死亡後の年金はどうする?受給停止に必要な書類や手続きの流れを紹介

死亡後の年金はどうする?受給停止に必要な書類や手続きの流れを紹介

葬儀後には、いろいろな手続きが発生します。とくにお金に関わる手続きは、速やかに済ませたいものです。故人が年金をもらっていたという人は、葬儀後すぐに必要書類を揃え、手続きを行いましょう。また、同時に未支給年金の申請や遺族年金の手続きができるとスムーズです。必要になる書類や手続きの流れについて解説します。なお念のため、持参する書類については年金事務所に電話で確認すると安心です。

年金受給者が死亡した場合の手続き期日

年金は65歳から受給でき、偶数月の15日頃に2カ月分が振り込まれます。ただし、本人の申し出により受給開始年齢を遅らせた場合には、希望する年齢まで受給が始まりません。故人が年金を受給していたかは、日常的に使っていた通帳を見て確認しましょう。

故人が年金をもらっていたときには、相続人などが年金の停止手続きをしなければなりません。期限は、厚生年金が死後10日以内、国民年金が死後14日以内と期日までに時間がないのが特徴です。次に、もし年金の受給停止手続きを行わなかった場合にどうなってしまうのか確認していきましょう。

年金支給停止の手続きを行わなかった場合

もし年金の支給停止手続きをしなければ、故人の口座に年金が振り込まれ続ける可能性があります。放置しておくと、後で支給分を返還しなければならなくなったり、不正受給として問題視されてしまったりします。

「死亡届が受理されれば、年金も自動的に止まるのでは?」とお考えの人もいるでしょう。しかし、市役所と年金事務所のデータはつながっていません。そのため、個別に手続きが必要なのです。

ただし、日本年金機構は住民票コードの届出を推奨しており、加えて平成30年から、基礎年金番号で行っていた届出や申請をマイナンバーでできるようにシステムを改変しました。もし故人が生前に日本年金機構へ住民票コードやマイナンバーを届け出ているなら、死亡届の情報が年金事務所にも共有されるため、手続きは必要ありません。

故人が日本年金機構に住民票コードやマイナンバーを登録していたかどうかは、年金事務所に問い合わせてみましょう。

年金の支給を停止するための手続き

故人が日本年金機構に住民票コードやマイナンバーを登録していない場合、年金の支給を停止するには、年金事務所へ以下の書類を持参します。

  • 故人の年金証書(あれば)
  • 受給権者死亡届(年金事務所へ足を運ぶか、日本年金機構のHPより取得)
  • 死亡診断書のコピー、あるいは住民票除票など死亡の事実を明らかにする書類

未支給年金がなく、遺族年金等の申請もない場合、この手続きだけで終了となります。

死亡届

未支給年金は支給されない?

故人と生計を共にしていた家族がいる場合には、故人が亡くなった月までは、年金を受け取ることができます。 未支給年金がある場合は、年金受給停止手続きと一緒に未支給年金請求の届出を行いましょう。

未支給年金を受け取れるのは、 故人と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他三親等の親族 です。未支給年金請求は、故人が日本年金機構にマイナンバーを登録していても必要です。

未支給年金を申請するには、支給停止のための書類にプラスして、以下の書類を年金事務所へ持参しましょう。

  • 故人と請求する人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 故人と請求する人が生計を同じくしていたことが分かる書類(住民票など)
  • 未支給金受取口座の通帳
  • 未支給年金・未支払給付金請求書
    (年金事務所へ足を運ぶか、日本年金機構のHPより取得)
  • 故人と請求する人が別世帯であれば、「生計同一関係に関する申立書」
    (年金事務所へ足を運ぶか、日本年金機構のHPより取得)

遺族年金などの手続きは同時にできる?

年金に加入していれば、故人の年齢にかかわらず、遺族の続柄や年齢によって遺族給付が受けられる場合があります。 故人が年金受給者であった場合、遺族給付の種類は「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「寡婦年金」の3つです。どれも受給停止手続きと同時に行うことが可能です。それぞれ、給付の要件や手続き方法についてご案内します。

遺族基礎年金

故人が国民年金に加入していた場合、その配偶者や子が遺族基礎年金を受けられる可能性があります。遺族基礎年金を受けられる条件は、以下の通りです。

  • 18歳になった年度の3月31日までにある(つまり高校生以下の)子のある配偶者、あるいは子ども自身
  • 20歳未満で障害年金の等級1~2級である子のある配偶者、あるいは子ども自身

遺族年金の年金額は、以下の通りです。(令和4年10月現在)

  • 子のある配偶者が受け取るとき:777,800円+子の加算額
  • 子が受け取るとき:777,800円+2人目以降の子の加算額

〈子の加算額…一人目および二人目は各223,800円、3人目以降は各74,600円〉
【例】父が亡くなり母と子2人になるとき:777,800円+223,800円×2 = 1,225,400円

遺族基礎年金も同時に請求したい場合は、受給停止手続きのための書類とともに、以下を持参しましょう。

  • 故人と請求者との続柄が確認できる戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 故人の住民票の除票(住民票に含まれていれば不要)
  • 請求者の収入が確認できる書類(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 子の収入が確認できる書類(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 受け取り先金融機関の通帳等(請求者の名義のもの)

このほか、状況によって必要な書類があります。詳しくは年金事務所へ問い合わせましょう。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、故人が厚生年金に加入していた場合、故人によって生計を維持されていた遺族が受け取れます。年齢に制限はありません。受給額は、支給されていた年金額によって変わってきます。

遺族厚生年金も同時に請求したい場合は、受給停止手続きのための書類とともに、以下を持参しましょう。

  • 故人と請求者との続柄が確認できる戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 故人の住民票の除票(住民票に含まれていれば不要)
  • 請求者の収入が確認できる書類(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 子の収入が確認できる書類(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 受け取り先金融機関の通帳等(請求者の名義のもの)

このほか、状況によって必要な書類があります。詳しくは年金事務所へ問い合わせましょう。

住民票

寡婦年金

国民年金に加入している場合、故人である夫に生計を維持されていた妻は、60歳から65歳までの間に、寡婦年金を受け取れる可能性があります。寡婦年金の受給要件は以下の通りです。

  • 故人が、国民年金の第一号被保険者として保険料を納めた期間および保険料の免除期間が10年以上ある
  • 故人と10年以上継続して婚姻関係にある(事実婚含む)

寡婦年金も同時に請求したい場合は、受給停止手続きのための書類とともに、以下を持参しましょう。

  • 年金請求書
    (年金事務所へ足を運ぶか、日本年金機構のHPより取得)
  • 故人と請求者との続柄が確認できる戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 故人の住民票の除票(住民票に含まれていれば不要)
  • 請求者の収入が確認できる書類(マイナンバーを持参できる場合は不要)
  • 受け取り先金融機関の通帳等(請求者の名義のもの)
  • 本人の年金証書(年金を受けている場合)

このほか、状況によって必要な書類があります。詳しくは年金事務所へ問い合わせましょう。

【まとめ】

年金に関する手続きを一気に行おうとすると、必要書類がたくさん出てきます。戸籍謄本など、他の手続きにおいても重複する書類がある場合は、一度にまとめて取得しておくのがおすすめ。どんな手続きに、どんな書類が必要になるのか、一度洗い出してみると良いでしょう。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。