の費用目安についてご紹介させていただきます。

自分で散骨する場合

ご自身で遺骨を粉砕してご自身が所有する場所に散骨する場合は、費用はかかりません。
しかし、遺骨を粉砕するのにはかなりの時間がかかるため、 粉砕だけ業者へ頼む方が多い です。

散骨代行

遺骨の粉砕から散骨までをプロに代行してもらうサービスもあります。
大体1.5万円〜10万円と散骨する場所によって値段は変わってきますが、 全てを業者に任せられるので、手配などの手間が面倒な方にはおすすめ です。

海洋乗船散骨

海洋乗船散骨とは、 遺族が船に乗り、海で散骨をすること です。
散骨のみのプランや、お食事付きのプランなど最近は様々な種類があります。
種類によって値段は変わりますが、船のチャーター料とサービス料で8万円〜60万円とサービスの多さによって幅広く値段が変わります。

山林散骨

一般的な山林には所有者がいますので、まず散骨をして良いかどうか確認が必要 です。
所有者が料金を設定していた場合はその金額を払いますが、無料で良いと言われた場合は無料になります。

霊園散骨

多くの霊園では行っていないことが多いですが、 一部の霊園では散骨を許可しています
その場合、「お布施」という名目で料金を支払いますが、大体の相場は2万円程度です。

宇宙散骨

遺灰をつめたカプセルをロケットなどで打ち上げます
他の方の遺灰とともに打ち上げられます。費用は30万円〜250万円が相場とされています。

散骨 ロケット

バルーン宇宙葬Ⓡ

大きなバルーンに遺灰をつめ、上空に飛ばして散骨します 。バルーンは成層圏まで届きます。
相場は26万円〜とされており、開発会社が特許を取り全国に協力店を募って展開しています。

散骨のメリット

散骨を選ぶかどうか悩んでいる方へ、散骨のメリットをご紹介させていただきます。

故人が好きだった場所で眠れる

故人が「思い出のある場所や、自然に還りたい」という意思を持っていた場合、 遺志を尊重する ことができます。

通常の埋葬より費用が抑えられる

埋葬ではないので、お墓は必要ありません。 墓地や墓石などを購入しなくてもよいので、費用が抑えられます

後継者の負担がなくなる

お墓のように継がなければいけないものがないので、 後継者がいない方や、後継者の負担になりたくない人にはおすすめ です。

散骨のデメリット

散骨のデメリットについてご紹介させていただきます。

お墓参りができない

お墓がある場合は、お墓参りで親戚と集まり故人の思い出を話したりする場面があります。しかし散骨はお墓がないので、 故人への想いをはせる場所がありません
よって、そういったことが寂しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。

遺骨を粉骨する必要がある

散骨の場合、粉砕前の遺骨は散骨できないので、粉砕する必要があります。
その際、「遺骨を粉砕するなんて」と不満に思う方もいらっしゃるでしょう。
また、 ご自身で遺骨を粉砕する場合にはかなりの手間がかかる ので、そこもデメリットでしょう。

周囲の理解を得にくい

散骨は比較的新しい供養の方法 なので、まだ抵抗を感じている方も多くいらっしゃると思います。
よってあまり親戚に理解が得られない場合もあるでしょう。

実際に散骨を行いたい場合

  • 散骨日までの流れ
    1.散骨業者を選び、申し込みましょう。
    あらかじめ 家族間で意思疎通を図っておき、事前相談や見積もりに行くことが大切 です。
    散骨はプランや場所などで料金が変わってくるので、家族の意思に合うものを選びましょう。

2.遺骨の受け渡し、粉骨
散骨する場合は遺骨を粉砕しなければなりません。これは業者がやってくれますが、 追加料金がかかる場合もあるので、事前に確認しておきましょう

  • 散骨当日の流れ
    1.集合
    周囲の感情に配慮するために喪服は避けましょう
    また船舶に乗船する際は歩きやすい靴を心がけることがポイントです。

2.最後のお別れ、散骨
花など副葬品を撒くことも可能です。しかし、 ビニールやプラスチックなど自然に還らないものは撒かないようにしましょう 。特に、花の包みなどは解いてから撒きましょう。

散骨

3,黙祷
遺灰に祈りを捧げます
海洋散骨の場合はその場を3回、船でグルリと回旋するのが定番です。

4.解散あるいは会食
散骨の後、 会食を設けるのはとくに風習化されていません が、皆で思い出話をしながら会食するとよい思い出になるでしょう。また、プランとして会食がついている場合もあります。

  • 散骨後の流れ
    1.散骨証明書の受領
    帰港後、 散骨証明書を受領して、一連の流れが終了 します。
    散骨時の写真や散骨場所の写真、散骨位置の詳細を記した資料が提供されるサービスもある場合があります。

2.メモリアルクルーズ
散骨後、命日などをめどとして散骨した場所に訪れるクルーズを実施している業者もあります。チャーターだけでなく、合同で訪れるプランもありますので、 お墓がないからといって集まる場所がないわけではありません

まとめ

今回は、疑問の多い散骨の場所選びのポイント、メリット、デメリットなどをご紹介させていただきました。
この記事を読んで少しでも散骨についての疑問が解消されたら幸いです。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。