【墓じまい】増える理由とメリット・デメリットをわかりやすく解説

【墓じまい】増える理由とメリット・デメリットをわかりやすく解説

近年「墓じまい」という言葉が注目されていますが、なぜ多くの人が墓じまいを選ぶのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

墓じまいとは、従来のお墓を撤去することで、墓じまいが選ばれる背景にはさまざまな要因があります。

そこで本記事では、墓じまいをする理由や、墓じまいのメリット・デメリットなどを詳しく解説しています。

墓じまいについて知りたい方はぜひ最後までお読みください。


墓じまいとは?

墓じまいとは、 従来のお墓を閉鎖し、ご遺骨を取り出して別の場所へ移したり、散骨したりすることです。

近年、少子高齢化や核家族化、ライフスタイルの変化など様々な理由で墓じまいを選択する人が増えています。

墓じまいを行う場合、手続きや作業には一定の手間や費用がかかります。

まず、地域の自治体や墓地管理者との連絡や申請が必要です。

また、墓石や墓地の解体・撤去、納骨品の移動や処分など、様々な作業が必要となります。

そのため、墓じまいを行う際には、プロの業者や専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

墓じまいの件数が増えている理由

墓じまいの件数は、近年増え続けています。

厚生労働省の発表によると、墓じまいや墓を移す「改葬」の件数は、1998年から2022年で2倍以上に増えています。

【改葬件数】

1998(平成10) 7万263件
2003(平成15) 6万8579件
2008(平成20) 7万2483件
2013(平成25) 8万8397件
2018(平成30) 11万5384件
2019(令和元) 12万4346件
2020(令和2) 11万7772件
2021(令和3) 11万8975件
2022(令和4) 15万1076件

参考:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例

墓じまいが増えているのには、次のような理由が考えられます。

順番に見ていきましょう。

お墓の維持に経済的な負担がかかる

従来のお墓を維持するには、 毎年墓石の維持や清掃、墓地の管理費などの費用がかかります。

近年では、経済的な理由からこれらの費用を負担するのが難しいと感じる人が増えています。

特に、少子高齢化や核家族化が進展する中で、お墓の維持管理を担う人が不足していることも問題となっています。

墓じまいをすることで、これらの費用を大幅に削減することができます。

故人が生前から希望している

故人が生前から墓じまいを希望している場合もあります

近年では、故人が生前に自身の死後について希望を伝える「終活」が盛んになっています。

その中で、従来のお墓ではなく、樹木葬や散骨など、新しい供養方法を選択する人が増えています。樹木葬や散骨を選べば、それまでの先祖代々墓を承継する人がいなくなるかもしれません。その場合、生前に墓じまいを終えるか、墓じまいを希望しておく必要があります。

故人の希望を尊重し、希望に沿った供養方法を選ぶことは、大切な供養のひとつと言えるでしょう。

お墓の後継者がいない

少子高齢化や核家族化の影響で、お墓を継承してくれる人がいないというケースも増えています

後継者がいない場合、お墓を放置してしまうと、無縁墓になってしまう可能性があります。

無縁墓になると、供養してもらえないだけでなく、草が生い繁るなど地域住民の迷惑にもなりかねません。

墓じまいをすることで、無縁墓になることを防ぎ、適切な供養を続けることができます。

自然葬など埋葬方法が多様化している

従来のお墓以外にも、 樹木葬や海洋散骨 など、様々な埋葬方法が登場しています。

近年では、環境への配慮や宗教観の変化から、こうした自然を感じられる埋葬方法を選択する人が増えています。

自分が樹木葬や散骨を希望する場合、墓じまいをして先祖も同じように樹木葬や散骨を選ぶ場合があります。

墓地のスペースが不足している

都市部を中心に、墓地のスペースが不足しており、新たな墓地の開発が難しい状況です

都市化が進む中で、土地の希少化や高騰化により、墓地のスペースが貴重なものとなってきました。

そのため、家族や地域社会が「墓を維持することが難しい」「墓地を利用することができない」と判断した場合に、墓を撤去することが選択肢として考えられるようになりました。

墓じまいのメリット

墓じまいには、様々なメリットがあります。

ここでは、その中でも特に重要な以下の3つのメリットを紹介します。

  • お墓の維持の負担が軽減される
  • お墓の後継者問題が解消される
  • 限られたスペースを有効活用できる

詳しく見ていきましょう。

お墓の維持の負担が軽減される

お墓を維持する場合には、年間数万円の管理費がかかります

また、費用負担だけでなく、お墓の維持管理も遺族にとっては負担となり得ます。

お墓の維持管理には清掃、修繕、季節ごとの手入れが必要であり、これらは時間と労力を要します。

墓じまいをすることで、これらの負担を軽減し、大切な家族に安心を与えることができます。

お墓の後継者問題が解消される

墓じまいをすると、お墓の後継者問題を解消できます

後継者がいない場合、お墓の管理や維持が困難になることがありますが、墓じまいをすることでその心配をする必要がなくなります。

例えば、樹木葬や海洋散骨などの永代供養を選択すれば、後継者の負担を気にすることなく、安心して供養ができます。

また、墓じまいをすることで、お墓の場所を自由に選ぶことができます。

従来のお墓は、先祖代々受け継がれてきた場所にあることが多いですが、墓じまいをすることで、自宅に近い場所や、景色の良い場所など、希望に合った場所が選べます。

お墓を自分や子世代に近い場所に移すことで、維持管理できない問題が解消されます。

限られたスペースを有効活用できる

墓じまいをすることで、墓地のスペースが有効活用できます。
墓じまいをした跡地は、新たな墓地として活用できるからです。

また地方公共団体・自治体では、墓じまいに補助金を出しているところもあります。

これは無縁墓による地域や霊園の景観を損なわないなど、管理不備に起因する様々な支障を減らすためです。

墓じまいは、墓地のスペースを有効活用して地域の負担を減らすメリットがあります。

墓じまいのデメリット

墓じまいには、メリットだけでなくデメリットも存在します。

ここでは、以下の3つの主要なデメリットをご紹介します。

  • 感情的に辛い
  • 親族や菩提寺との関係が悪くなってしまうことがある
  • 墓じまいの費用がかかる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

感情的に辛い

故人を偲ぶ場としてのお墓を撤去することは、家族や関係者にとって感情的な負担が大きい場合があります。

特に、お墓を継承してくれる人はいないけれど、自分がまだ供養できる場合、その責任感から墓じまいをためらう人もいます

また、日頃から故人と交流が多く、深い愛情を持っていた場合や、事故や病気など、予期せぬ死を迎えた場合、気持ちの整理が追い付かず、墓じまいはより辛いものとなります。

墓じまいを検討する場合は、ご自身の感情と向き合い、十分な時間をかけて考えることが大切です。

周囲の人にも相談し、心の支えを得ながら、納得できる決断をするようにしましょう。

辛い

親族や菩提寺との関係が悪くなってしまうことがある

墓じまいを行うことによって、親族や菩提寺との間に軋轢が生じることがあります

墓じまいは、家族や親族にとって大きな決断です。そのため、事前に十分な話し合いを行い、全員の同意を得ることが重要です。

しかし、話し合いがうまくいかず、親族間で意見が対立してしまうケースもあります。

また、菩提寺がある場合は、寺院の承諾も必要となります。

寺院によっては、墓じまいを快く思わない場合もあり、関係が悪化してしまう可能性もあります。

墓じまいを円滑に進めるためには、事前に家族や親族、菩提寺としっかりと話し合い、理解を得ることが大切です。

墓じまいの費用がかかる

墓じまいには、様々な費用がかかります。

主な費用としては、以下のようなものがあります。

  • 改葬許可証など自治体の手続きにかかる費用
  • 墓石の解体費用や撤去費用、新しいお墓の費用
  • 新しい霊園の使用料や納骨料
  • 閉眼供養や法要などの寺院への費用

このように、墓じまいには様々な費用がかかります。

費用は、墓じまいの方法や規模によって大きく異なるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。

まとめ

墓じまいについて、増えている理由やメリット・デメリットをまとめました。

墓じまいは、墓地の整理や土地利用の変化、人々の生活スタイルや価値観の変化など、現代社会の変化や課題に対応するための選択肢のひとつとして注目されています。

墓じまいは、メリットとデメリットを慎重に検討し、家族や親族、菩提寺などと話し合って決めることが大切です。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。