一周忌を身内(家族)のみで行う時の案内状や挨拶について解説
故人が亡くなってから一年後の命日の一周忌。
一生のうちでも数える程度しか経験しないことのため、一周忌の法要の案内や挨拶、注意点など不安な方も多いかと思います。
本記事では、一周忌とはどんな法要かというご説明から始め、一周忌法要の流れについて触れつつ、身内のみで一周忌法要を行う場合の注意点について解説します。
一周忌とはどんな法要?
一周忌法要とは、故人が亡くなってから、 満一年の命日 に執り行われるものです。年忌法要の中でも大切な法要とされており、親族や、故人と親しかった方を招き、故人を偲ぶことが目的です。
本来は、故人が亡くなった同月同日の「祥月命日」に行いますが、 その日が平日であったりする場合は、参列者の予定に合わせて土曜日や日曜日で調整することが多い ようです。このとき、 日程が後ろ倒しにならないよう 注意しましょう。
また、似たような言葉に「一回忌」がありますが、意味は明確に異なります。
「一回忌」は、故人が亡くなった日のこと を言います。それに対し「一周忌」は、故人が亡くなった翌年に行われる法要のことを指します。
故人が亡くなってから、年が一周した、という意味で「一周忌」を使い、周忌を用いるのはこのときだけです。亡くなってから2年後、3年後は、それぞれ三回忌、四回忌といいます。
一周忌には一般的に誰が集まる?
一周忌には誰が集まるのか、ということに決まりはありません。一般的には、親族と故人と生前親しかった方に案内状を出すことが多いです。
家族のみで行う場合もあれば、知人、友人、会社関係者まで幅広く案内状を出す場合もあります。生前に故人から希望を聞いていた場合は、それを尊重し、特に聞いていない場合は、家族で相談して決めるようにしましょう。
一周忌を身内(家族)のみで行うときの流れ
一周忌について理解できたところで、家族のみで行う場合の流れについて見ていきましょう。
ここでは、施主の家族と故人から3親等以内で親しい親族を「家族」とします。
当日までの流れ
一周忌当日までの一般的な流れは
- 日程決め
- 会場の手配
- 家族への案内
- 会食・引き出物の手配
- お布施などのお金の準備
- 供物の手配
となります。
一番初めに日程を決めますが、僧侶を自宅などに招く場合は、お寺との相談が必要になります。
また、家族以外の方も参加する場合には引き出物の準備が必要となりますが、家族のみの場合はこの準備も不要です。
会食・引き出物の手配、お布施については、「一周忌法要にかかる費用」の部分で詳しくご説明します。
身内(家族)への案内
基本的に、施主が案内状を出す形で一周忌の案内をします。案内状を送る際は、返信が可能な往復はがきを使いましょう。招待する人数が少ない場合は電話や家族LINEグループ等で伝える方法でも良いでしょう。伝え漏れがないように、メールでも、日時や場所を送っておくと安心です。
メールで連絡する場合は以下の内容を伝えましょう。
- 誰の一周忌なのか
- 日時と場所
- 会食の有無
- 出欠の表明方法
必要があれば香典(御仏前)を辞退する旨も添えて良いでしょう。
一周忌法要の案内状の文例
拝啓
〇〇の候
皆様にはますますご清祥のことと存じます
昨年〇月〇日に(間柄) 〇〇〇〇 が他界し 早くも一年を迎えようとしております
つきましては 生前お世話になりました皆様のご参列を仰ぎ 心ばかりの法要を営みたく存じますご多用のところ恐縮ですが 何卒ご臨席賜りますようお願い申し上げます
敬具
令和〇年〇月
日時 〇〇月〇日(〇曜日) 〇時〇分より
場所 〇〇〇〇〇〇
電話 △△△△△なお 法要後は供養の粗宴をご用意いたしております
※お手数ですが〇月〇日までに返信葉書にてご都合をお知らせ下さい
【郵便番号・住所】
【電話番号】
【名前】
一周忌法要当日の流れ
一周忌当日の一般的な流れは、
- 法要開始の挨拶
- 僧侶による読経
- 焼香
- 僧侶による法話
- 墓参り
- 終了の挨拶
- 食事
となります。
法要開始の挨拶の前に、僧侶の入場の時間が設けられる場合もありますが、それほど大きな規模でない場合は、最初から僧侶が着席していることが多いです。
僧侶による読経は、数珠を持ち静かに聴きます。なお、墓参りは墓地が近い時に行い、遠い場合は省略してもかまいません。
そして、終了の挨拶の後、場所を移して食事をします。法要などの弔事の後に食事の席を設けることは、日本の古くからの慣習の名残であるとされています。
現代では、故人を偲び供養し、同時に参列者へのお礼の気持ちとして、このような場が設けられます。
しかし近年は、感染症の拡大の影響で、会食を控えようと考えることも多いです。会食をしないということを決めたら、事前に参列者に連絡をし、持ち帰り用の弁当を用意しておくと良いでしょう。
参加してない身内に事後報告
一周忌に参加しない親族には、法要を済ませた後に、無事に終わったという旨を、挨拶状で報告することが多いです。事前に家族のみで行うことを連絡すると、「一周忌に間に合うよう、香典(御仏前)や供物を送るべきか」と気を揉む人もいることが考えられるからです。ただ、事後に連絡すると「一周忌をするならこのあたりと目星をつけ、予定を空けておいたのに」と寂しく感じる人もいます。とくに血縁の濃い人など、本来なら一周忌法要に招待しても当然と考えられる人には事前に電話等で簡単に連絡しておいた方がいいでしょう。
相手の立場や考え方を考慮して、慎重に、連絡するタイミングを考えましょう。
挨拶状の例文は以下の通りです。
謹啓
〇〇の侯 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
このたび(間柄) 〇〇〇〇の一周忌法要を家族のみで執り行ったことご報告申し上げます
本来であれば皆様にご臨席賜るところではございますが
家族のみで営みたいという家族の意から 甚だ勝手ながら
家族のみでささやかに行わせていただきました
誠に恐縮ではございますがご理解頂ければ幸いでございます
故人が生前に賜りましたご厚誼に深く感謝しますとともに 今後とも変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
皆様のご健勝をお祈り申し上げます
敬具
令和〇〇年〇〇月
住所〇〇市〇〇
喪主(もしくは施主) ▲▲▲▲
一周忌法要にかかる費用
家族のみで行う法要にかかる費用は主に、「会食・引き出物の費用」と「寺院に払う費用」があります。
会食・引き出物の費用
会食の費用は、手作りのものを出す際など、必要ない場合もあります。
また、法要を行う会場は、ほとんどが自宅または寺院、法要会館です。寺院などの使用料金は、場所によって異なりますが、3万円〜5万円のことが多いようです。自宅以外で行う場合は、事前に確認しておきましょう。
引き出物とは、招待した参列者に共通して渡すもので、日常的に使うお茶やお菓子、タオルなどが一般的です。引き出物と同時に参列者に対して挨拶もしくは礼状を渡すと丁寧でしょう。参列者から香典(御仏前)をいただいている場合は、会食と引き出物の費用が香典の金額の7割程度となるようにしましょう。
ただし、家族の間で相談して香典・供物や引き出物を渡さないことを決めることもあります。
寺院に払う費用
寺院に払う費用は、「お布施」「御車料」「御膳料」があります。
お布施とは、僧侶を招いてお経を上げてもらった際に渡すものです。一般的な相場は3万円〜5万円とされており、四十九日の法要の時と同じか、やや低めの金額を渡すことが多いです。しかし、お布施は本来、僧侶に対する、感謝の気持ちを表すものであるため、金額に決まりはありません。
御車料は、僧侶が会場へ到着するまでに交通費がかかった場合にお渡しし、御膳料は、僧侶が会食に参加しない場合に、お食事代としてお渡しします。どちらも、相場は5千円〜1万円です。これらも決まった金額はないので、相場を参考にしてお渡ししましょう。
一周忌を身内(家族)のみで行う時の挨拶
一周忌を家族のみで行う時は、手短な挨拶で構いません。親族も集まるような法要では、改まった挨拶を行う必要がありますが、集まるのが身内だけでは、丁寧すぎる挨拶がかえって不自然に感じられる場合があるためです。
そもそも、法要や葬儀の際の施主(喪主)挨拶には、次の3つの要素が込められています。これらの要素が入っていれば、簡素な言葉であってもしっかり挨拶を果たしたことになります。
- 儀式の進行
- 故人に関する話題
- 施主として参列してくださった方への感謝を伝える
それでは、一周忌の施主挨拶を「法要が始まる時の挨拶」「法要終了時の挨拶」「会食前の挨拶」「会食後の挨拶」に分け、文例をご紹介します。
法要が始まる時の挨拶
みなさま、本日はお集まりいただき、ありがとうございます。一周忌という節目に、こうして家族に集まってもらい、亡くなった父も喜んでいると思います。お時間になりましたので、ただいまより、故・●●●●(本名)、戒名●●●●居士の一周忌法要を始めます。それではご住職、どうぞよろしくお願いします。
法要終了時の挨拶
ご住職、ありがとうございました。これにて、故・●●●●(本名)、戒名●●●●居士の一周忌法要を終了します。家族が揃ったこの場で一周忌法要が滞りなく終了し、本人も安心していることと思います。この後、場所を移動して会食となります。身支度をして、玄関に集合しましょう。
会食前の挨拶
全員席に着きましたので、これより御斎(おとき。宗教や地域によって会食の呼び方は違う)を始めます。父の思い出話などをしながら、ごゆっくりお召し上がりください。
会食後の挨拶
思い出話が尽きませんが、そろそろお時間となりました。これにて御斎を終了します。みなさまの元気な姿を見ることができ、亡き父もさぞ喜んでいることと思います。今後も家族として、絆を深めていきましょう。本日はご参加いただき、本当にありがとうございました。
以上のように、ごくシンプルで、カジュアルな言葉でまったく構いません。同居する家族しか参加しない場合は、進行するだけでも構わないでしょう。参加する身内の範囲に合わせて、アレンジしてください。
一周忌を身内(家族)のみで行うときのマナー
次に、一周忌を行う際のマナーについてご紹介していきます。
一周忌を身内(家族)のみで行うときの服装
家族のみの場合でも、男女共に喪服 の着用がマナーです。特に寺院や会場を借り、執り行うときは必須です。
それでは、自宅で行う場合はどうなのでしょうか。この場合は、お寺の僧侶や家族と相談をして、喪服を着用せずに行うこともあります。無断で平服を着用せず、しっかりと話し合いをしておきましょう。
また、アクセサリーにも注意が必要です。バッグは光沢感のない布素材の黒いもの、靴も光沢のない黒で統一します。ヒールを履く場合は3センチ前後のものが、フォーマルとされています。ピアスやネックレスを着用する場合は、涙を表すとされている黒か白の真珠のもので、一連のものにしましょう。
喪に服していることを忘れず、注意をして服装を選びましょう。
一周忌を身内(家族)のみで行うときの香典
家族のみで行う場合、施主が扶養している家族は香典を出す必要はありません 。
そのほかの家族や、別居している家族が香典を出す場合にも、それぞれの家族の事情や、法要の規模に応じて、金額を決めると良いでしょう。
注意点としては、 新札を使用しないこと、縁起の悪い数字(4や9の死、苦を連想させる数字や偶数のような割り切れる数字)は避ける 、ということが挙げられます。
まとめ
近年は、核家族化や感染症の拡大により、一周忌を家族のみで行おうと考える方が多いです。家族のみで行うことは、費用も抑えることができ、連絡する手間もかからないことがメリットだと言えるでしょう。「喪に服している」ということは忘れずに、時代の流れに合わせた一周忌法要が行えるよう、準備しておきたいですね。
一周忌の新しい過ごし方
昨今、一周忌の法要は身内だけで行うという方が増えてきました。法要に限らず、葬儀もごく親しい親族のみで行う場合も少なくありません。故人の友人のお別れの機会が少なくなっていると言えるでしょう。
何かしたいけど何もできないという状況が生じたり、訃報には接したものの、お葬式に参列できず全く実感が持てない方がいることも事実です。そこで、対面の葬儀や法要は親族のみで行い、追悼サイトを通じてご友人と一緒に思い出を振り返るという一周忌の新しい過ごし方をご紹介します。
弊社が運営している葬想式を使うことで距離と時間を越えて故人を偲ぶ機会を無料でお作りいただくことができます。
葬想式は招待制の追悼サイトを簡単に作れる無料サービスです。招待された人々がサイトに集い、思い出の写真やメッセージを投稿できます。公開期間中(3日間)はいつでも、どこからでもサイトにアクセス可能で他の参加者の写真やメッセージも見ることができます。参加人数、投稿写真枚数、メッセージの数は無制限、無料でご利用いただけます。
葬想式を通じて、 ご葬儀に集まれなかった方も含めて故人様との思い出を振り返り、メッセージを綴るという機会 にもなりますし、ご友人が参加することで、 ご親族がお持ちでなかった故人様の写真をご覧いただく こともできます。
みんなで故人様に思いを馳せ、思い出を振り返り、メッセージを綴るという時間を法要という節目にお過ごしいただくというのはいかがでしょうか?葬想式は法要の慣習を代替するものではなく、法要が担ってきた役割の一部を補完する仕組みです。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。
本記事が少しでも皆様のお役に立てましたら、冥利に尽きます。