【老衰死の基本とその兆候】向き合うために家族ができること
老衰死とはどのような状態なのか疑問に思っていますか。
老衰死には、明確な定義はありません。病気や事故などの原因がなく、高齢で自然に亡くなった場合に老衰死と診断されます。
この記事では、老衰死とはなにか、どのような兆候があるのかなどを解説しています。
また、家族の老衰死と向き合うとき、何ができるのかについても説明していますので、老衰死について知りたい方はぜひ最後までお読みください。
老衰死とは
老衰死とは、 年齢に伴う身体の変化や器官の機能低下で死亡すること です。
老衰死を迎えるときの具体的な症状としては、以下のようなことがあげられます。
- 食欲不振
- 体重減少
- 倦怠感
- 息切れ
- 寝つきの悪さ
- 認知機能の低下
など
老衰死は、病気や事故による死などと比べると、自然で安らかな死といわれています。
しかし身内にとっては、家族がだんだん衰えていくのを見るのは辛いものです。また大切な人がいなくなることに、変わりはありません。
老衰死を迎える前に、言葉や行動で感謝や愛情を伝えるように心がけるといいですね。
老衰死の定義
老衰死は、厚生労働省の「死亡診断書記入マニュアル」で以下のように定義されています。
(6) 死亡の原因
一般的注意
④死因としての「老衰」は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然 死の場合のみ用います。ただし、老衰から他の病態を併発して死亡した場合は、医学的因果関係に従って記入することになります。
老衰死は、体の機能が徐々に衰えていくため、いつ亡くなるか予測するのが簡単ではありません。また、病気や事故などの原因がないため、 医学的に明確な診断が難しいこともあります 。
そのため、一般的には、自然な老化による死亡とされています。
老衰死は何歳から
老衰死の具体的な年齢や期間については、 医学的な基準は存在しません 。
医師によっては、平均寿命を超えた高齢者が病気を抱えていない状況で亡くなった場合、老衰と記載する場合があります。
また、現在日本では65歳以上を高齢者、75歳以上は後期高齢者と定義されています。そのため65歳以上で心臓や呼吸器、循環系の衰えが原因で亡くなった方は老衰死であるとする場合もあります。
いずれにしろ、老衰死と判断するかどうかは、医師に委ねられています。
老衰死の原因
老衰死の原因は、 身体の組織や器官が加齢により徐々に機能低下すること です。
一例として、加齢により血液の流れが悪くなると、赤血球やヘモグロビンを作る機能が低下して、貧血を起こしやすくなります。
貧血になると血液中のヘモグロビン不足により酸素供給が減少し、動悸や息切れ、胸の痛みなどの症状を引き起こします。このように、身体の組織や器官の機能が低下することは、さまざまな不調や病気を引き起こします。
それによって、運動能力が低下したり、食欲が減退したりして、最終的には体が弱り、死の原因となるのです。
老衰死の兆候
老衰死の主な兆候として、以下の3つがあります。
- 体力の衰え
- 食欲の減退
- 睡眠時間の増加
それぞれ詳しく見ていきましょう。
体力の衰え
老衰死の兆候のひとつは、 体力の衰え です。
老衰が進むと、筋肉量や骨密度が低下し、体力が衰えていきます。そのため、歩行や起き上がりなどの日常生活での動作が困難になったり、階段の上り下りが苦になったりします。
また、体力が低下することで、感染症や転倒などのリスクが高まります。
そのため、体力の衰えを感じたら、早めに医師や介護士に相談し、適切なケアをはじめることが大切です。
食欲の減退
老衰が進むと、 消化器官の機能が低下して、食欲が減退していきます 。また老化により味覚や嗅覚が鈍くなり、食事への興味が低下することがあります。
一方、食欲不振には精神的な要因も影響することがあり、孤独感などが食欲に影響を与えることも考えられます。
食欲が減退すると、身体のエネルギー供給源が減少して、体力の低下や免疫機能の低下に繋がります。
睡眠時間の増加
老衰死が近づくと、 睡眠時間が増える傾向にあります 。これは、老衰が進むと、脳や内臓などの機能が低下し、体が休息を求めるためです。
そのため、昼間でもうとうとしている状態が続きます。
また、脳機能の低下によって、眠りが深くなり、なかなか目が覚めなくなることもあります。肩を叩いても目を覚まさない、声をかけても反応がないといった状態も、老衰死の兆候のひとつです。
さらに、睡眠時間の増加は、睡眠中に口から栄養を摂取する機会が減るため、老衰死の進行を早める一因となります。
老衰死に対する家族の役割
大切な家族の老衰死に対して、家族ができる役割を考えてみましょう。
ここでは以下の4つをご提案します。
- 快適な環境づくり
- 本人への話しかけ
- 医師との連携
- 看取り後の準備
ひとつずつ解説します。
快適な環境づくり
老衰死が近づいた時、 家族は本人にとって快適な環境づくりを行うことで、安らかな最期を迎えるサポートができます 。
快適な環境にするためには、周囲に本人の好きな色や香り、音楽などを取り入れ、心地よく過ごせる状態を整えてあげます。
また、老衰死が迫っている人は足腰が弱くなり寝たきり状態であることも多いですが、自力歩行ができる人であれば、転倒やケガのリスクを減らすために、安全で安心できる環境づくりも重要です。
<快適な環境づくりの例>
- 足元の荷物を片付ける
- 家の段差をなくす工夫をする
このように、できることからはじめてあげてください。
本人への話しかけ
老衰死を迎える本人にとって、家族とのコミュニケーションは、生きる喜びや安心感を得るために非常に重要です 。
老衰すると、体力的にも精神的にも衰え、周囲とのコミュニケーションが難しくなることがあります。しかし、家族が積極的に話しかけることで、本人は自分の存在を認められ、安心感を得られます。
家族の声や触れ合いが、本人にとって心地よく、尊厳を保ちながら家族との繋がりを感じることで、穏やかな最期につながるといえるでしょう。
医師との連携
老衰死を迎える本人の身体的・精神的苦痛を和らげるためには、 医師との連携が不可欠 です。
医師は、病状や状態を正確に把握し、適切な治療やケアを提供する専門家です。
老衰の進行や予測を把握できると、家族は適切な対応がとれます。また医師と連携することで、家族は不安や疑問も解消できるでしょう。
医師と定期的に面談し、本人にとって最適なケアプランを立ててあげられるといいですね。
看取り後の準備
老衰死に向けての家族の役割としては、看取り後の準備があります。
具体的な看取り後の準備としては、葬儀の準備があります。
葬儀のスタイルや形式を検討し、葬儀社を選択し、参加者の連絡先を確認することで、いざというとき慌てることがなく、良い送り出しを迎えられるでしょう 。
まとめ
老衰死は、自然に逝くことのできる理想の死に方といわれています。
家族が老衰死の場合、天寿を全うして自然な最期を迎えたと感じ、ある程度は納得できるかもしれません。
しかし、自分の家族が果たして老衰死なのかは医師の診断により異なるといえるでしょう。
老衰死とは具体的にどのようなものなのか、そして大切な家族が老衰死で最期を迎えるために気をつけたいポイントについて、この記事がお役に立てればうれしいです。