費用は0円?散骨を山で行う際の注意点・手順について解説

費用は0円?散骨を山で行う際の注意点・手順について解説

「死んだら骨は山に撒いて欲しい」
「故人の好きだった山で眠らせてあげたい」

でも、山に散骨するってそもそも法律違反にならないのかとご心配ですか。

結論からいうと、山に散骨することは、法律違反ではありません。しかし、法律にふれる行為や環境面から気をつけたいことがいくつかあります。

そこで、この記事では散骨を山で行う場合の手順や、注意点などをご紹介しています。

山で散骨を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。


山への散骨とは

山への散骨とは、亡くなった人の遺骨を粉砕し、山林に撒く自然葬のひとつです

生前に山登りが好きだった故人や、自然の中で過ごしたいと願っていた故人の希望や、遺族がその意思を尊重して、選ぶケースが増えています。

また、山へ散骨することは土地や墓石などを必要としないため、費用が安く、環境負荷が少ないのも、人気の理由といえるでしょう。

ただし、事前に土地所有者の許可を得る必要や、散骨場所の選定など、いくつか注意すべき点もあります。

山への散骨を検討する場合は、これらの点を理解した上で、故人の遺志や遺族の希望を尊重しながら、慎重に決定することが大切です。

散骨できる山とできない山

散骨をすることは、法律で禁止されている行為ではありません。ただし、山へ散骨する場合、散骨できる山とできない山があります。

散骨できる山
自分の所有する山 自分の所有する山であれば、自由に散骨できます
散骨業者所有の山 散骨業者が所有する山林で、散骨サービスを提供している場合があります
散骨できない山
他人の所有する山 他の人が所有する山で散骨するには、所有者の許可が必要です
国有林 国有林で散骨するにも、許可が必要です。しかし、個人的な利用は認められていないため、申請しても認められません
水源付近 私有地であっても水源付近では、水質汚染を防ぐために散骨は避けるべきです

山林は私有地である場合も多く、所有者の許可なく散骨を行うことは違法行為となります。

また、散骨された骨を目にすることは、人によっては不快な思いをする可能性も考えられます。特に、農地や水源近くでの散骨は、農産物への風評被害や水質汚染の懸念も生じます。

こうした問題を避けるためには、 適切なマナーを守って散骨を行うことが重要 です。

散骨を山でするための手順

散骨を山で行う際の手順をご紹介します。

  • 散骨場所の決定
  • 粉骨
  • 散骨

順番に見ていきましょう。

散骨場所の決定

山への散骨場所は、以下の点を事前に確認して決定しましょう。

  • 散骨場所の所有者: 散骨場所の所有者を確認し、許可を得ます。
  • 散骨場所の環境: 水源地域や自然公園など、散骨が禁止されていないか確認します。
  • 散骨後の管理: 散骨後のゴミや遺骨の粉末が環境に悪影響を与えないか確認します。

また、 山での散骨では、墓地や墓標を建てることは法律で禁止されています 。そのため、後日供養に行く際に場所がわからなくなるリスクがあります。

後々、同じ場所を訪れて供養したい場合は、大きな岩や木など、目印となる自然物がある場所を選ぶと、後から場所を特定しやすくなります。

粉骨

山での散骨を行う前に、必ず遺骨を細かく粉砕する作業、つまり 粉骨が必要 です。

粉骨とは、骨を細かく粉末に砕くことです。粉骨が不十分なまま散骨を行うと、他人の目に触れたとき犯罪の可能性を疑われてしまう恐れがあります。

粉骨の方法としては、ハンマーやスリコギなどでパウダー状になるまで砕いたり、ミキサーなどの家庭用機器を使って粉砕するといったものもあります。ただし、いずれにしろ遺族にとっては精神的な負担が大きい作業です。

一般的には、粉骨業者に依頼して粉骨を行うことが推奨されます。

散骨

散骨を行うと決めた場所に到着したら、粉骨した遺骨を、 静かに、丁寧に撒きます

このとき、故人を偲び、お花やお供え物、お線香などを捧げるのもいいでしょう。故人が好きだった歌を流すのもおすすめです。

ただし、環境への配慮を忘れず、ビニールやプラスチックなどは、持ち帰ったりするよう心がけましょう。大声を出すといった行為で周辺に迷惑をかけないことも大事です。

また、お線香やろうそくを使用した場合、山火事の原因になる恐れがあります。火の元には十分注意してください。

散骨を自分の山で行えば費用は0円(無料)

自分が所有する山での散骨は、費用がかかりません

散骨を行う場所を所有している場合、墓地や斎場などの使用料を支払う必要がありません。また、粉骨や散骨のための手続きや許可も必要ありません。

そのため、散骨を自分の山で行えば、全体的な費用を抑えられます。

ただし、自分の山がない場合は、業者などに依頼して散骨できる場所を提供してもらう必要があります。この場合は、粉骨費用も含め、10万円から20万円ほどが相場となっています。

散骨を山で行う魅力

散骨を山で行う魅力は、以下の3つがあげられます。

  • 自然に還れる
  • 費用を抑えられる
  • 次世代に負担がかからない

順番に詳しく解説します。

自然に還れる

山での散骨の魅力は、故人の遺骨が自然に還れることです

山は自然の中であり、風や雨、土壌によって遺骨が分解され、自然の一部となります。これは、故人の魂が山や周囲の自然と一体化し、永遠に続く自然の循環の一部となることです。

また、山は静寂と美しさが共存する場所でもあります。そのため遺族も、故人の思い出を感じながら、自然の中で心を落ち着かせられるのではないでしょうか。

さらに、山での散骨は、お墓などの人造物をつくることなく、環境に配慮した方法です。散骨を山で行うことは、自然を愛する人にとって最良の供養となるでしょう。

費用を抑えられる

「散骨を自分の山で行えば費用は0円」でお伝えしたように、墓地や霊園を利用する場合に比べて土地の使用料や管理費が不要なため、山への散骨は費用がかなり抑えられます。

さらに、同じ散骨でも海洋散骨は船舶や施設、樹木葬は専用墓地が必要です。これらの利用には費用がかかりますが、山では特別な設備は必要ありません。

そのため、山での散骨は、他の散骨方法と比べても、 費用を抑えられる魅力があります

次世代に負担がかからない

山での散骨は、お墓を持たないため次世代への負担が少ないです。

お墓を持つことは、購入費用に加え、永代使用料や管理費など、長期的な維持費がかかります。

山に散骨することで、これらの費用は一切不要です

さらに、お墓の掃除や草むしりなどは時間的に負担と感じる場合もあるでしょう。
これらの負担が一切必要ない散骨は、次世代に負担をかけずに故人を追悼する選択肢として注目されています。

散骨を山で行う際の注意点

散骨を山で行う際、気をつけたいポイントが2つあります。

  • 土を掘り起こさない
  • 一度埋葬された骨をお墓から出す際は改葬許可が必要

ひとつずつ見ていきましょう。

土を掘り起こさない

日本では、 「墓地、埋葬等に関する法律」という法律があり、墓地以外の場所への埋葬が禁止されています

山は基本的に墓地ではないため、土を掘り起こして遺骨を埋葬することはこの法律に違反することになります。

一方、土を掘り起こさずに地面に撒いたり、水に流したりする散骨に関しては、この法律では明確に禁止されていません。

散骨を行う際は、土を掘り起こさずに遺骨を撒くことが重要です。

土

一度埋葬された骨をお墓から出す際は改葬許可が必要

一度お墓に埋葬した遺骨を取り出す場合、前章の法律「墓地、埋葬等に関する法律」に基づき、改葬許可証が必要となります

ただし、改葬許可申請を行うには、取り出したお骨を収める次の場所の記載が必要になります。散骨は、まだ法整備が整っていないため、遺骨を移す場所で散骨を選ぶことはできません。

自治体によって、自宅にすることで許可がおりる場合もありますが、対応は異なります。

まずは、遺骨を納めている市町村役場に問い合わせてみてください。

まとめ

散骨を山で行う際の手順や魅力、注意点についてまとめました。

山での散骨は、許可申請や墓地・施設の管理が不要で費用を抑えられます。

また、継承の義務がなく、自然に還るため、環境負荷も少ないです。

次世代に負担をかけない、自然な供養方法として注目されています。

一方、土を掘り起こさないなどの注意点もありますので、こちらの記事を参考に、法律や環境への配慮を忘れずに行うことが大切です。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。