外国人が日本で死亡した場合の手続きや遺体の母国搬送について解説

外国人が日本で死亡した場合の手続きや遺体の母国搬送について解説

いざ、外国籍の友人に身内の訃報を伝えられ、その後の手続きや葬儀について相談されてすぐに手助けできる日本人は少ないかと思います。本記事では、外国籍の方が亡くなった場合に必要な各種手続きや葬儀の段取りについて解説します。

外国人が日本で死亡した場合の各種手続き

ご遺体を母国に送還する場合

ムスリムなど、宗教上の理由で火葬ができない場合 ご遺体のまま空輸 で母国に送還する場合があります。その場合の手続きについて解説します。

安置先の葬儀社を決める

病気で亡くなった場合は病院に、事故や事件で亡くなった場合は警察にご遺体があることが考えられます。いつまでもご遺体を置かせてもらえるわけではないので、安置先の葬儀社を早く決める必要があります。

このタイミングで選んだ葬儀社にその後の手続きを手伝ってもらう形がスムーズですので慎重に選びましょう。海外搬送(母国へのご遺体送還)を行っているか、エンバーミングが可能かなどをしっかり確認した上で選ぶと良いでしょう。
本メディアを運営している株式会社むじょうでもご遺体の海外搬送・外国籍の方のご葬儀のお手伝いをさせていただいております。事前相談やいざというときはこちらのフォームにお問い合わせいただくか、こちらの電話(050-3138-3737)までご連絡ください。

電話をかける人

死亡届を提出する

死亡届は死亡が確認された時に発行される死亡診断書や検案書についています。亡くなった方が日本に在住していた場合は日本人と同じく、 死亡届の提出が義務付けられています ので、住民票がある市区町村の役場に提出します。ただし、書き方に何点か違いがあるため注意が必要です。

  • 生年月日は西暦で記入する
  • 住所欄は日本の住所で良いが本籍地には母国の国名を記入する

このような細かい作法がありますので、こちらも葬儀社の手を借りながら手続きを進めましょう。

在留カード(特別永住者証明書)を返却する

次に在留カードもしくは特別永住者証明書を返却します。これらは 死亡した日から14日以内に親族又は同居者が出入国在留管理庁長官に返納 しなければなりません。

返納方法は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に直接持参するか、こちらの出入国在留管理庁のHP最下部にある書式を印刷し、指定の必要書類を添付した上で

〒135-0064 東京都江東区青海2-7-11 東京港湾合同庁舎9階 東京出入国在留管>理局おだいば分室あて
※封筒の表に「在留カード等返納」と表記

に送付して返納します。期限内に返納しないと罰金に処せられることがあるため注意が必要です。

書類

搬送先の国の規定を確認する

搬送先の国によって必要な書類等が異なってきます。こちらにつきましては、担当葬儀社が代行してくれますので心配ありません。ただし、必要書類の取り寄せや送り先情報等についてはご家族や同居人の協力が必要になるため、葬儀社からの問い合わせに対してはスムーズに返答できるようにしていてください。

エンバーミングを行う

次にエンバーミングを行います。エンバーミングとは、ご遺体の状態を保つための処置のことです。安置施設からエンバーミング施設へ移して行います。ご遺体の移動についても、葬儀社から説明がありますのでご安心ください。

空輸で母国へお帰りいただく

これらの手続きを済ませ、搬送先の国との連携が取れ次第、飛行機で空輸します。ご遺体は棺にお納めして貨物として飛行機に乗せることができます。フライトの手配や貨物としての持ち込みの手続きも葬儀社が代行します。

日本で埋葬する場合

長い間日本に住んでいた方や配偶者が日本人の場合、日本で葬儀を行い日本で埋葬してあげてほしいと希望されるご家族もいらっしゃいます。その場合の葬儀から埋葬までの流れについて解説します。なお、今回は日本での土葬のお話ではなく、火葬を禁じていない宗教の方で日本のお墓に入る場合について取り上げます。

通常の流れで葬儀を終え、荼毘に付す

仏式・キリスト式・神道式など、故人様の信仰に合う形で執り行ってくれる葬儀社を選びましょう。日本人と同じ流れで安置し、葬儀・火葬の日にちを決めます。本国から親族が来るなどの場合、安置の期間が長くなるためエンバーミングを行うこともあります。エンバーミングを行えば2~3週間程度、安心して安置できます。

配偶者がいる場合はその家の墓に入れることも

無事に葬儀・火葬を終えた後、埋葬の問題が出てきます。配偶者の家の墓をお寺が管理している場合はそのお寺に相談してみましょう。お寺によって考え方が違いますので、一概には言えません。

墓

配偶者の家の墓に入れなかった場合

配偶者のお家やお寺さんの事情で墓に入れなかった場合も諦める必要はありません。公園墓地の永代供養墓といって宗教・国籍問わず入れるお墓があります。

身寄りがない場合は宗教・国籍不問の永代供養墓へ

身寄りがない場合も宗教・国籍を問わない公園墓地の永代供養墓が現状の最も現実的な選択肢です。

日本で火葬して遺骨を母国へ送還する場合

国際便で遺骨を送る場合

日本での火葬を終え、遺骨を母国へ送る場合について、国際郵便で送ることができます。日本郵便が公開している国際郵便約款を確認しましょう。例えばフィリピンの場合は下記のような記載があります。

遺骨・遺灰の送付に必要な書類(火葬許可証又は火葬証明書、死亡届・死亡診断書の記載事項証明書等)は1枚の透明なプラスチック袋に入れて郵便物の外側に貼り付け、郵便物の名宛面に「Cremated Human Remains」のラベルを貼付すること。

国ごとに規則が異なるため、必ず確認してから送るようにしましょう。

飛行機に持ち込みご自身で運ぶ場合

遺骨をご自身で持って国際線に搭乗する場合、預けずに 手荷物として機内に持ち込む ようにしましょう。預ける荷物の場合、移動時に落とされたり他人の荷物の下敷きになってしまうことも考えられます。何か袋に入れるか包んだりして、遺骨とわからない状態で機内に持ち込み、座席上の荷物入れにいれましょう。

飛行機の手荷物入れ

また、遺骨を運ぶ際は「埋葬許可証」や「英文の粉骨証明書」を必ず携帯するようにしてください。

外国人が旅行中に日本で死亡した場合

ご遺体を安置した上で関係者に確認

外国籍の方が日本に旅行中に死亡する場合、「ご家族と一緒に旅行している」「ご家族は母国にいて1人で旅行している」など状況は様々です。

ご遺体のまま母国に搬送する場合も、日本で葬儀をあげる場合も、亡くなってすぐやるべきことは変わりません。 まずは葬儀社を呼び、ご安置 します。その時、安置の先を見越して葬儀社を選ぶことが肝心です。海外搬送を希望する場合は海外搬送やエンバーミングにも対応している葬儀社を選ぶと良いですし、国内で火葬する場合は一般的な葬儀社に依頼しましょう。

保険会社に確認

亡くなった方が訪日外国人向けの保険に加入していた場合、 葬儀費用や母国の搬送費用がおりる 可能性があります。中には死亡時の保障はついていない保険商品もあるため、保険会社に確認すると良いでしょう。

保険のイメージ

まとめ

いかがでしたでしょうか?外国籍の友人が日本で死亡した場合、本国のご家族も知らない土地での出来事に大変な不安を抱えることと思います。日本人として、少しでもご友人やそのご家族のお役に立てるよう、本記事をご活用いただけますと幸いです。

また、本メディアを運営している株式会社むじょうでもご遺体の海外搬送・外国籍の方のご葬儀のお手伝いをさせていただいております。事前相談やいざというときはこちらのフォームにお問い合わせいただくか、こちらの電話(050-3138-3737)までご連絡ください。

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前田 陽汰
前田 陽汰
株式会社むじょう 代表
2000年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部オーラルヒストリーゼミ所属。葬送習俗の変化に関する研究を行う。研究内容が評価され2021年度SFC STUDENT AWARDを受賞。2020年5月に株式会社むじょうを設立し、距離と時間を越えて故人を偲ぶオンライン追悼サービス「葬想式」、亡き母へ贈る父の日のメッセージ展示イベント「死んだ母の日展、棺桶に入り自身の生を見つめ直す体験イベント「棺桶写真館」などの企画・運営を行っている。