リビング葬、自宅葬、邸宅葬、家族葬の違いは?アットホームな葬儀をご紹介。

リビング葬、自宅葬、邸宅葬、家族葬の違いは?アットホームな葬儀をご紹介。

「家族葬」という言葉をご存じでしょうか。言葉の感じから、「家族を中心とした、少人数の葬儀」とイメージする人が多いと思われます。ただ、実際には、少人数とは限りません。また、似たイメージの言葉に自宅葬や邸宅葬リビング葬があります。アットホームな雰囲気が魅力の3つの葬儀について、それぞれの違いやメリット、デメリットを解説します。

アットホームな雰囲気で見送れる葬儀が人気

従来、葬儀といえば故人や喪主に縁のある人がたくさん集まるものでした。親族のほか、地縁や社縁でつながった人々が訪れる「一般葬」は、 みんなで見送ることができる利点 はあるものの、遺族は次々と訪れる 弔問客や参列客の対応に追われ、気疲れする ことが少なくありません。

最近では、ライフスタイルの変化や人間関係の希薄化などにより、義理で参列する人を排して気心の知れた親族らだけで見送る葬儀が増えてきました。葬儀は 「お世話になった人たちに遺族らが感謝の意を示す場」から「残された近親者が故人を静かに見送る場」 という性質が強くなってきています。

本当に縁を感じる人たちだけで、故人を静かにゆったり見送る。「家族葬」「自宅葬」「邸宅葬」「リビング葬」は、そんな豊かな時間を持てる葬儀です。

自宅葬とは遺族や故人の自宅で葬儀をすること

自宅葬とは、葬儀専用式場などではなく、 遺族や故人の自宅で葬儀を行うこと です。葬儀の式場が自宅となるだけで、規模や形式については問いません。

ただ、自宅を式場にしながらたくさんの人に参列してもらうのは現実的ではないため、必然的に規模は小さくなります。一般的な住宅では、10人程度が理想です。

部屋の広さだけを考慮すれば20人、30人規模の自宅葬ができる家もたくさんありますが、人数が増えると、駐車場の手配や玄関の混雑解消など、準備しなければならない要素が増えてきます。洗面所が混雑する、貴重品管理が難しくなるといった不安も生じるようになります。

とくに最近では、コロナ禍による外出自粛、三密回避の意味合いから、限られた人を中心に自宅で行う自宅葬が注目されるようになってきました。

自宅葬では、大きな祭壇は飾らず、棺を中心に、参列者らが 故人の想い出を静かに語り合うような演出 が主流です。式場が大きくない分、参列者と故人との距離が近くなり、見送るという実感も得られやすくなります。

自宅葬 祭壇

家族葬とは親族を中心として葬儀をすること

家族葬とは、親族や故人と本当に親しくしていた人など、近親者を中心に営む葬儀です。故人や喪主の会社関係、親しくはないが近隣で同じ町内の人といった関係の薄い人には、参列を遠慮してもらいます。

つまり、 家族葬は式場を問いません 。親族中心の葬儀であれば、葬儀を行うのが葬儀式場であっても、自宅であっても、家族葬であるとされます。また、 規模も問いません 。親族がたくさんいる家であれば、100人規模の家族葬もあり得ます。

このように、式場や規模ではなく、参列者の範囲を限定するのが家族葬です。よって、「家族葬を自宅で行う」場合は、「家族葬」であり、「自宅葬」であるということになります。

邸宅葬とは貸し切り型の葬儀会館で葬儀をすること

邸宅葬とは、 一棟貸し切り型の葬儀会館で葬儀をすること です。大きな葬儀式場では、一日に何組もの葬儀が執り行われます。午前と午後の入れ替えも頻繁です。

一方で邸宅葬は、小さな邸宅風の会館を貸し切って通夜と葬儀が執り行われます。他の葬儀の参列客と行き交わないプライベートな空間を確保しながら、ゆったりと故人を見送れます。

もしかしたら、「ハウスウェディング」を思い浮かべていただくと、邸宅葬の雰囲気がわかりやすいかもしれません。ハウスウェディングでは、あたかもホームパーティーのごとく、貸し切った邸宅内のキッチンを使って手料理をふるまったり、庭でケータリングを楽しんだり、バーベキューをしたりします。

邸宅葬はあくまで葬儀なので、バーベキューのような華やかな演出はあまりされませんが、キッチンやバス、トイレなどの住宅設備が充実している邸宅を貸し切って儀式を行うところは非常に似ています。

つまり、邸宅葬は、式場が自宅でこそありませんが、プライベート空間に参列者を呼び込んで葬儀をするという意味では、自宅葬に限りなく似ています。葬儀社が用意してくれる、片づけや掃除が不要で設備がキレイな 「仮の自宅」を使って自宅葬をする という見方ができるでしょう。

自宅葬では会葬人数が自宅の大きさによって制限されますが、一棟貸し切りの邸宅葬なら、それほど人数を制限する必要はありません。ただ、邸宅の大きさによって、家族葬限定、●●名様までなど明確な条件があることも。確認が必要です。

百合ヶ丘家族葬ホール

リビング葬は自宅のリビングのような空間で故人を見送る葬儀

リビング葬とは、 葬儀社が用意するリビングのような空間で葬儀をすること です。リビング葬の式場には、祭壇や棺が設置されますが、同じ空間にソファセットがあり、隣にはダイニングキッチンがあります。まるで自宅のLDKを彷彿させるような部屋の中に、祭壇と棺が置かれているのです。

遺族や親族として葬儀に参列したことがある方であれば、「大きめの親族控室で葬儀を行う」とイメージしていただくといいかもしれません。邸宅葬と違うのは、このような「大きめの親族控室」が棟内に複数ある場合が多いことです。

リビング葬では、座り心地のよいソファがあったり、キッチンが対面式になっていたりなど、ゆったりとした空間の中で故人を見送れるような工夫が至る所になされています。ただ、そのぶん、大人数での葬儀には対応していない場合が多めです。くつろぎの空間で故人を見送りたいと思う人のうち、「自宅では気ぜわしい」「けっこう少人数の葬儀になりそうだ」という人に向いています。

まとめ

自宅葬、家族葬、邸宅葬、リビング葬の違いについて解説しました。葬儀社のホームページで邸宅葬やリビング葬といった言葉を見かけたとき、この記事を思い出してみていただければ幸いです。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。