迎え盆と送り盆の基本がわかる 団子の準備も完全ガイド

迎え盆や送り盆という言葉を聞いたことはあるものの、その意味までは詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。迎え盆と送り盆とは、それぞれお盆が始まる日と終わる日にご先祖様への感謝を示す行事です。
本記事では、迎え盆と送り盆の意味や日程、必要な準備や片付けについて解説しています。さらに、現代のライフスタイルに合わせた迎え盆・送り盆の工夫についてもご紹介していますので、迎え盆や送り盆について詳しく知りたい方はぜひ最後までお読みください。
そもそもお盆とは?迎え盆と送り盆の意味
迎え盆と送り盆は、それぞれお盆が始まる日と終わる日に実施される行事ですが、では、そもそも「お盆」とはどのような行事なのでしょうか。
お盆とは、年に一度、ご先祖様の霊を迎え供養する日本の伝統行事 です。多くの地域でお盆はいわゆる「お盆休み」の時期ですが、お盆は地域性が強い行事であるために、新暦の7月15日前後の場合や、旧暦の7月15日前後の場合、さらに「月遅れ盆」と呼ばれる8月15日前後の場合もあり、東京周辺を除いた全国では、月遅れ盆が一般的です。
お盆の時期には霊(故人やご先祖様の魂)が一時的に家に帰ってくるとされ、精霊棚を用意してお供え物をしたり、お墓参りをしたりします。また、現代では、親族一同が集まり故人を偲びつつ、久しぶりの再会を楽しむ期間としても親しまれています。以下で、迎え盆と送り盆の意味について詳しく見ていきましょう。
【迎え盆】お盆の初日に先祖の霊を迎える意味
迎え盆とは、 お盆の初日に行われる行事で、先祖の霊をこの世に迎える意味を持ちます。 迎え盆では、仏壇にお供えをし、玄関先や庭先などで迎え火を焚きます。これは、先祖の霊が迷うことなくこちらに来ることができるようにするためです。精霊馬と呼ばれるお供え物を用意したりすることもあります。
【送り盆】お盆の最終日に霊をあの世へ送る意味
送り盆とは、 お盆の最終日に行われる行事で、迎え盆で迎えた先祖の霊をあの世へ送る意味を持ちます。 送り盆では、故人やご先祖様とともにゆっくり過ごしたあと、迎え火と同じ場所で送り火を焚きます。これは、焚く火による光であの世への道筋を作り、この世に来てくれたご先祖様たちが迷わず天に帰れるようにするためです。
盆提灯を灯す場合や、盆棚に飾った精霊馬などを送り火と一緒に焚く場合もあります。
迎え盆と送り盆はいつ行う?
先祖の霊をこの世に迎え入れる迎え盆と、お盆の期間中に帰ってきてくれた先祖の霊をあの世へ送る送り盆。これらは毎年決まった時期に行われる伝統行事です。ここでは、迎え盆と送り盆が行われる具体的な日程について解説していきます。
迎え盆は盆の初日に行う
迎え盆はお盆の初日に行います。迎え盆は夕方に実施されることが一般的ですが、実施する時間帯に決まりはないため、真昼やとっぷりと暮れた夜など大幅にずれた時間でなければ、いつ実施しても問題はないでしょう。 ただ、早めに迎えに行くことが「ご先祖様を待たせることにならない」と推奨される地域もあります。
夕方に迎え盆を行う背景には、夕暮れに門口や玄関で迎え火を焚くことで、先祖の霊が迷わず自分の家族が待つ家へ帰ってこられるようにすることが関係しているようです。なお、迎え盆を実施する前には、お盆飾りを準備しておくのが一般的です。お盆飾りについて、詳しくは次章で解説します。
送り盆は盆の最終日に行う
送り盆はお盆の最終日に行います。送り盆は午前中から夕方まで、さまざまな時間帯で実施されますが、先祖の霊は午前中まで家に滞在していると言われるため、お供え物は送り盆の朝までは飾っておくようにしましょう。
地域によって、午前中に済ませておく必要があるところもあれば、夜遅くまで行うところもあります。「あまり早い時間に送り盆を行うと、ご先祖様に早く帰れと言っているようだ」と、あくまで夕方に送り盆を行なう地域もあります。このように風習は地域によって異なるため、地域の詳しい方に確認しておくと安心です。
迎え盆の準備とやり方
迎え盆の準備として、 精霊棚(盆棚)の設置やお仏壇の掃除をする必要があります。 迎え盆当日に慌ただしくならないよう、余裕を持って早めに準備を始めると良いでしょう。精霊棚には、団子や、ききょう・萩などの花、きゅうりの馬となすの牛をイメージした飾りである精霊馬、位牌、ロウソクなどをお供えします。
迎え火の方法は、大きく2つあります。
1つはお墓参りの際、お墓やお寺でおこした火を「お迎え提灯(手持ちの提灯)」などに灯して自宅に持ち帰る方法です。灯りを持ち帰ることで、ご先祖様をお墓から自宅まで道案内する意味があります。
もう1つは、自宅で直接火をおこす方法です。お墓が遠方にある場合やお墓がない場合、お墓やお寺から火を持ち帰る風習がない地域などで行われます。現代はお寺の檀家でない家庭も多いため、このやり方が増えてきています。
なお、懐中電灯で代用する家庭もあります。お墓の前で懐中電灯をオンにし、家に帰るまでずっとオンにしておくことで、ご先祖様に自宅までの道筋を教えます。
送り盆のやり方と片付け方
送り盆では、迎え火と同じ場所に送り火を焚き、ご先祖様を送り出します。地域や住居のルールなどにより火が使えない場合は、提灯やランプの灯りで代用し、手を合わせて見送ります。
精霊棚(盆棚)はお盆の最終日である16日にご先祖様の霊を送り火でお見送りした後に片付けを始めます。盆棚にお供えした食べ物は、食べられるものは家族で分けていただき、傷んだものは塩で清めたうえでキッチンペーパーや半紙に包んで処分します。
精霊馬は、菩提寺でお焚き上げしてもらうか、塩で清めてから処分します。精霊馬はご先祖様の乗り物であるため、処分する前に手を合わせるようにします。盆提灯や精霊棚はハタキなどできれいに掃除したあとで収納します。
なお、片付けのタイミングは地域性があるため、お住まいの土地の風習に合わせると安心です。ただし、 送り火の火は必ず当日中に後始末をしましょう。
お盆に欠かせない迎え団子と送り団子
お盆初日の13日には「迎え団子」、盆明けの16日には「送り団子」をお供えします。迎え団子はご先祖様がこの世に戻って来られるまでの道中のお疲れを癒す意味から、餡をまぶしたり、甘い醤油タレがついたお団子を用意したりするのが一般的なようです。一方、送り団子はご先祖様に持ち帰っていただくためのお手土産として、何もつけない白団子で用意します。
また、ご先祖様がこの世におられる期間中の14〜15日は「おもてなし団子」、またはゆっくりと滞在していただきたいという意味を込め「落ちつき団子」としておはぎが供えられることが多いようです。
迎え団子は6個以上用意し、積み上げる場合は20個で四段がもっとも一般的とされている一方、送り団子は三段または四段のピラミッド型にすることが多いようです。
ただし迎えや送りに使う団子の作り方は、地域によってかなり多様性があります。年長者などに、お盆のお供え物の風習について尋ねてみましょう。
新盆(初盆)での迎え盆と送り盆の特別な準備
新盆(初盆)とは、故人様が亡くなられてから初めて迎えるお盆のことで、親族や知人・友人などの大勢で、通常のお盆よりも丁寧かつ華やかに供養を行う特別な行事です。
新盆(初盆)では、 「白紋天(しろもんてん)」と呼ばれる白い提灯を特別に準備 します。これは、あの世から初めて戻ってくる故人の霊が迷わないための目印としての意味があります。また、白い提灯を用意することには、清らかで汚れのない清浄無垢な気持ちではじめてのお戻りを迎えるという思いが込められてます。
白紋天は主に玄関先(軒先)に吊り下げてお飾りするのが一般的ですが、近年は住宅事情やご意向により、室内の盆棚付近やカーテンレールなどに飾る方も増えているようです。
現代生活に合わせた迎え盆・送り盆の工夫
お盆の法要は新盆では実施しますが、以後のお盆は毎年行わなければならないという決まりはありません。菩提寺の有無や住宅事情に応じて、自分で読経を行ったり、精霊棚を省略して簡単なお供え物だけを用意したりと自分なりのアレンジをすることも可能です。
ただし、立場によっては、親戚や菩提寺との関係から毎年行う必要がある場合もあります。お盆の法要の実施はある程度自由ですが、ご自身の暮らしや環境、周囲との関係性を踏まえて続け方を工夫していくと良いでしょう。
まとめ
迎え盆と送り盆の意味や日程、準備や片付け、そして現代のライフスタイルに合わせた工夫についてご紹介してきました。
盆は、ご先祖様を迎え、そしてお見送りする大切な期間です。迎え盆はお盆の初日に、送り盆は最終日に行い、ご先祖様とのつながりを感じる機会でもあります。
近年は住宅事情などにより形は変わってきていますが、大切なのは気持ちを込めて供養することです。必要な準備はなるべくお盆の前日までに済ませておきましょう。
年に一度のこの機会に、ご自身の暮らしに合った方法で、伝統を大切にしながらご先祖様をお迎えしてみてはいかがでしょうか。
本記事がお役に立てましたら幸いです。
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