自宅葬の内容は?住宅事情に応じた5つのアイディアをご紹介!

自宅葬の内容は?住宅事情に応じた5つのアイディアをご紹介!

今、自宅で葬儀を行う自宅葬が注目を浴びています。葬儀がどんどん小規模化していることがその背景にありますが、一方で「狭い家でも葬儀ができる?」「近隣の迷惑にならないのだろうか」といった不安の声も聞こえます。

さまざまな住宅事情があるかと存じますが、葬儀の内容を工夫すれば、多くの悩みは払拭されます。5つのアイディアについてご紹介します。

自宅葬が注目を浴びている理由

自宅葬が注目されている理由は2つあります。

1つは、親族を中心とした少人数の「家族葬」が流行するなか、コロナ禍によって人が集まる機会が制限され、葬儀がますます 小規模化しているため です。「気の置けない親族だけの葬儀なら、自宅葬でもよいのでは」と気づく人が葬儀業界の内外に現れ、自宅葬を専門とする会社も設立されています。

理由の2つめが、在宅医療の推進です。今後、在宅医療の割合が高くなれば、自宅での看取りも多くなると予想されます。その際、遺族が「このまま葬儀場などへ移動させずに、住み慣れた我が家から送り出したい」と願うこともあるでしょう。 安置は介護用のベッド でもできますし、安置施設の移動など故人を移動させる機会が少なくなるほど 搬送費用が抑えられる という側面もあります。

とはいえ、葬儀式場での葬儀しか経験がない人はとくに、自宅でどのように葬儀をしたらよいのか考えも及ばないでしょう。家が狭小であることや近隣への影響を恐れ、葬儀社に相談する前に諦めてしまう人もいるかもしれません。

実は、狭小住宅の場合でも内容を工夫すれば自宅でしっかり葬儀を行うことが可能になります。また、人目が気になる場合のアイディアもあります。以下の5つをぜひ参考にしてください。

自宅葬の内容例1:部屋が小さい場合

祭壇を飾らず棺を中心とした葬儀にする

自宅に立派な祭壇を持ち込むと考えると、「そんなことはできそうにない」と思ってしまうかもしれません。しかし、現代の自宅葬の多くは、葬儀式場に飾られる白木祭壇のような、いわゆる「祭壇」はあまり飾られません。祭壇ではなく、故人が納まっている 棺そのものを主役 とするのが主流です。

式場となる部屋の壁側に遺影を飾ったイーゼルを置き、その前に棺を据えます。遺族、親族らは遺影と向き合う形で、棺を囲んで座ります。それだけで、葬儀にふさわしい空間が完成します。適宜、生花を飾るとよいでしょう。

このように、祭壇を設けず棺を主役とするなら、 6畳ほどの空間でも葬儀が可能 です。僧侶を呼び、棺の前に仏具を置く必要が生じても、少人数であればじゅうぶん対応できます。6畳間の場合、5~6人程度、1畳増えるごとに+3人ほどが会葬可能になるでしょう。

棺を中心とした葬儀では、棺と参列者の距離が近いので温かい雰囲気を作りやすくなります。プログラムの内容としては、参列者が順番に故人へのお手紙を読んだり、楽器の得意な人が短い演奏を行ったり、お孫さんが故人の好きだった歌を歌ったりするなど、 手作り感のある演出 がおすすめです。

自宅葬手を合わせる

自宅葬の内容例2:ご近所が気になる場合

僧侶を呼ばず無宗教葬とする

「葬儀の日に流れるお経や鳴り物の音が近隣の迷惑になるかも」「線香の香りが、近隣に充満しないだろうか」といったことが気になる人は、 無宗教葬 を選ぶのはいかがでしょうか。

都市部ではとくに、無宗教葬は珍しいものではなくなってきています。菩提寺を持たず、特定の宗教にこだわりがなく、今後もお寺とお付き合いをする意向がない人にはおすすめです。

無宗教葬の場合、 焼香の代わりに献花 を行うのが一般的です。喪主以下、血縁の濃い順番に故人へ花を捧げます。一人ずつロウソクに火をともす「献灯」という方法もあります。献灯の場合、火気には十分注意が必要です。とくに葬儀の後、火葬に全ての人が出払ってしまい、お留守番の方を立てない場合には、献灯はあまりおすすめできません。

お花を捧げるための祭壇を設けない場合は、棺への花入れをもって献花とする方法もあります。一般的な葬儀では、葬儀の後にお別れの時間を設け、棺のふたを開けてお花や故人ゆかりのものを棺に収めます。この儀式を、献花の時間に繰り入れてしまうのです。

無宗教のプログラムとしては、内容例1でご紹介したような「故人へのお手紙」や、故人の幼少の頃からの写真をスライドショーで流しながら来歴を紹介するといった演出がいいでしょう。時間をたっぷり使うことができるため、独自の演出も可能になります。

自宅葬の内容例3:部屋に棺が入らない場合

納棺の儀式を葬儀に取り込む

納棺の儀式とは、故人を棺に納める儀式のことです。布団に休んでいる故人の顔や手足を拭き清めた後、着替えとメイクを行い棺に納めるいわば「最後の身支度」で、通常はお通夜の前に行われます。

納棺の儀式は近親者が関わる重要なものとされ、遺族のほか、とくに血縁の濃い親族も参加します。しかし、「そうたびたび親族を呼ぶことができない」という人もいるでしょう。住宅事情により、棺を故人が休んでいる部屋まで運び込めないというケースもあります。そんなときは、納棺の儀式を葬儀に取り込むのはいかがでしょうか。

棺を葬儀式場となる部屋まで運ぶことが可能なら、葬儀の進行に納棺の儀式を無理なく取り入れられます。例えば、葬儀の最初に「納棺の儀式」として故人を棺に納めるところまでを行い、納棺が終わったら、棺を前にして弔辞を読んだり、焼香や献花を行ったりするのです。「自宅で無宗教葬をしたいが、プログラム内容をどうしたらよいか分からない」という人にもおすすめです。

棺を葬儀式場となる部屋まで運び込めないときには、玄関に近い部屋や玄関先に棺を置いておき、故人が布団に休んでいる状態で葬儀をする のはいかがでしょうか。葬儀式場となる部屋でプログラムを終えた後、棺が置いてある場所まで故人を移動させ、納棺の儀式を行います。納棺の儀式をした後は、そのまま出棺となります。

自宅葬の内容例4:玄関先まで棺を運び込めない場合

前日までに火葬し、骨葬とする

自宅が集合住宅の高層階にあり、家に棺を運び込めないというケースもあるでしょう。この場合、自宅葬自体を諦めてしまう人が少なくありません。それでも「住み慣れた家で葬儀をしてあげたい」という気持ちが強い場合は、「骨葬」をおすすめします。

骨葬とは、火葬の後、遺骨で葬儀をすることをいいます。東京を初めとした都市部では葬儀の後に火葬をするのが一般的ですが、とくに東北地方においては骨葬のほうが主流ですし、他の都道府県でも骨葬をする地域は見受けられます。

家に棺を入れることができなくても、骨壺の状態であれば、問題なく入ります 。棺がないぶん、式場となる部屋に入れる人数も多くなります。火葬をしてから葬儀をすることに抵抗のない人は、一考の余地があるのではないでしょうか。

ただ、骨葬をするにしても、「火葬までの間、棺をどこに置いておくのか」という問題は残ります。病院の霊安室には長くいられないため、葬儀社の安置施設を利用するなどの対処が必要です。故人を自宅に安置し、出棺の時間までに集合住宅の一階ホールへ運び、ホールで納棺するという手もあります。その際は大家さんや管理組合の許可を得ましょう。

自宅葬の内容例5:直葬に心残りがある場合

直葬の後、自宅でお別れ会をする

直葬とは、火葬だけでお別れをすることを指します。「故人と縁のある人を無視して直葬してしまった」「コロナ禍でやむなく直葬してしまった」など、直葬をしたことに後悔を感じている人には、後日お別れ会を開くのをおすすめします。

お別れ会を開く場所としては、「葬儀社の持つ法要会館」「ホテルの宴会場」「お別れ会に理解を示してくれるレストラン」などが候補として挙げられますが、「自宅」も立派な候補の1つです。故人が生きていた証をたくさん残す自宅でお別れ会を開くことは、最高の供養となるでしょう。

自宅でお別れ会を開くときのポイントは、「儀式だから」「供養だから」と堅苦しく考えず、一種のホームパーティーとして企画することです。故人が好きだった料理をつくり、参列者をもてなし、また骨壺や遺影に対しても料理をお供えする。それだけで、立派なお別れ会になります。

会食の随所に弔辞を入れたり、テレビをパソコンにつないで故人の写真をスライドショーで映し出したりなどすると、参列者はよりいっそう故人を思い出すことでしょう。故人との思い出を語り合い、気持ちを共有することこそが、お別れ会の目的です。

お葬式

【まとめ】自宅葬の内容は自由に考えたい

以上、自宅葬の内容について5つのアイディアを提案しました。せっかく自宅で葬儀を行うのですから、オリジナルのプログラムにしたいものです。従来の儀式の順序や内容にこだわらず、自由な発想で故人を見送ることを大事にしましょう。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。