自宅葬は近所の挨拶が大事!トラブル防止のために必要な4つのポイント
葬儀専用の式場などではなく、自宅で葬儀をすることを、自宅葬といいます。自宅葬をするときに最も気をつけたいことの1つが、近所の挨拶です。近所の方の視点に立ち、周辺で自宅葬が行われるときは何に不安が生じるのか、どうしてもらうと安心なのかを考えれば、適切な言葉やタイミングが見つかります。自宅葬でご近所トラブルを生まないために必要な、挨拶の範囲、挨拶のタイミング、挨拶時の言葉、挨拶時に持参するものの4つについて解説します。
自宅葬は近所の挨拶が必要?
自宅葬は、遺族にとって安心できるものです。
葬儀専用の式場で葬儀をするとなると、身支度を調えての移動が大変ですし、忘れ物をしないよう細心の注意を払わなければなりません。式場利用料がかかるなど、経済的負担も大きくなります。
一方で、自宅葬であれば遺族は心からくつろげる空間で故人を見送れます。葬儀当日は移動せず自宅にとどまり、開式に十分間に合うように身支度を調えつつ、参列者を迎えるだけでいいのです。
しかし、遺族にとっては安心できる自宅葬も、 近所の方々は「すぐそばで葬儀が行われるのは不安」と感じるかもしれません。 そこで必要になるのが、近所の挨拶 です。あらかじめ近所に自宅葬があることを伝えておき、日程の詳細を告げ、安心してもらわなければなりません。 葬儀が終わった後のお礼周り も大事になります。
周辺で自宅葬が行われるとき、近所の方は何が不安?
周囲の住宅で自宅葬が行われると知ったら、近所の方は何に不安を感じるでしょうか。それをつかんでおけば、トラブルを抱えずに済みます。
知らない人がたくさん出入りするのでは?
自宅葬の場合、どうしても通常とは近所の人の流れが違ってきます。知らない人が近くの路地を頻繁に通ることは、防犯上の理由から誰しもが不安です。 通夜が行われる場合は、「深夜まで騒がしいかも」と思われてしまうかも しれません。
現代の自宅葬は、かなりの少人数で行われます。 訪れる人数や家族数を伝えれば、「そんなに少ないのか」と安心してもらえる でしょう。葬儀の日程を伝えることで、近所に人が往来する時間帯を把握してもらえれば、さらに安心感は高まります。なお、通夜のときは近所に配慮して静かに行うと約束しましょう。
自宅葬に参列する方の車が道をふさぐのでは?
道幅が狭い地域はとくに、参列者や葬儀社の車、霊柩車などが道路をふさぎ、車が出づらくなるのではと心配する人がいます。車の往来が増えることによる事故の可能性も見逃せません。
駐車場を確保してある場合はそれを伝え、安心してもらいましょう 。また、出棺前は大きな霊柩車が家の前に留まらざるを得ないので、どうしても道幅が狭くなります。 出棺の時間帯を伝えておく のがいいでしょう。
読経の声が響くのでは?
葬儀や法要のときにしか読経が行われない現代日本にとって、自宅にいて読経の声が響いてくることがストレスになる可能性があります。赤ちゃんのいる家庭にとっては、とくに「寝付いてくれないかも」と心配になるでしょう。
無宗教葬の場合は読経がないため、それを伝えれば安心してもらえます。仏式の場合、読経があるのは20~30分程度です。葬儀の日程を伝え、読経のある時間を把握してもらいましょう。
失礼だけれど、臭いは大丈夫?
夏場などは「自宅に長く置くことで、遺体が臭うのではないか」と不安になる人もいます。しかし、現代の遺体処置技術は進歩がめざましく、また早々に棺へ納めれば臭いの不安はありません。そもそも、強い臭いが生じるような状況であれば、葬儀社が自宅葬を勧めません。挨拶には葬儀社に同行してもらい、臭いについて聞かれたときは応対してもらいましょう。
お清めはちゃんとしてくれるの?
死のけがれを気にする人もいます。自宅葬がたくさん行われていた昭和の時代までは、次の日から近所の人が日常を送れるよう、場を清めるためのしきたりがたくさん行われたものです。
「出棺後、棺があった部屋をホウキで掃き、ごみは集めず完全に外へ出してしまう」「木で仮の門を作り、棺をくぐらせた後はその門を燃やしてしまい、死者が戻れないようにする」「近所が手伝いをするときは葬儀のある家の台所を使わず、隣の家を使う」などなど、今となっては不思議なしきたりばかりですが、そのくらい昔の人はけがれのために近所で不幸が続くことを恐れていました。今残っているしきたりは、清め塩くらいです。
けがれを怖がる人の心を「迷信に惑わされている」と笑わず、真摯に対応することが必要です。葬儀社と相談し、 必要であれば挨拶の際に清め塩を渡す、葬儀の後は目立つところに盛り塩をしておく といった工夫で安心してもらいましょう。
自宅葬で近所に挨拶をするときの範囲
挨拶の範囲は、基本的には自治会の単位を基準にするのがいいでしょう。自治会に参加していない場合は、自治会長を訪ねて相談してみます。
自治会がない場合は、目安として両隣3軒ずつと道路を挟んで向かい側の家3軒に挨拶します。ただ、家の規模によって影響の及ぶ範囲が違うため、どのあたりまで迷惑がかかりそうか、葬儀社とも相談しながら範囲を決めましょう。
自宅葬で近所に挨拶をするタイミング
自宅葬で近所に挨拶をするタイミングは、以下の2つです。
日程が決定したとき
葬儀日程が決定したら、日程が書かれた紙を持参の上、近所の挨拶に取りかかりましょ
自宅葬の直後
葬儀が無事終わったら、滞りなく済ませたことを報告し、協力への感謝を述べるために挨拶回りをします。なるべく葬儀当日に行います。
自宅葬で近所に挨拶をするときの言葉
挨拶例は、次の通りです。
自宅葬の日程が決まった時の挨拶
こんにちは、近所に住む●●と申します。いつも大変お世話になっております。このたび、母が亡くなり、●日に自宅葬を営む運びとなりましたので、日程をお知らせいたします(日程が書かれた紙を渡す)。私たち家族のほか、2家族が参加予定です。騒音や渋滞が生じないよう、細心の注意を払って行いますが、お気づきのことがございましたらどうかこちらにご連絡ください(日程の連絡先を指し示す)。どうぞよろしくお願いします。
自宅葬の直後の挨拶
おかげさまで、滞りなく自宅葬を終えることができました。ご協力に感謝申し上げます。どうか今後とも、ご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。
自宅葬で近所に挨拶をするとき持参するもの
葬儀日程が決まったときには、日程が書かれた紙のほか、何も持参するものはありません。葬儀の直後には、1000~2000円程度の菓子折を持参しましょう。のし紙は白黒の水引がプリントされたものを使い、表書きは「志」とします。葬儀の前に、あらかじめ用意しておくとスムーズです。
自宅葬で近所の挨拶を行い、地域の絆をより深いものに
自宅葬のため近所の挨拶をすると、初対面の人とも会う機会があるでしょう。みなさん、温かいお悔やみの言葉をかけてくれるはずです。もしかしたら、この挨拶がきっかけで、緩やかな交流が始まるかもしれません。葬儀は大事な人を喪う寂しい儀式ですが、こうして新たな絆が生まれる機会でもあります。今後のためにも、丁寧な挨拶を心がけましょう。