自宅葬の準備で必要な事項を解説

自宅葬の準備で必要な事項を解説

「最後は住み慣れた自宅から見送ってあげたい」「愛犬家だったから、犬も一緒に見送れる自宅がいい」などの理由で、自宅葬をご検討の方はいらっしゃいませんか?

自宅での葬儀は、ごく少人数で、ささやかながら温かな葬儀がしたいと考える人におすすめです。

前もって以下のような準備ができれば、いざというときスムーズに自宅葬を行えます。

自宅葬の準備は大きく3つで考える

自宅葬の準備は、3つのカテゴリーで考えると行動しやすくなります。

  1. 自宅葬を執り行うためのスペースの準備。
  2. 葬儀式場のような演出装置がなくてもしっかり葬儀を行うための式次第や演出の準備。
  3. 家族以外に自宅葬を行うことを伝える参列者やご近所への連絡

の3つです。

いずれも家族で連携すれば準備できますが、分からないことがあれば、迷わず葬儀社に相談しましょう。

葬儀社は存命中の葬儀見積もりに応じてくれるところがほとんどです。

また「あくまで式場での葬儀を想定しており、自宅葬は受け付けていない」という葬儀社もあります。

まずは目当ての葬儀社に、自宅葬ができるかどうかだけでも尋ねておけば、いざというときも慌てずに済みます。

1.スペースの準備

自宅に葬儀のスペースを確保するための準備は次の4つです。

葬儀を行う部屋を決め、片付けをしておく

なるべく広く、かつ棺が置きやすい部屋にしましょう。

棺は180センチほどもあり、狭い廊下の角などは取り回しが困難 なことがあります。

玄関から式場の部屋まで棺を出し入れすることをイメージし、 なるべく棺が入りやすい部屋 で行うのがよいでしょう。

部屋が決まったら、部屋の中を片づけておきます。タンスなどの大型家具がある場合、移動が可能であれば、移動しておきましょう。

ただし、テレビや電子ピアノなどの楽器は式の演出に有効なことがあるため、そのままにしておきます。

玄関先やトイレをいつもキレイに整えておく

玄関は必ず参列者が使う場所です。

トイレも使われる可能性の高い場所です。

こうした場所を常にキレイにしておくと、葬儀の前は自分たちの身支度などに集中することができます。

駐車場を決めておく

車で移動することが当たり前の地域はとくに、自宅葬をするためには駐車場が必要となるケースがあります。

自宅の駐車スペースでは足りないとき、参列者の車をどこに停めてもらうか、前もってイメージしておきましょう。

近くにコインパーキングがあれば便利ですが、ない場合は、近隣にあたりをつけておきましょう。

ご近所や、顔なじみの個人商店に駐車スペースを借りることができれば理想的です。

ただ、葬儀はいつ起こるか分かりません。

駐車場を借りられるかどうかは「そのときにならないと、都合が分からない」というのが正直なところでしょう。

かなり近しい間柄でない限りは、「いざというときは、こちらに相談しよう」と、当たりをつけておく程度にとどめます。

駐車場

葬儀後に会食を希望するなら、会食会場の候補を決めておく

葬儀の後には、「精進落とし」と呼ばれる会食が行われるのが一般的です。

葬儀専用式場での葬儀であれば、葬儀を行った後は、同じ施設内にある会食会場を借りることが可能です。

しかし、自宅葬ではそれができません。

精進落としを行う場合は、会食会場をどこにするか決めておきましょう。以下のような選択肢があります。

火葬場で精進落としをする

火葬が行われている最中の待ち時間を利用して、火葬場の親族控室や会食室で飲食する方法です。ただ、会食できる設備がない火葬場もありますから、確認が必要です。

自宅で精進落としをする

火葬後、自宅に戻り、仕出しのお弁当などを利用して精進落としを行います。

レストランや料亭を利用する

食事のできるお店を予約し、火葬後に訪れます。

ただ、急にまとまった人数の予約が取れないお店や、骨壺や写真を持参しての飲食ができないお店もありますから、注意しましょう。

感染対策を徹底するため、精進落としを行わないという選択肢もあります。そ

の場合は、仕出し弁当を持ち帰ってもらったり、香典返しとは別にギフトカタログを包んだりするとよいでしょう。

2.式次第や演出の準備

自宅葬の式次第や演出について、準備しておきたいのは、以下の3つです。

本人の略歴や幼少期からの写真を準備しておく

葬儀専用式場での葬儀であっても、自宅葬であっても、式の最中に「故人略歴紹介」や「思い出ムービー」などと呼ばれる演出を行うことができます。

「思い出ムービー」とは、故人の幼少期からの写真や動画をスクリーンに映し出し、故人の来し方を振り返るもの。葬儀社によって名称が異なります。

略歴紹介に使うため、ご本人が生まれてからこれまでにどんな学校に通い、どんな仕事をしてきたか、どんな受賞歴があるかなどを箇条書きでまとめてみましょう。

趣味があるなら、それをいつから始めたのか、家族にとって印象的な作品は何かなどについても、知り得る範囲でまとめます。

「思いでムービー」については、葬儀で紹介したいご本人の写真を集め、時系列でならべておきましょう。

その過程で遺影候補が見つかれば、さらに準備が進みます。余裕があれば、スキャンなどで写真を画像化しておくと、映像化がスムーズになります。

誰に何をしてもらいたいか、決めておく

自宅葬では、式中に「故人への手紙」の読み上げや、楽器の得意な人の演奏があると、式場が温かな雰囲気に包まれます。

「故人への手紙」は、一般的にはご本人の孫にあたる人などが読みますが、少人数の自宅葬なら、参列者全員が一言ずつささげてもよいでしょう。

式中、誰にどんなことをしてもらいたいかをあらかじめ決めておき、依頼しておけると理想的です。

依頼される側も、葬儀直前より、前もってお願いされた方が慌てずに済みます。

葬儀当日、式場や玄関に飾りたいものを準備しておく

葬儀専用式場で行われる演出の一つに、「思い出コーナー」などと呼ばれるものがあります。

受付周りや式場の入口に、故人が趣味道具、作品、好んで着ていた服などを飾り、参列者に人柄を偲んでいただくのです。

これは、自宅葬でも可能な演出です。

絵画、手芸作品、釣りの道具、囲碁盤、将棋盤、愛読書など、ご本人の趣味を表す品物を、どこにどのように飾るか決めておきましょう。

「取り立てて、そのような趣味はなかった」「部屋が狭くて飾れない」という場合であっても、印象的な写真を額装して廊下に飾るなどすれば、思い出コーナーのできあがりです。

3.参列者やご近所に対する準備

自宅葬において、参列者やご近所に対して行う準備は、以下の3つです。

参列者リストを作る

自宅葬の参列者リストを作ります。式場が自宅なので、人数はかなり絞られるでしょう。

書く

親族に自宅葬を行うことを伝えておく

参列者リストを作ると、通常であれば葬儀に参列してもらうべき親族の中にも、参列を遠慮してもらわなければならない人が出てくるかもしれません。

そうした人には、後にトラブルにならないよう、事前に「葬儀は自宅で、ごく身近な人だけで行いたい」という意向を示しておくのがいいでしょう。

自宅葬を行う理由としては「本人の意思」や「家族みんなの意向」、「三密回避のため」といったものが使われます。

どんな理由であれ、「住み慣れた自宅から送り出したい」という気持ちを、熱意を持って伝えれば、理解を得られやすいと思われます。

参列の対象者ではない親族から「どうしても葬儀に出たい」と言われた場合は、葬儀の最中にテレビ電話をつなぐなど、オンラインを使った参列方法を提案するのも手です。

ご近所に自宅葬を行うことを伝えておく

自宅葬を行う場合は、自宅周辺の人の流れが変わるため、ご近所に挨拶回りをするのがマナーです。

通常は葬儀が発生してから行いますが、とくに親しい近隣の方には前もって伝えておくと、いざというときのやりとりがスムーズになります。

【まとめ】

自宅葬をしたいと考えている人のために、準備しておきたいことについて解説しました。

ただ、「準備しておけば、いざというときスムーズ」とはいえ、大切な人の死期が近づいていることを実感すると、何も手につかなくなるものです。

そんなときには、あえて準備のことは考えず、ご本人のそばに寄り添って過ごすことをおすすめします。

後悔のない見送りのため、愛する家族との時間を大切にしましょう。

スタッフが離席。家族だけの時間を過ごせる。
喪服でも、平服でも。ご家族らしい空間を。
棺桶にお絵かき。メッセージ。小さな子供の 記憶にも残る。
LINE追加&資料請求で五千円割引
ペットも同席。家族みんなで
お見送り。
監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。