宇宙葬(スペースメモリアル)とはどんな供養方法?種類や費用をチェック
近年、色々な葬儀の形が出てきましたが、その中でも自然葬の「宇宙葬」はどんなものか気になる方も多くいらっしゃると思います。
宇宙葬とは宇宙へ遺灰をロケットで打ち上げる弔い方のことです。
1997年にアメリカで始まった宇宙葬ですが、まだ親しみはあまりないと思います。
今回はそんな宇宙葬の内容や費用についてご紹介させていただきますので、ぜひ最後までお読みください。
宇宙葬とは宇宙に遺灰を撒く自然葬
宇宙葬とは自然葬の形式のひとつとされている葬儀 です。
故人の遺骨や遺灰を専用のカプセルに納め、ロケットで打ち上げ、宇宙空間へ散骨します。
1997年にアメリカで始まった宇宙葬は、参加した人数が全世界でまだのべ300人程度とまだまだ知られていませんが、その規模は現在も拡大しているといわれています。
日本で宇宙葬を希望する場合、以前なら海外の業者に依頼するしかありませんでしたが、最近では日本でも宇宙葬に対応する業者が増えています。
また、市場が拡大してきているため、宇宙葬の形式やプランにもさまざまな選択肢が用意されるようになりました。今では一般の人も希望をすれば宇宙葬がおこなえますので、ぜひ遺骨の弔い方の候補に入れてみてはいかがでしょうか。
宇宙葬の歴史はアメリカから
宇宙葬の歴史は アメリカから始まりました 。
1997年4月21日、世界初の宇宙葬に周囲は話題に包まれたことでしょう。
空中発射型ロケットの「ペガサスロケット」によって宇宙葬は行われ、このロケットには有名映画のプロデューサーや、心理学者など24人分の遺骨が格納されていました。
このロケットは2002年5月20日にオーストラリア北部へ落下したとされています。
宇宙葬の種類は主に3つ
宇宙葬の種類は主に以下の3つです。
遺灰の入ったカプセルを宇宙に運ぶ
遺灰を納めたカプセルを、人工衛星に乗せて打ち上げる方法、「流れ星供養」 。
打ち上げられた人工衛星は、地球を数日〜数年周回した後、流れ星となり大気圏に突入して燃え尽きます。
その最後の姿から「流れ星供養」と呼ばれています。
プランによっては、周回する人工衛星の位置情報を確認できたり、衛星から見た地球の姿を見られたりする専用のアプリも用意されている場合があります。
遺灰の入ったカプセルを月に運ぶ
遺灰の入ったカプセルをロケットに搭載して月に運ぶ「月面供養」は、散骨ではなく「月面に安置する」という方法をとっています 。
月をお墓にするという考えで、残された人は地球のどこからでも、月を見上げてお墓参りができるというコンセプトです。
遺灰をバルーンに入れて散骨する
遺灰をバルーンに入れて散骨する「バルーン宇宙葬Ⓡ」は、遺骨や遺灰を巨大なバルーンに入れて空へ向けて飛ばす方法です 。
バルーンが成層圏に到達するとバルーンが割れ、遺灰が空中に散骨されるという仕組みとなっています。
成層圏までしか上昇しない点で厳密には「宇宙葬」ではありませんが、広義の意味で宇宙葬のひとつに数えられることもあります。
宇宙葬のうち比較的新しい形式ですが、自然葬を希望する方が増える中、テレビで紹介されるなどして今一番注目を浴びています。
費用は20万円代からと、宇宙葬の中では最も安価で手が届きやすいのがポイントでしょう。
また、日本の会社で開発されたことから、申し込み手続きや実施を日本国内で完結することができ、移動負担や心理的負担が少なくて済むこともメリットのひとつです。
宇宙葬の費用は数万円から
宇宙葬の費用についてご紹介します。
宇宙に運ぶ宇宙葬の費用
費用は打ち上げのみで30万円からが相場 です。
オプションプランによっては100万円以上など幅広く用意されていますので、故人やご遺族の希望に合ったものを選ぶと良いでしょう。
月に運ぶ宇宙葬の費用
費用の相場は120万円からとなっていますが、プラン内容のほか、ロケットに遺灰を何グラム乗せるかによっても金額が異なります ので、事前に確認しておくことが大切です。
バルーン宇宙葬の費用
費用は20万円代からと、宇宙葬の中では最も安価で手が届きやすいのがポイント でしょう。
宇宙葬を選んだ芸能人
宇宙葬を選んだ芸能人の中でも有名なのは、下記の人物です。
・島田陽子さん
1970年『おさな妻』で女優デビュー。1980年には『将軍 SHOGUN』における演技が高く評価され、「ゴールデングローブ賞」を受賞したりと、国際派女優と呼ばれていました。
島田さんは生前、「生きているうちは恐らく行けない宇宙に、亡くなった後に行けるというのは、ロマンティックでいいですね。亡くなってからも楽しみがあるなんて、とても素敵なことだと思います」と述べており、宇宙葬を予約していました。
・富田勝さん
南海ホークス、日本ハムファイターズ、読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズと数多くの球団で活躍した野球選手。史上二人目となる、セパ全球団から本塁打を打つという偉業を成し遂げました。
富田さんは、「いつまでも空からファンの皆さんを見守っていてほしい」というご家族の希望もあり、宇宙葬の人工衛星プランを申し込んでいました。
宇宙葬は環境に優しいの?
宇宙葬は宇宙に遺灰を打ち上げるので、環境面でリスクがないのか心配になる方も多いでしょう。
宇宙ゴミ(スペースデブリ)をご存じでしょうか。宇宙ゴミとは、宇宙ロケットが目的地に向かうまでに燃料タンクや飛行機部分をロケット本体から外して宇宙空間に置き去りにしたものや、制御不能になった人工衛星などを指します。宇宙ゴミがまだ機能している人工衛星などにぶつかった場合、多大なダメージを与える可能性があるとして問題視されています。
しかし、宇宙葬の場合は、 利用するロケットが地球回収軌道から大気圏に突入する時に焼滅するので、宇宙ゴミになることはありません 。
宇宙葬は打ち上げ失敗のリスクも
2023年5月1日、UP Aerospace社(米コロラド州)が打ち上げたCelestis(セレスティス)の宇宙葬「オーロラ・フライト」のロケットが離陸直後に爆発し、NASA元宇宙飛行士を含めた故人120人の遺灰カプセルがニューメキシコの砂漠に飛散、再度仕切り直すこととなった事例があります。
スペースポートアメリカから打ち上げられたのですが、点火から3秒ほどで不具合が生じて空に散ってしまったもようです。
幸い、宇宙葬サービス会社のCelestis曰く、遺灰カプセルにはほんのしるし程度の遺灰やDNAサンプルしか入っていないらしく、カプセル120個は爆発の衝撃にも耐えて無傷で回収されたとのこと。
打ち上げを請け負うUP Aerospace社と事故原因の究明と必要な補修作業が済み次第、次回の打ち上げに回されました。
仕切り直しの場合、契約にもよりますが基本的には失敗した1回目は無料。2回目に料金がかかる、というシステムが多いです。
失敗のリスクはあるので、遺骨を多めに粉砕し残しておくなど対策は必要ですが、料金は変わらないのでそこは大丈夫でしょう 。
まとめ
今回は宇宙葬の内容や費用についてご紹介させていただきました。
この記事を参考に宇宙葬を新しい葬儀の形として視野に入れてみてはいかがでしょうか。