家族葬と直葬どちらを選ぶ?基本的な違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介

家族葬と直葬どちらを選ぶ?基本的な違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介

亡くなった家族を見送る際、小さな規模でおこないたいという希望を叶えることはできるでしょうか。
小さな規模の葬儀には、「家族葬」と「直葬(ちょくそう・じきそう)」があります。

しかし、どちらを選択すればよいのか、判断に迷いますよね。
大切な家族を見送る前に、それぞれの違いをしっかりと把握しておくことは、見送り方を後悔しないためにも大切なことです。

ここでは、家族葬と直葬の違いや、そのメリットとデメリットをご紹介します。


家族葬と直葬の基本的な違いについて

家族葬と直葬は、どちらも 故人とごく親しい人のみで行われる ことがほとんどです。
大きな違いは、「通夜」「葬儀・告別式」の有無です。

〔家族葬~収骨までの流れ〕

  • ご臨終、ご遺体のお迎え
  • ご遺体の安置
  • 納棺(病院で納棺を済ますなど、タイミングが異なる場合もあります)
  • 通夜
  • 葬儀・告別式
  • 出棺
  • 火葬、収骨

家族葬では、通夜、葬儀・告別式を執りおこないます。
宗教儀礼をともなわない場合もありますが、故人とごく親しい人がつどい、葬儀の後、火葬をおこない、故人を見送ります。
一般葬とのおもな違いは、参列者を限定することです。
臨終から収骨まで、3~7日かかります。

〔直葬~収骨までの流れ〕

  • ご臨終、ご遺体のお迎え
  • ご遺体の安置
  • 納棺
  • 出棺
  • 火葬、収骨

直葬では、通夜、葬儀・告別式といったセレモニーを省略します。
ご遺体を24時間安置した後、納棺をおこない、出棺、火葬場へ移動します。火葬前に読経などの宗教儀礼がおこなわれることもあります。
「遺体の火葬は死後24時間以内に行ってはならない」と法律により定められているため、なくなったその日に火葬をすることはできません。臨終から収骨までは2日ほどです。

家族葬の特徴

家族や親族、親しい友人など、故人と親しい間柄であった身内だけで執りおこなう葬儀 です。
一般葬のように広く告知はせず、知人やご近所の方、会社関係者などには参列を辞退いただいたり、葬儀後に訃報を出したりします。

故人の遺志や遺族の意向によっては、香典や供物などを辞退するケースもあります。もっともこれは一般葬であってもあり得ますが、家族葬は近親者だけの葬儀ということもあり、香典や供物などを辞退するケースが一般葬より多いといえます。

ごく親しい人達だけでゆっくりと故人を見送り、最期の時間を大切に過ごしたいという想いから、近年、増加の傾向にあります。

家族葬

家族葬のメリット

親しい間柄の集まりとなるため、気持ちが落ち着き、多くの参列者の対応に追われることもありません。
親しい人と気持ちを共有でき、故人が生前受けた感謝も伝えられるのです。

一般的な葬儀では、参列者への返礼品の準備が大変です。広く知らせると必要な返礼品の数を把握できず、多めに手配しなければなりません。
一方、家族葬では、 参列者の数があらかじめ把握できるため、手配にかかる手間や時間を軽減 できます。

また、一般葬にくらべて費用を抑えられたり、喪主や親族の好みにあわせて「予算の範囲内でお花を華やかに」したりするなど、費用の配分を変更することもでき、参列者に気兼ねしなくてよいこともメリットです。
葬儀の演出についても、生前希望していた内容に近づけることが可能です。自由度の高い、自分たちらしいお葬式を叶えることができるのです。

家族葬のデメリット

デメリットは、仕事の関係者や趣味でつながった方々、 ご近所の方、学生時代の友人など、故人がこれまでの人生でお世話になった人とのお別れが難しくなること です。
特に、故人の「交友関係が広かった」とか「華やかな場が好きだった」というケースであれば、家族葬ではなく、一般葬を選択した方がよいでしょう。

他にも、葬儀後に自宅への弔問客が増えたり、家族葬に招かれなかった人が不満を持ち、トラブルにつながるケースもあるようです。

家族葬をおこなう際は、葬儀後に考えられる様々なパターンを含めて検討しましょう。

直葬の特徴

直葬は、 通夜も告別式もおこないません。火葬のみをおこないます 。また、火葬する前に安置場所などで簡単なお別れの儀式をする直葬のことを、火葬式と呼びます。
読経を省略する場合も多く、宗教儀礼を伴わないことも、特徴の1つです。

喪主が挨拶する場面がないため、喪主を立てなくても式を成立させることはできます。
ですが、必ず最初に、親族の中から葬式全体をとりしきる主宰者と、葬儀費用の支払い人を決めておきましょう。

直葬が選ばれる背景には、宗教に対する意識の変化や、高齢化・人間関係の希薄化、経済的な問題などがあげられます。
葬礼に関する一連の内容は、家族葬よりもシンプルで、コンパクトです。しかし、宗教儀礼を伴わないことによって、問題が起きるのも事実です。詳しくは下記「直葬のデメリット」でご紹介します。

直葬のメリット

直葬は、火葬をおこなう日のみで葬儀が終わります。安置する24時間を入れても、トータルで 2日間 と時間が短縮できます。

また、葬儀にかかる出費を最小限まで抑えられます。
相場は地域によって異なりますが、一般的には、通常100万円以上かかる葬儀費用を、20万円前後で納めることも可能です。
また、ほとんどの場合、香典も準備しません。

基本的に参列者は身内のみですから、参列者に対応をするための体力的・精神的な負担が小さくなります。

直葬のデメリット

直葬は身内のみが集う、ごく小さな葬儀となるため、他人から見ると 「さびしいお葬式」 と感じられることがデメリットの1つです。
故人とお別れをしたかった人や、事情をよく知らない人から、遺族が非難される可能性もあります。
そういったことも重なると、のちに遺族自身が、十分なお別れができなかったのではないか、と後悔したり、辛く感じたりするケースがあります。

また、宗教儀礼を伴わないことから、菩提寺から納骨を断られる場合もあります。
そのようなことがないよう、特定の寺院の檀家である場合は、事前に直葬で葬儀をおこなうことを相談しておく必要があります。
相談をおこなう中で、火葬前に読経などの宗教儀礼を行ったり、戒名をつけてもらったり、納骨の際の儀礼をおこなうかどうかなどを決めていくことができるでしょう。

また、葬儀後に役所で請求できる葬祭料が、直葬では「葬儀を行っていない」という理由から支給されなかったケースがあります。

家族葬と直葬の費用の違い

家族葬と直葬、どちらも一般葬と比べて小規模であることを確認しました。
では、費用は、どれほど変わってくるのでしょうか。

インターネット上で公開されている、近年の消費者アンケートでは、費用の平均は以下のようになっています。

家族葬…100~110万円前後
直葬 …35万円前後
(葬儀費用には遺体搬送、火葬、葬儀会場、お葬式に使われる葬具一式、飲食、香典返し、読経料やお布施などが含まれています。)

家族葬では参列者が限定されるため、一般葬にくらべて会場費、飲食代が安くなります。
一方、直葬では、通夜、告別式、飲食などが省略されるため、さらに安価です。

ただし、中には家族葬でも300万円以上かかったケースもあるようです。
費用の高低のみにこだわらず、葬儀後の弔問客や、香典返しの数などをあらかじめ想定したり、遺族がどの程度、対応できるかどうかを考慮したりして、 どのような形の葬儀が相応しいかを決めることが肝心 です。

家族葬と直葬の事前準備の違い

家族葬では、参列者を「故人に親しい人に限定する」ため、親族以外にも参列してもらいたい人がいる場合、 事前に連絡 する必要があります。

事前準備が必要なのは、おもに直葬の方です。
葬儀は宗教儀礼にあたるため、昔からおこなわれてきた通夜・告別式・火葬の流れを重視します。
しかし、直葬はまだ新しい葬儀スタイルで、一般に浸透していないところがあります。
このような理由から、菩提寺によっては、納骨を受け入れてもらえないケースもあります。必ず事前に、菩提寺と話し合っておきましょう。

戒名をつけてもらいたい場合も、お寺に相談します。「四十九日法要をおこないたいので、戒名をつけていただけないか」といった謙虚な姿勢で話をしてみてください。
お布施は、地域によって差はありますが、15~30万円を目安に用意します。

他にも、直葬では火葬を待つまでの間、遺体の安置場所を考えておく必要があります。
基本的には、亡くなった病院から直接、火葬場へご遺体を搬送するのではなく、一旦、自宅か葬儀社などの霊安室に安置することになるでしょう。
火葬場の空き状況によっては、ご遺体の安置・納棺から火葬までに1日以上待つこともありえます。
詳しいことは、直葬を依頼する葬儀社に相談しましょう。

家族葬と直葬の事後の動きについて

家族葬を執りおこない、火葬・収骨を終えると、一般葬と同じように自宅の後飾り祭壇(段ボール製の簡易的な祭壇に白い布をかけたもの)に、ご遺骨・仮位牌・遺影を安置し、還骨法要が行われます。
他に、繰り上げ法要や、精進落としが合わせて行われる場合もあります。

香典返しの準備は、葬儀社に依頼することも可能です。
少人数だからと思って、自分で調達すると、時間も労力もかかります。状況に応じて依頼することも視野に入れましょう。

一方、直葬では、還骨法要、繰り上げ法要、 精進落としは行われません
香典返しや、手伝っていただいた方への挨拶回りなど、葬儀後の対応も最小限となり、葬儀後の対応を最小限におさえられます。
もし、葬儀後の対応などに気持ちの負担を感じているのであれば、そういった負担の軽減に繋がるでしょう。

家族葬か直葬かを選ぶ際のポイント

葬儀を小規模でおこないたいが、どういう形にするのがベストなのか、悩むこともあると思います。
その判断は喪主にゆだねられることが通例ですが、親族内で意見がわかれるなどしてしまい、判断に困ったときは、以下のポイントを確認してみましょう。

  • 故人の遺志
  • 故人の人付き合いの範囲
  • 家族や親族の理解など
  • 費用や、お返しの手配の手間

近年のコロナ禍にあって、「参列者を少なくして密を避けたい」という思いから、小規模の葬儀は増加傾向にあります。

故人の遺志により小規模の葬儀が選ばれるケースでは、「葬儀にお金をかけたくない」という理由が多いようです。
喪主となる子供や親族の負担を減らしたい、という思いやりでもあります。
例えば、故人が高齢で身寄りも少なく、残された遺族が2~3人などごく少数であれば、直葬という形を選択してもよいでしょう。

しかし、交遊関係が広い人であった場合、小規模の葬儀を行った後で、「後から人づてに聞いて知った」「きちんとお別れをしたかった」と弔問に訪れる人が多くなる可能性はあります。
こういったケースを踏まえて、故人が直葬を希望していたとしても、遺族や親族が家族葬に切りかえることは少なくありません。

特に直葬は、選択する遺族にとって費用などの面でメリットがあるともいえますが、 菩提寺とのつながりが強い地域や、年配の方からはあまり快く思われない可能性があることも考慮し、慎重に判断しましょう

まとめ

ここまで、家族葬と直葬の違いや、メリット・デメリットを見てきました。
それぞれの特徴をふまえて、自分の家族や親族の場合なら、どのような形のお別れがベストなのか、考えながら読んだ方もいることでしょう。

小規模の葬儀をおこなうにしても、配慮するべき点はさまざまあります。まだ時間的に余裕があるのであれば、即座に決める事でもありません。
家族や親族とよく相談し、納得して、悔いの残らない葬儀を選択できるとよいですね。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。