粉骨を自分でするには?必要な道具や粉骨時の注意点について解説

粉骨を自分でするには?必要な道具や粉骨時の注意点について解説

「粉骨って自分でできるの」という疑問をお持ちですか。

実際には、ご遺骨を細かく砕く粉骨は、専用の道具を使って自分で行うことも可能です。

ただし、正しい手順を守ることが重要ですし、注意点もあります。

この記事では、正しい粉骨作業の行い方から、粉骨をする際の注意点まで、粉骨について詳しく解説しています。

興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。


自分で粉骨する際の大まかな流れ

自分で粉骨する場合、以下のようにご遺骨の保管状態により、粉骨までの流れが異なります。

  • お墓じまいの後、ご先祖のご遺骨を粉骨する場合
  • ご自宅に安置していたご遺骨を粉骨する場合
  • 火葬直後のご遺骨を粉骨する場合

ひとつずつ解説します。

お墓じまいの後、ご先祖のご遺骨を粉骨する場合

お墓に入っていたご遺骨を取り出して粉骨する場合は、 洗浄・乾燥の工程 が必要です。

これは、通常お墓に入っているご遺骨は、結露などで湿っていることが多いためです。

そのため、そのまま粉骨を行うと、粉状ではなく水を含んでペースト状になってしまいます。

以上のような理由から、お墓じまいしたご遺骨は、事前に洗浄と乾燥が必要です。

ご遺骨の洗浄

最初に行うのは、 ご遺骨の洗浄 です。

長年お墓に入っていたご遺骨は、湿気によりカビや黒ずみが生えているケースがあります。

自分で洗浄をする場合は、ご遺骨を優しく洗い、このカビや黒ずみを水で取り除きましょう。

業者に依頼すると、アルカリイオン水や専用の洗浄機を使用し、より細かい汚れを落としてくれます。

薬剤や漂白剤は、ご遺骨を傷める可能性があるため、使用しません。

ご遺骨の洗浄は、自分でもできますが、カビの生えたご遺骨を見るのに抵抗がある方は、業者に依頼することをおすすめします。

ご遺骨の乾燥

洗浄が完了したら、次は ご遺骨の乾燥 です。

湿気のある状態で粉骨を行うと、作業が困難になるため、しっかりと乾燥させることが重要です。

乾燥させる方法はいくつかありますが、通気性の良い場所で自然乾燥させる方法が一般的です。

自然乾燥は、洗浄したご遺骨を新聞紙やステンレス製のトレイなどに平らに置いて、自然の光を利用して乾燥させます。

業者に依頼すると、乾燥炉や乾燥室で乾燥します。

乾燥の時間は、ご遺骨の状態や乾燥の方法で変わりますが、12時間〜10日ほどかかります。

ご遺骨の粉骨

ご遺骨が十分に乾燥したら、 粉骨作業 に移ります。

これは、ご遺骨を細かい粉末状にする作業です。

粉骨する際には、ご遺骨を砕くための専用の器具や道具を使用します。

自分で粉骨を行う際は、ご遺骨に敬意を持ちながら、注意深く作業を進めてください。

詳しい粉骨の方法については、この後の「自分で粉骨する2種類の方法」の章で説明します。

自宅に安置していたご遺骨を粉骨する場合

火葬後、ご遺骨を自宅に安置していた場合、粉骨の前に ご遺骨の状態を確認 してください。

密閉された骨壺で安置していても、安置場所や安置期間などで、ご遺骨の状態は異なります。

ご遺骨が湿っている場合はご遺骨の乾燥

自宅で安置していたご遺骨を粉骨する場合、粉骨の前にご遺骨を乾燥しなければいけない場合があります。

なぜなら密閉された骨壺の中でも、不適切な安置場所や長期間安置で、ご遺骨が湿っている可能性があるからです。

以下のような場所に骨壺を安置していた場合は、乾燥が必要かもしれません。

  • 直射日光の当たる場所
  • 風通しの良くない場所
  • 水回りの近く

粉骨する前に、ご遺骨の状態を確認してください。

ご遺骨の粉骨

ご遺骨の粉骨は、そのまま 自宅で行うことが可能 です。

ただし、骨を砕く作業は見る人にとって快適なものではありません。

自宅で粉骨を行う場合、周囲の目を避けるようにしましょう。

また、風向きに注意し、粉骨した骨が周囲に飛ばないように気をつけることも重要です。

粉骨作業は、屋内や周囲が囲われた場所で行うことが望ましいです。

周囲の人々や環境への配慮を忘れずに行いましょう。

火葬直後のご遺骨を粉骨する場合

火葬直後であれば、ご遺骨は そのまま 粉骨できます。

洗浄や乾燥の手間が省けるため、粉骨を予定している場合は、火葬直後に行うとよいでしょう。

そのまま粉骨

火葬の前に粉骨を決めている場合、 骨を残さず遺灰になるまで焼く方法 があります。

通常の火葬ではある程度骨が残る火力で焼かれますが、この方法では火力を上げて灰になるまで焼き切ります。そのため、粉骨作業は必要ありません。

ただし、多くの火葬場ではご遺骨が残るよう火力が調整されているため、この方法ができる火葬場はまだ少ないです。

その場合は、火葬後に一旦骨壺に収めてから粉骨する必要があります。

自分で粉骨する2種類の方法

自分で粉骨する場合、次の2種類の方法に分けられます。

  • 手作業で粉骨する方法
  • 粉骨機器で粉骨する方法

順番に見ていきましょう。

手作業で粉骨する方法

手作業で粉骨を行う場合は、ご遺骨を手で砕いて細かい粉末状にします。

粉骨する方法はいくつかあります。

  • すり鉢や乳鉢に入れて棒ですりつぶす
  • 袋に入れて木槌などで叩く

法律では、粉砕する粒の大きさに具体的な規定はありません。

ただし、散骨を行う際には、刑法190条の死体等遺棄罪に抵触しないよう、砂と同じくらいの大きさである「2ミリ以下」にすることが一般的です。
砕いてから、ふるいにかけて細かくする必要があります。

作業は、力を入れすぎないよう丁寧に行ってください。

粉骨機器で粉骨する方法

粉骨機器 を使用すると、手作業よりも効率的に粉骨作業を行えます。

粉骨機器にご遺骨を投入し、機械がご遺骨を細かい粉末状に砕きます。

機器によって異なりますが、一般的には回転刃や振動板を使用してご遺骨を砕く仕組みです。

操作は比較的簡単で、適切な設定で機器を動かすだけです。

粉骨機器は、粉骨用でなくても、一般的に売られている穀物やスパイスを粉砕する粉末ミルなどが使用できます。

自分で粉骨するために必要な道具

自分で粉骨を行う場合に必要な道具は、以下のものがあります。

手作業と粉骨機器の場合に分けて見てみましょう。

手作業で粉骨する場合に必要な道具

手作業で粉骨する場合は、ご遺骨をパウダー状になるまで細かく砕くための道具が必要になります。

手作業で粉骨する場合は、以下のような道具を用意してください。

手袋 ご遺骨を扱う際に手を保護するため厚手の手袋
・粉骨作業をするための丈夫な袋
・粉骨したご遺骨を納めるための真空パックにできる袋
・木槌またはハンマー
・すり鉢とすりこぎ
・乳鉢と乳棒

上記のいずれか
・袋に入ったご遺骨を叩く棒
・すり鉢は溝の細かいもの
・乳鉢はできるだけ大きめのもの
刷毛 ご遺骨が見やすい黒毛がおすすめ
ふるい 編み目が2mm以下のもの

粉骨作業は、いっきに進められるよう、 すべての道具を準備してからはじめるといいでしょう

手袋

粉骨機器で粉骨する場合に必要な道具

粉骨機器を使用する場合は、それほど細かい道具は必要ありません。

手袋 ご遺骨を扱う際に手を保護するため厚手の手袋
粉骨したご遺骨を納めるための真空パックにできる袋
粉骨機器 粉末ミルやフードプロセッサー

粉骨機器は、適切に操作するためにあらかじめ仕様書をよく読んでからはじめましょう。

自分で粉骨する際の3つの注意点

粉骨を自分で行う場合は、以下の3つの点に注意が必要です。

  • お墓から勝手にご遺骨を取り出して粉骨しない
  • 作業は周囲への影響を考慮して行う
  • 精神的な負担への準備を整える

ひとつずつ詳しく解説します。

お墓から勝手にご遺骨を取り出して粉骨しない

粉骨をする際には、お墓からご遺骨を勝手に取り出すことはできません。

なぜなら、遺骨をお墓から取り出すには、法的な手続きを行う必要があるからです。

具体的には、お墓のある自治体から「 改葬許可申請書 」を入手する必要があります。

改葬許可申請書の手続き方法は、各自治体のホームページで確認してください。

作業は周囲への影響を考慮して行う

粉骨作業は、ご遺骨を細かく砕くため、粉塵が飛び散りやすくなります。そのため、 周囲への影響を考慮して行うことが重要 です。

具体的には、以下の点に注意しましょう。

  • 作業場所:粉塵が拡散しにくく、換気が十分な場所で行う。屋外で行う場合は、風向きや天候にも注意する
  • 服装:マスクやゴーグルなどを着用し、粉塵を吸い込まないようにする
  • 周囲への配慮:近隣住民に迷惑をかけないようにする

骨を砕く作業は、健康や環境に気を配るだけでなく、見ている人の気持ちや心のケアも考えながら行う必要があります。

精神的な負担への準備を整える

自分で粉骨することは、精神的な負担が大きくなります

亡くなった人との思い出や感情が深く関わってくるため、覚悟を持って行うことが大切です。

もし、精神的に不安がある場合は、専門業者に依頼することを検討しましょう。

専門業者は、経験と知識に基づいて適切に粉骨を行ってくれます。

まとめ

自分で粉骨するための情報をお届けしました。

ここで紹介したように、粉骨は自分で行うことも可能です。ただし、粉骨方法は様々であり、適切な道具や健康と環境面の配慮が必要です。

また、大切な故人の骨を砕く作業は、精神的に大きな負担も伴います。

そのため、粉骨は設備の整った、粉骨業者にお任せすることをおすすめします。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。