アメリカのお葬式の流れ・服装について解説

アメリカのお葬式の流れ・服装について解説

アメリカへ留学中や赴任中、現地の知人や友人が亡くなったら、アメリカでお葬式に参列することになるでしょう。国が違えば、葬儀での礼儀作法は変わり、宗教による違いもあります。慣れない地での葬儀への参列は、日本でのお葬式以上に緊張するはずです。

この記事では、アメリカのお葬式における、葬儀の流れやマナーについて詳しくご紹介します。日本ではあまり見ない文化や、宗教によるお葬式への考え方の違いなども解説して参りますので、ぜひお役立てください。

アメリカの葬儀の流れ

アメリカのキリスト教式のお葬式は、どのような流れで行われるのでしょうか。葬儀自体のおおまかな内容は、日本のお葬式と近いと言えますが、決して同じものではありません。

ここでは、故人に不幸があったことを知らせる訃報の伝達方法をはじめ、葬儀が執り行われる当日の流れについて、ひとつひとつ詳しく解説します。日本ではあまり見られない、海外ならではの文化や習慣にも注目です。

訃報を受けとる

「死亡広告(Obituary Page)」とは、遺族によって出される、故人が死亡したことを伝えるための広告のことです。主に新聞などに、訃報として掲載されます。日本で訃報を伝える際は、電話やハガキなどで行われることが多く、一般人が死亡広告を利用する例はほとんどありませんよね。

しかし、アメリカでは 一般人でも死亡広告を出すのが習慣 となっています。そのため、人々は毎日、新聞の死亡広告の欄をチェックしているようです。知り合いの死亡広告を発見した場合は、そこで場所や日時などの詳細を確認しましょう。また、最近は、地方紙の死亡広告をインターネットで検索することができます。

地方のお葬式であったり、新聞に目を通すことができない状況でも、インターネット上で場所や日程などの詳細を確認することが可能です。「お葬式は家族だけで執り行う」などという断り書きがない限り、お葬式にはできるだけ出席するようにしましょう。

英字新聞

通夜(Viewing)

日本での 通夜(Wake)は、アメリカでは「ビューイング(Viewing)」 と呼ばれており、主に葬儀が執り行われる会場で催されます。

ビューイングは、遺族にお悔やみの言葉を伝え、故人にお別れの挨拶をする場です。もし棺が開いていたら、故人に最後の挨拶をするなど、自分の好きなようにお別れをしましょう。

キリスト教に則ったお祈りでなくても大丈夫

アメリカのお葬式では、お祈りの仕方など、「故人が所属する宗教・宗派に、自身も完全に合わせるべきか?」と疑問に思うこともありますよね。

参列するお葬式がキリスト教式で行われる場合であっても、 自身がクリスチャンでなければ、キリスト教式に則ったお祈りをする必要はありません 。手を合わせるだけでも大丈夫です。故人に対するあなたの思いは、きっと届くことでしょう。

通夜(Viewing)のみに参列する場合も多い

日本では、あまり親しい間柄ではない場合、告別式には参列せず、お通夜だけに顔を出すことも多いです。アメリカにおいても、葬儀には欠席し、ビューイングのみへ参列するというパターンは珍しくありません。

ミサ(Mass)

葬儀は「ミサ(Mass)」 と呼ばれ、ビューイングの翌日に葬儀場や教会で行われます。神父・牧師のお話を聞いたり、聖歌・讃美歌の斉唱を行い、神へ祈りを捧げます。

後日 、「メモリアル(Memorial)」 と呼ばれる、お別れ会を実施する場合があります。メモリアルは、故人と親しい仲であった人々が参加し、 故人との思い出などをみんなで語り合うイベント のひとつです。

協会

埋葬

埋葬は、死亡広告に注意書きがない限り、遺族以外の参列者も立ち会うことができます。棺は、墓地までリムジンカーにのせて、パトカーの先導のもと運びます。パトカー、リムジンカーの次に、親戚や友人などの参列者の車が続き、墓地へと向かいます。

なんと、最後尾に関しても、パトカーや白バイがついてくれるのです。日本との大きな違いはやはり、パトカーが先導するところと、霊柩車を最優先するために一般の車が皆、道を譲るところでしょうか。道中の信号は全て赤色の点滅信号になるなど、警察や地元の方々が一丸となり、埋葬に向けて手厚くサポートしてくれます。

墓地に到着してからの流れ

墓地に到着したら、まずは神父・牧師のお話を聞き、みんなで黙祷を行います。お祈りを捧げ、各々が心の中で最後のお別れをした後、埋葬されるという流れです。

このような光景を、アメリカの映画やドラマなどで見かけたことがあるという方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

アメリカ墓地

アメリカの葬儀は土葬も多く選ばれる

アメリカの伝統的な埋葬法は土葬です。キリスト教の場合、イエス・キリストのような死後の復活が信じられていることから、土葬が選ばれてきました。ただ、現代では火葬の割合も増えてきています。もし、ご遺体が火葬される場合には、火葬場で最後のお別れを告げることとなります。

会食

アメリカのお葬式では、ミサや埋葬を終えた後に、遺族との会食があります。ミサや埋葬は午前中で終わることも多く、これらが終了すると、みんなで教会へ戻ったり近隣のレストランに移動したりして、いよいよ会食がスタートです。

教会へ戻り会食を行う場合は、ケータリングを手配したり、参列者がそれぞれ持ち寄った料理をみんなで食べたりします。日本でも、お通夜の後には「通夜振る舞い」、火葬の後には「精進落し」と呼ばれる会食がありますよね。

通夜振る舞いや精進落しは、やはりお葬式に関連する会食であることから、終始、寂し気な雰囲気で行われることが一般的です。しかし、アメリカのお葬式後の会食は、非常に明るい雰囲気が特徴です。

「故人との楽しかった思い出を語り合う」という点こそ共通していますが、アメリカでは「会食自体も楽しもう」といったスタンスです。日本と違い、アメリカでは「喪に服す」という考え方がありません。葬儀が終わると普通の生活に戻るのも、特徴の一つと言えるでしょう。アメリカにおけるお葬式への考え方の違いにつきましては、このあと、詳しく解説して参ります。

アメリカのお葬式に対する考え方による違い

1章で紹介したアメリカの葬儀の流れでは、「アメリカのお葬式に対する考え方は、日本と異なる」という一面が伺えたかと思います。しかしさらに、同じキリスト教でも、プロテスタントであるのか、カトリックであるのかによって、お葬式への考え方が違うのです。

アメリカでのお葬式へ参列する際は、それらに加えて、故人が所属する宗教・宗派のお葬式に対する考え方をしっかり把握しておくことで、より葬儀への理解が深まることでしょう。ここでは、アメリカの人々が考えるお葬式の在り方だけでなく、それぞれの考え方についての特徴も、簡潔にご紹介いたします。

アメリカの人々が考えるお葬式の在り方

アメリカの葬儀は、悲しみを遺族や参列者と共有する場というより、むしろ「故人の新たな旅立ちを祝福する儀式」であると考えられています。

遺族や参列者が悲しみの表情を見せるのは、ミサで棺桶の蓋が閉められる際だけであり、その前後は基本的に笑顔で行なわれるとすら言われています。葬儀を終えてから催される会食が非常に明るい雰囲気であることも、そのような背景が影響しているためでしょう。

「故人の新たな旅立ちを祝福する儀式」というアメリカの考え方は、残された家族や知人で悲しみを共有する日本とは大きく異なりますよね。しかし、これらの特徴をおさえておくことで、自身が参列する際にも他の参列者に雰囲気を合わせることができます。

私たち日本人にとって、そのような空間は慣れないものであると思いますが、終始浮かない表情ばかりだと逆にマナー違反であるととらえられてしまう可能性もあります。どの程度笑顔を見せたらいいのか分からない場合も、周りの参列者の様子を観察し、微笑んでみましょう。

プロテスタント・カトリックによるお葬式への考え方の違い

カトリックの考え方

「故人の生前の罪を悔い改めて、神へ許しを請う」

カトリックでは、主に、命を終えて肉体が滅んでも、霊魂は神の御許(みもと)に召されて、新たに永遠の生命が始まると考えられています。

プロテスタントの考え方

「故人は神のもとで安らかに眠るため、ひたすら祈りを捧げよう」

プロテスタントでは、死後は天に召され、永遠に神につかえるものとなると考えられています。1つの宗教の中でも様々な宗派があり、それぞれの宗派によって持つ意味はさらに異なってきます。今回はキリスト教を例にあげて解説しましたが、このような違いはどの宗教においても言えることです。

地域ごとに細かいしきたりがあったり、大切にされている伝統的な習慣があるのと同じでしょう。固定概念にとらわれず、臨機応変に対応できるということが、最も重要ですね。

アメリカの葬儀の服装

日本の場合、通夜は黒やそれに準ずる色のスーツ、葬式では喪服で参列するのが一般的です。女性の場合も、通常は、黒のワンピースやスーツで参列しますよね。

私たち日本人には「お葬式=黒」という考え方が当たり前に定着していますが、海外では意外にもそうでない場合が存在するのです。ここでは、アメリカの葬儀における服装のマナーについて詳しく解説します。

参列者の服装は、黒一色で統一しなくても問題ない

アメリカの場合、遺族と葬儀社の人々以外は、黒一色の喪服で統一する必要はありません。参列者は、男性はダークスーツに黒のネクタイ、女性はおとなしい色やデザインの派手でないスーツを着用します。宝石類も、控えめなものが選ばれるようです。

また、ビューイングに参列する人々は、仕事帰りであることも多く、派手な色を避ければ基本的には問題ないとされています。ミサに参列する場合、フォーマル寄りの服装にはなりますが、やはり黒一色で統一した喪服である必要はなく、派手でなければ明るめの色のスーツやワンピースであることも珍しくありません。

男性の場合、季節にもよりますが、ジャケットを着用せずに、落ち着いたトーンのブラウン、ネイビーやパープルといったカラーのワイシャツのみで参列するケースも多く見受けられます。地域による違いもありますが、「派手な色合いのもの・肌の露出度が高いもの・透けたり光る素材のもの」はマナー違反と見られるので、避けたほうがよいでしょう。

服装には、アメリカのお葬式への考え方が影響している

上記で紹介した通り、アメリカで行われるお葬式へ参列する際は、極端にドレスコードを逸脱する服装でない限り、特に大きな問題はなさそうです。

この背景には、2章で紹介した通り、アメリカでは葬儀を「故人の新たな旅立ちを祝福する儀式」と考えていることが多大に影響しています。アメリカの葬儀に参列する場合は、このような考え方の違いも事前に理解しておけると良いですね。

まとめ

今回は、アメリカのお葬式における、葬儀の流れやマナーについて詳しく解説しました。アメリカでは、およそ7割の方がキリスト教を信仰していると言われており、お葬式もキリスト教式に則って行われる場合が多く見受けられます。しかし、ご紹介した通り、アメリカには様々な考え方や文化の違いがあるため、日本で行われるキリスト教式のお葬式とは意外にも異なりますよね。

同じキリスト教でも、プロテスタントなのか、カトリックなのかによって、お葬式への考え方が違うのも興味深いものです。

なかなか知る機会が少ない海外のお葬式。日本国内のお葬式においても、「葬儀は重要なセレモニーなので、絶対に失敗を避けたい」と思う一方で、あまり頻繁に参列するものではないため、「礼儀作法についてしっかり把握しきれていなくて不安...」という方も多いことでしょう。

今回の記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

アメリカの友人を距離と時間を越えて偲びたい時

物理的な距離の関係で大切な人のご葬儀に参列できないこともしばしです。その時は、3日限りの追悼サイトを無料で作成できるサービス「葬想式」をご活用ください。

葬想式は招待制の追悼サイトを簡単に作れる無料サービスです。招待された人々がサイトに集い、思い出の写真やメッセージを投稿できます。

公開期間中(3日間)はいつでも、どこからでもサイトにアクセス可能です。

日本語、英語に対応しています。言語を相互に翻訳することも可能で、例えば英語で書かれたメッセージを日本語に翻訳して読めたり、日本語で書かれたメッセージを英語で読むことも可能です。

ご遺族はもちろん、ご友人も主催できるサービスです。「私がやってもいいのかな?」という戸惑いはあるかもしれません。

ご利用の際にはご遺族に一報を入れていただくことを推奨しておりますが、万が一連絡が取れない場合はご友人の一存で開式しても良いというスタンスで運営しております。

悲しみに優劣はなく、血縁の有無によって弔いの機会の有無が決まってしまわないようにという願い を込めているからこその運営方針です。

葬想式手元画像

今は亡き大切な人に想いを馳せながら、どの写真を投稿しようか昔のカメラロールを遡ったり、伝えたい言葉を紡ぐことで大切な人がもう亡くなった日常へと進む第一歩になるかもしれません。

昔のお写真がお手元になくても、言葉を綴ることはできます。たくさんの思い出で溢れる素敵な場で偲ぶ時間を過ごされてはいかがでしょうか?

ご遺族にどんな連絡をしたらいいかわからない、招待文を作るのが難しいなど、葬想式を開式する上でのハードルを乗り越えるお手伝いをさせていただきます。

こちらの公式LINEからお気軽にお問い合わせください。

また、こちらの葬想式公式サイトより、パンフレットの送付請求やサンプルページの閲覧が可能です。こちらも是非ご活用ください。

葬想式 お別れ会・偲ぶ会をお考えの方へ
葬想式 葬想式は3日限りの追悼サイトを作れる無料サービスです。
葬想式 葬儀に集まれなかった人にもお別れの機会を提供することができます。
葬想式 故人様の思い出の写真やエピソードを集められます。
葬想式 集まった写真やメッセージはオプションでアルバム「葬想録」として購入できます。
葬想式 詳細はこちら
公式 LINE で相談する
監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。