今回は「あなたの街のあたたかな”ひなた”のような存在でありたい」と掲げるお葬式のひなたさんを取材させていただきました。お葬式のひなたさんは株式会社 ひまわりコーポレーションが運営しており、東京都世田谷区・府中市、群馬県前橋市、神奈川県川崎市など幅広い地域に拠点を構えています。この日は百合ヶ丘家族葬ホールにて社長の増井康高さんに話を伺ってきました。
(※本取材は2022年1月22日に行なっております)
お葬式のひなたの“寄り添い”とは?
前田:本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。まず、お葬式のひなたさんを知らない方に会社のご紹介をいただけますか?
増井:基本的に寄り添うことを主体としている会社です。ひなたという名前は、あたたかく寄り添っていくという想いを込めて作っているんですね。最低価格表示やお話を聞く時間を長くするなど心がけています。
前田:寄り添いという言葉がキーワードに出てきましたが、お葬式のひなたさんならではの寄り添い方はありますか?
増井:そうですね、最近だとご高齢の方にスマートフォンを教えています。近所の方と雑談をしているうちに、私のことを葬儀屋さんだと認識してくれます。そしたら、葬儀は増井さんの所でやって欲しいとご家族に言ってくれて。実際、お葬式になると私がご家族に「お母さんはこういう話をしていたんですよ。」みたいなことをプレゼンします。ご家族は故人様が望んでいた形で送り出せるので満足度が高くなります。
前田:なるほど...近所のご高齢の方とはどういう所で出会うのですか?
増井:んー。今もまたコロナが流行ってきていますけど、ご家族もあまり高齢の方の近くに行きたくないと感じている人が多いです。そのため、高齢者が孤立しているんですよね。そのような方にデジタル的なサポートをしながら、お話を聞く時間を作りたいなと思っています。
(右がお葬式のひなた代表の増井さん、左がインタビュアーの前田)
増井社長の葬儀業界への1歩
前田:増井さんが葬儀業界でお仕事を始められたのはどういうきっかけですか?
増井:最初に入った会社が潰れて、そのあとですね。私の親父が魚屋で、後を継ごうと思っていたら、私が大学在学中に親父が廃業すると言い出して。一応、工事現場の会社で働いてたんですけど、その産業廃棄物の不法投棄がバレて会社が倒産して路頭に迷っていました。その頃に祖母が死んだのかな。その時、「あの仕事(葬儀の仕事)いいな」と思いました。
前田:おばあさまのお葬式が印象に残ってたんですかね。
増井:そうですね。“お葬式って何なんだろうか”みたいなことを考えていましたね。
もっというと“死ぬって何なんだろうか”みたいな。スキンヘッドの人が着物着てなんか木の塊をバチで殴るみたいなものに何百万も払うのか、みたいなのがすごいあって。お葬式でみんなで集まるのはわかるけど、なんでこんなことをいちいちやるのかなと思いました。この時間は一体何なんだっていう疑問が最初のきっかけでした。
家族と向き合う時間
前田:なるほど。今はお葬式にはどんな意味があると考えていらっしゃいますか?
増井:お葬式は、とにかく長い時間、家族で一緒にいられるのが重要だと思ってます。今は元旦に一族が全員集まるのは難しいだろうし、一族全員でL I N Eグループを組んでいる家も少ないと思うんですよ。人生って血縁のない人と過ごしてる時間の方が圧倒的に長いので家族とは何となく会わなくなるじゃないですか。強制的に親族全員招集させる仕組みを作ろうと思ってもちょっと無理じゃないですか。「無理っす、私用事あります。」みたいになるんですけど。でもお葬式ってみんなで集まれるじゃないですか。それで定期的に家族を見直すみたいな時間は重要で、その時ぐらい嫌でも長く一緒にいるっていうのが“是”であると考えています。それでお葬式がこのスタイルのまま維持されているんじゃないかと思ってます。
(お葬式のひなたさんがこだわり抜いて作成しているパンフレット)
お葬式=装置
増井:実はお葬式が装置的になってるんじゃないかなと最近思ったりしています。
前田:装置...。葬儀業界のインタビュー記事はよく拝見しますが「”装置”を作ってます」という方は見たことないです...。
増井:お経の時間ってやたら長いじゃないですか。以前、アメリカンスクールの先生が亡くなって、アメリカの方達が大勢いらっしゃったことがあります。カタコトで日本語を喋れる長男さんがいらっしゃって、その方は「日本のお葬式は、すごいアップダウンが激しい」とお話くださいました。暗い部屋で呪文みたいなのを聞かされたと思ったら、その後宴会で盛り上がると...
お葬式の時に一番大変なのって、長男の奥さんだと思うんですよ。長男の奥さんって一番気を遣わなくちゃいけなくて、喪主がお母さんだとしても長男の奥さんがみんなに気を遣うじゃないですか。でも、お経を聞いてる時間帯は休めるんですよね。
前田:確かに。
増井:お葬式がよく出来てるシステムだから、現代まで残っているんじゃないかと。このシステムを排除してお金かかるからやめますと言ったら、別のシステムを持ってこないといけないとすると、それは難しいというのが私の見解です。だったら葬儀を普通にやっておいた方がいいと思うんですよ。
うちの会社って世田谷が本社なんですけど、世田谷のすぐ近くに国立成育医療センターという日本一大きい国立の子供病院があるんですね。そちらから、お子様のお葬式がよく入るんですよ。その中でも死産の方が多いんですね。死産って出生届けが出ないで、死産届が出るので、まだ日本人とか人間として、法的には認められていません。でも確実にご家族からすると、生まれてないけど、人ですよね。それを第三者目線で認めてあげることができる立場って私たち葬儀屋じゃないかなと。
ネットでも天使の旅立ちというブランドを作ってやっているんですけど、5年くらい前にあるお子さんの、お葬式をしました。そしたら、去年ぐらいにお母様から電話がかかって来たんですよ。泣きながら、「5年前に増井さんに子供の葬儀をお願いした○○と申しますけど...」みたいな感じで話し始めた内容がすごくて...
当時、全ての儀式が終わった後に「お仏壇を買った方がいいんですか?」と質問されたんですね。私はお仏壇はもちろんあってもいいいし、ゆっくり探していただいてもいいし、無いでもいいんですけど、ただ、毎日お参りしてくださいとか、毎日お花だけは絶やさないであげてくださいね、みたいな事を言って帰ったんですね。そしたら、そのお母さんは真面目に毎日それをやったんですよ。そしたら1年後にまた子供を授かって産まれたんですよね。ちゃんと産まれて男の子だったそうなんですけど、その子がすくすく成長して。
その子が3歳くらいになって、もうちょっと物心が付いた時に毎日お仏壇に手を合わせている行為について話をしようと思ってたんですって。
そしたら、その男の子が朝起きて来た時に、「僕もお姉ちゃんにのんのんしてもいい?」って聞いたんですって。それでもう涙が溢れて増井さんに電話しなきゃと思って電話したっていう話をしていて。つまり私が作ったフィクションじゃないですか。宗教上なんの言われもなくて、私が勝手にいったお花を絶やさずにお参りしてくださいっていう謎の装置を私が作ったわけですよ。私たちはそういう装置を組み立てるのが仕事で、その中身はご遺族とか、宗教者の方が行なっていくのかなって思っています。
(死産したお子様を送り出すサイトの一部)
前田:装置ってそういう意味なのですね。状況に応じてフィクションを用意する装置としての葬儀...勉強になります。
増井:最後にホールのご案内をしますね。ここは、親族控室というご家族が集まれる場所です。お別れの前夜にご親族同士ゆっくりお話ができるよう、居心地の良い空間を目指して時間をかけて設計しました。
増井:ここは、安置所です。火葬場の空き状況によってはしばらく安置する必要がある場合もあります。その間にゆっくりと故人との面会のお時間を過ごしていただけるようになっています。地域のインフラとして使っていただけるように、他の葬儀屋さんに貸し出すこともありますね。
増井:最後にここは式場ホールです。木目調に仕上げることで、あたたかい雰囲気を作り出しました。奥にある葬具もこだわり抜いて、特注品なんです。
前田:ここまで空間にこだわっていらっしゃるのですね。とても勉強になります。お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!
お葬式のひなたについて
会社名:株式会社ひまわりコーポレーション
住所:
【本社】〒157-0073 東京都世田谷区砧2-4-3
【府中】〒183-0033 東京都府中市分梅町4-1-1 2F
【群馬】〒371-0055 群馬県 前橋市北代田町462
【百合ヶ丘】 〒215-0003 神奈川県川崎市麻生区高石1丁目23-8
お電話番号:03-5727-0811
公式HP:https://sougi-himawari.tokyo/
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※本インタビュー企画に料金は一切発生しません
編集後記
初めて参列したお葬式を振り返ってみると、お経が長かったりお作法が難しかったりとなぜこんな儀式をしなければいけないのだろうか...と感じていました。増井さんのお話を伺い、葬儀の時間の組み方はご遺族を助けるシステムになっていると学びました。終活も広がってきていますが、生前から葬儀について決めている方は多くないと思います。生前にお葬式のひなたさんのように親しみやすい葬儀屋さんを見つけられると安心して最期を迎えられるのではないかと思います。