株式会社むじょう2021年の活動を振り返る

株式会社むじょう2021年の活動を振り返る

2021年も今日で最後ですね。
弊社では、創業当時から掲げている「変化にもっと優しく」という理念のもと、死にまつわる事業や企画を創ってきました。年末という節目に2021年の株式会社むじょうの取り組みを振り返ります。
※「変化にもっと優しく」という理念に込めた願いは別の記事にまとめていますのでこちらをご参照ください。

葬想式

まずは、創業前から開発していた距離と時間を越えて故人を偲ぶオンライン追悼サービス葬想式について。
故人様と過ごしていた日常から、見守ってもらう日常への変化に際して、血縁の有無や物理的制約によってお別れを諦めないための機会を目指してきました。

お葬式の「思い出コーナー」をスマホ上に再現するイメージというとわかりやすいかと思います。本来の思い出コーナーはご遺族がお写真や思い出の品を用意し、参列者が観る形でしたが、葬想式では参列者も写真を掲示し、それぞれの思い出が寄せられる、全員参加型の思い出コーナーです。
まだまだ利用件数は少ないですが、今年は1回の葬想式で平均84名の参加者を集め、お写真は平均89枚、メッセージは平均78件と、通常のお葬式では創り出せない体験をお届けできました。また、国境を越えた葬想式のご相談もいただくなど、インターネットならではの価値を発揮できる機会も増えてきました。

リリース初期(2020年7月)はスライドショー形式の画面でしたが

2021年9月にリニューアルを行い、写真を一覧でみられる仕様に変更しました。

少しずつ体験が磨かれてきたのも、利用者の皆様に育てていただいたお陰様です。ありがとうございます。
また、メディアにも取り上げていただき、私達の力ではお届けできなかった方にお届けすることができています。

葬想式は「お別れを諦めない」というコンセプトのもと、金銭的な理由でご利用を諦めないよう、無料で提供しています。現在、開式時間を72時間に制限しており、集まった写真やメッセージも閉式すると閲覧できなくなってしまいます。お手元に残したい場合、アルバム(葬想録)をご購入いただきます。

折角デジタルで集めたのに、わざわざアナログな紙のアルバムにするの?という声をよく耳にしますが、ここにも葬想式のこだわりがあります。この葬想録についてはこちらの記事をご覧ください。
故人の写真をアルバムに?故人のご友人が持つ写真を集めて作る“葬想録”について

まだまだ必要としている方に届くサービスにはなれていません。引き続き、体験価値を磨き1人でも多くの方にお届けできるよう頑張ります。

死んだ父の日展

次に、今年6月に実施した「死んだ父の日展」という展示イベントについて。

お父様を亡くした方にとって、父の日は過ごし辛いになることもしばしです。そこで、天国のお父様宛に手紙を綴り、行き場のない想いを発散する場をインターネット上に作りました。
手紙を瓶に入れて海に投げ込む「ボトルメッセージ」をインターネットという海に置き換えるイメージでデザインしました。

他の参加者の手紙を読み、近い境遇の方の気持ちに触れることもできます。父との死別という人生における変化には、大きな感情の揺らぎが伴います。その感情をそのままに発散できる場を目指しました。
「正直、悲しくない」「ずっと恨んでいた」「亡くなって安心した」
このような感情も許容される、「綺麗事」では済まない想いもたくさん寄せられました。

この企画は、2021年5月9日の母の日にヒアリングさせていただいた方のお話から生まれました。その方はお母様と死別され、「世の中の母の日感がしんどい」と話してくださいました。それから、約1ヶ月後の父の日に向けて、企画・デザイン・開発を行ったという背景があります。
親との死別は誰もが経験する避けられない出来事だからこそ、両親がご存命の方への問いかけとしての意義も持ちます。誰かにとって幸せな日でも、別の誰かにとっては過ごし辛い日かもしれない。自分とは違う境遇の人の感情に思いを馳せることで心のリズムに変化を生み、日常の尊さを再認識するような機会になることを目指し、今後も定期的な開催を目指します。2022年は「死んだ母の日展」も開催できるよう、準備して参ります。

棺桶写真館

最後に、「棺桶写真館」について。棺桶写真館は、遺書を書き、本物の棺桶に入って自身の死に思いを馳せる体験型の企画です。

生きやすい時代になったからこそ、生きるリアリティを失いかけているのではないか、という問いから出発しています。「野垂れ死ぬ」という言葉がある通り、かつては人の死が日常にありました。その状態から脱しようと経済成長を目指し、今では野垂れ死ぬ人がほとんどいない社会を創り上げました。その過程で、あらゆる自然を排除し、分断してきました。
コンクリートで固められた地面。空調の効いた屋内。これらは自然をコントロールして得られた「効率」や「都合のいい状態」です。
生老病死という内なる自然も然りです。子供は保育園、生産世代は会社、老人は介護施設とできるだけ合理的に分けることで効率を求めてきました。
このように、人間は都合よく自然をコントロールできるようになってきました。しかし、コントロールできない自然が残されています。それが死です。
コントロールできず、得体の知れない事象だからこそ、怖がったり、忌み嫌う対象になるわけですが、「自分自身の死」に関してはうまく乗りこなし、生に活用できるという仮説を持っています。
締め切りがあるから宿題ができるのと同じように、死を人生の締め切りと捉えた時に、「締め切り効果」が生まれ、今という時間を生き切れるのではないか...
死が今に比べて身近だった時代は、他者の死と出会う中で「自分もいつかは死ぬ」ということを想像しやすかったはずです。しかし、今は人はいつか死ぬということすらわかりづらい世の中になっています。
そこであえて、今、死ぬ気はなくても遺書を書き、肉体の最終地点である棺桶に入って今を捉え直す機会を作りました。

それが棺桶写真館です。2021年は7月と10月の2回開催しました。

2022年も継続して、死との出会いの機会を作っていきます。本企画は不定期開催となっています。こちらの公式LINEにて開催情報を告知致しますので、参加をご希望の方は友達追加の上、お待ちください。

最後に

2021年も本当にお世話になりました。
諸行無常、株式会社むじょうという名に恥じぬよう、常に変わり続け、世の中に新しい価値を産み落とす会社を目指して2022年も精進します。
今後とも、株式会社むじょうをよろしくお願いいたします。

2021年12月31日 株式会社むじょう 代表取締役 前田陽汰

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葬想式 詳細はこちら
前田 陽汰
前田 陽汰
株式会社むじょう 代表
2000年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部オーラルヒストリーゼミにて、葬送習俗の変化に関する研究を行う。2020年5月に株式会社むじょうを設立し、距離と時間を越えて故人を偲ぶオンライン追悼サービス「葬想式」、亡き父へ贈る父の日のメッセージ展示イベント「死んだ父の日展」、棺桶に入り自身の生を見つめ直す体験イベント「棺桶写真館」などの企画・運営を行っている。
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