葬儀社に自宅葬はできないと言われた時は?諦める前に確認すること

葬儀社に自宅葬はできないと言われた時は?諦める前に確認すること

「故人を住み慣れた自宅から送ってあげたい」と自宅葬を希望した場合、その願いは叶えられるべきですが、葬儀社によっては「対応できない」と言われてしまうこともあります。しかし、自宅葬を断られたときでも工夫次第で自宅から見送ることができます。 自宅葬はできないと葬儀社に言われた時の対応 を3つほどご紹介します。

なぜ自宅葬ができない葬儀社があるの?

基本的に自宅葬は受け付けない方針の葬儀社があります。そういった葬儀社のほとんどが自社で葬儀式場を保有しており、式場建設時にかかった莫大な費用を、葬儀で使ってもらうことで回収しなければなりません。よってなるべく自社式場以外での葬儀は避けたいのです。

また、自宅葬では棺の出入りや参列者の待機場所の確保、お寺さんとのやりとりなど、会場となる自宅の、広さや間取りなどによって臨機応変な対応が求められます。少しのミスでご自宅の壁に傷をつけてしまったり、家具や置き物を破損してしまうリスクもあります。

そのため、葬儀の現場経験が豊富で 臨機応変に対応できるスタッフが在籍していること が、自宅葬を担当する必須条件になります。よって、「叶えてあげたいけれど、ウチではできない」と断られることになるのです。

自宅の広さや構造を理由に自宅葬を断られることもある

自宅葬に対応できる葬儀社であっても、自宅由来の理由により断られることがあります。よくあるケースが、想定される参列者の人数に対して自宅が狭すぎる場合です。

遺族と数人の親族だけの葬儀であれば、おおむねどんな家であっても自宅葬はできます。しかし、参列者が20人を超えてくると狭小住宅では葬儀が難しく、広い家であっても50人を超えると庭先にテントを張ってパイプ椅子で会葬してもらうなどの対応が必要です。

玄関先などや駐車場の整理をする人員の確保も必須になってきます。すると自宅葬に関わる費用負担はかさみ、見積額は式場を利用するより高くなりがちです。「大変ですからやめましょう」と、やんわり断られる可能性があります。

また、集合住宅である、賃貸物件であるなどの理由で「何かトラブルがあるとのちのち困りますので」と言われたり、玄関に至るまでの階段が狭い、エレベーターに棺が乗らないなどの理由で断念せざるを得なかったりするケースもあります。

以上のように、自宅葬を葬儀社から断られる場合、その理由が葬儀社サイドにあることもあれば、自宅サイドにあることもあります。理由によって、対応策が違ってきます。

自宅葬はできないと言われた時の対応

違う葬儀社をあたってみる

葬儀社サイドの理由で自宅葬を断られた場合は、違う葬儀社をあたってみましょう。自宅葬に快く応じてくれる可能性があるのは、以下の3社です。

自社式場を持たない葬儀社

とくに都心には、自社式場を持たない葬儀社がたくさんあります。通常は公営の葬儀ホールや、火葬場併設の式場で葬儀を行う会社です。看板を探すのが大変かもしれませんので、ネットでの検索がおすすめです。

老舗の葬儀社

公民館や自宅での葬儀が当たり前だった時代を知っている老舗の葬儀社のなかには、自宅葬に応じてくれるところもあるでしょう。

自宅葬の専門葬儀社

地域によっては、自宅葬専門葬儀社が設立されています。コロナ禍で葬儀の参列人数がグッと少なくなるなか、自宅葬が注目されているため、自宅葬専門会社は今後も増えていく可能性があります。

「直葬(ちょくそう)」プラン+オリジナル葬儀

自宅が狭すぎる、棺を家に入れるのが困難などと言われた場合には、葬儀社を変えずに自宅葬を行うことが可能です。葬儀はせずに火葬だけを行う「直葬」を行った後、自宅に遺骨を持ち帰り、葬儀社の手を借りずオリジナルの葬儀を行うのです。直葬プランは、ほとんどの葬儀社で用意されています。

「葬儀といえば火葬の前に棺の状態で行うもの」という意識のある人は、遺骨で葬儀をすることにためらいを覚えるかもしれません。しかし遺骨での葬儀は「骨葬(こつそう)」と呼ばれ、東北地方を中心に風習として定着しています。葬儀として珍しい形式というわけではありません。

骨壺の状態であれば、棺を搬入できない構造の自宅でも問題なく入れることができますし、人の出入りにさえ気をつければ近隣への迷惑も最小限で済むでしょう。菩提寺による読経がほしい場合は、あらかじめご住職に相談し、儀式に必要な葬祭品をご住職に持参してもらうと安心です。自宅の仏壇にある仏具で間に合う場合もあります。

スケジュール例

「直葬(ちょくそう)」プラン+オリジナル葬儀のスケジュール例は、以下の通りです。

【逝去後1~2日目】
葬儀社保有の安置施設などに安置

【逝去後2~3日目】

時間 内容
9:00 出棺
9:30 火葬場到着、火入れ
11:00 遺骨を骨壺に納め(収骨)、火葬場を出発
11:30 自宅へ到着、昼食、葬儀の準備
13:30 受付開始
14:00 オリジナル葬儀開式
・故人来歴紹介
・故人の幼少時代からの写真をスライドショーにて披露
・弔辞やお別れの手紙
・献奏(楽器が得意な親族による、故人の好きだった曲の演奏など)
・焼香あるいは献花
14:40 閉式
精進落とし(仕出し料理による自宅での会食や、予約していた会食会場へ行くなど)

参列者が主な親族しかおらず、出棺のときに参列者が全員揃ってしまうようであれば、自宅へ到着後すぐに葬儀を始めるのもおすすめです。火葬場での待機時間に軽食を済ませておきます。

火葬と葬儀の順番については、案内文でしっかりと参列者に伝えましょう。「最後にお顔を見たい」という人がいたら、出棺までに弔問を済ませてもらいます。

「火葬式」プラン+自宅安置+オリジナル葬儀

多くの葬儀社で用意されているプランに、「火葬式」があります。これは先に紹介した火葬のみの「直葬」をする前に、安置場所で短いお別れの時間を設けるプランです。僧侶による読経が可能な場合もあります。

自宅に人が集まれるスペースが十分にある場合は、「火葬式」プランを選び、さらに自宅を安置場所に指定するという方法をとれます。すると火葬場に出発するまでは、故人をずっと自宅に休ませておくことが可能です。故人を棺に納める「納棺」の時や、お通夜にあたる「火葬式」の前夜、出棺の少し前など、自由なタイミングで葬儀社の手を借りずにオリジナル葬儀ができます。

スケジュール例

「火葬式」プラン+自宅安置+オリジナル葬儀のスケジュール例は、以下の通りです。

【逝去後1~2日目】
自宅にて安置
近親者のみで納棺
近親者のみで通夜

【逝去後2~3日目】

時間 内容
9:30 受付開始
10:00 オリジナル葬儀開式
・故人来歴紹介
・故人の幼少時代からの写真をスライドショーにて披露
・弔辞やお別れの手紙
・献奏(楽器が得意な親族による、故人の好きだった曲の演奏など)
・焼香あるいは献花
10:40
閉式
「火葬式」開始(最後のお花入れなど)
11:00 出棺
11:30 火葬場到着、火入れ
軽食
13:30 遺骨を骨壺に納め(収骨)、火葬場を出発
14:00 自宅や会食会場に到着、精進落とし

火葬場で精進落としをすることが可能な場合もあります。火葬場で精進落としを済ませれば、収骨後はその場で解散となります。

葬儀社には、火葬式の前にオリジナルの葬儀を行うことを打ち合わせの段階で伝えておきましょう。火葬式の内容がオリジナル葬儀と重複する場合があるためです。また、スケジュール例のように、火葬式の直前にオリジナル葬儀を行う場合には、葬儀社へバトンタッチするタイミングについて念入りに打ち合わせしましょう。

まとめ

以上、自宅葬はできないと葬儀社に言われたときの対応について解説しました。他の葬儀社にあたっても難しい場合には、火葬だけ葬儀社の手を借りて、葬儀はオリジナルで行うという手段があります。「自宅から送ってあげたい」という温かい気持ちを大切に、世界でたった一つの葬儀にするため、家族みんなで工夫を凝らしてみるのはいかがでしょうか。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。