自宅葬をやりたがらない葬儀社がある理由は?

自宅葬をやりたがらない葬儀社がある理由は?

自宅葬とは、故人や喪主の自宅で葬儀を行うことです。

居心地のよい空間でリラックスしてお別れができる自宅葬ですが、葬儀社の中には「やりたくない」と敬遠するケースがあります。

「自宅葬を断られた」「自宅葬をしたいと考えているけれど、どこの葬儀社に依頼すればいいの?」といった経験や疑問のある人向けに、自宅葬をやりたがらない葬儀社がある理由ついて、そして自宅葬をお願いする場合の葬儀社選びについて解説します。

自宅葬をやりたがらない葬儀社がある理由

葬儀を行うことができる空間としては、葬儀社の専門式場のほか、公営の葬儀ホール、葬儀を可能としている公民館、お寺、そして自宅などが挙げられます。

葬儀社に依頼すれば、葬儀をする場所として広く認識されている場所であればどこでも葬儀が可能であると思うのが当然です。しかし、実際にはそうとは限りません。

葬儀社に「自宅で葬儀をしたい」と相談しても、「自社式場や菩提寺での葬儀しかやっていません」などと断られることがあります。それはなぜなのでしょう。主に、次の5つの理由が考えられます。

自社式場を使ってほしいから

自社式場を保有している葬儀社は、式場設営のためにたくさんの資本を投入しています。それを回収するためには、なるべく多くの人に葬儀式場を使ってもらうのが理想です。

「できれば自社式場を使って、式場利用料をいただきたい」 という気持ちから、自社式場を強くすすめる葬儀社があります。

また、自社式場にはスタッフが常駐していて「香典返しが足りなくなりそう」といったさまざまな変更に、速やかに対応することが可能です。自宅葬では対応が遅くなる可能性が高く、深刻なトラブルに発展しかねません。

このような事情から、自社式場を保有している葬儀社は自宅葬に消極的な傾向があります。

お葬式

設営に手間がかかるから

自宅で葬儀をするためには、程度の差はあれど、自宅を葬儀式場として装飾しなければなりません。式場とする居室の片付けは遺族がやるとしても、家財道具の目隠しに幕を張り巡らせたり、祭壇を自宅へ持ち込んで組み立てたりといった手間がかかります。

また、大人数が集まる自宅葬の場合は、混雑しがちな玄関周りや受付周りに工夫が必要です。玄関が狭い場合は靴を置く棚を設けたり、似通った靴が多いため間違い防止に下足札を用意したりしなければなりません。雨の日は傘立て、冬場ならコートかけや冷えがちな受付のための暖房を設置するなど、配慮しなければならないことにはキリがありません。

なかには一般家庭に適した小さなサイズの備品を保有していない葬儀社もあります。そうしたところでは、「自宅葬をやりたくてもできない」ということになってしまいます。

段取りが大変だから

自社式場での葬儀であれば、打ち合わせの時間や出棺時間などタイムスケジュールの組み立てをルーティーンで行うことができます。ところが自宅葬では、担当者の移動にかかる時間や、火葬場までの移動にかかる時間などを考慮してオリジナルのタイムスケジュールをつくらなければなりません。他にもイレギュラーな対応が多々あり、経験不足から自宅葬を断る葬儀社も少なくありません。

自宅葬

近隣に気を遣うから

自宅で葬儀を行うと、葬儀の日は自宅周辺で人の出入りが多くなり、車が頻繁に通ることになります。儀式の音や声が響いたり、線香の匂いがしたりなど、近隣はいつもと様子が違うことに戸惑うかもしれません。

ときには車の往来などで近隣とトラブルになることも。こうしたときは葬儀社が矢面に立って対応せざるを得なくなります。経験の浅い担当者には少々荷が重い仕事ですので、担当者の力量によって自宅葬を敬遠されることもあります。

自宅に社員を派遣する間、式場に人材が少なくなるから

自宅葬のため遺族の元に葬儀の担当者を派遣すれば、当然ながらその時間帯は自社式場に働き手が一人いなくなります。葬儀の担当者は、ひとつの家の葬儀だけを担当しているわけではありません。

また、手が空いているときは他の葬儀のサブに回るなどいくらでも仕事があります。大事な働き手がいない時間帯が長く発生するため「自宅葬はできれば回避したい」と考える葬儀社があります。

【まとめ】自宅葬をやりたければ、自宅葬に慣れている葬儀社を探そう

自宅葬をやりたがらない葬儀社がある理由について、お分かりいただけましたでしょうか。

以上のように、葬儀社の事情はさまざまです。

もし「自宅葬は、自社ではやっていません」といわれたら、自宅葬に慣れている葬儀社が地元にないか、探してみましょう。

自社式場を持たない葬儀社の場合、比較的自宅葬に慣れている担当者が在籍していることが多いです。

また、自宅葬専門の葬儀社もありますので、お住まいのエリアに対応している自宅葬専門葬儀社がないか探してみるのも良いでしょう。

一生に一度のご葬儀ですので、悔いなく希望が叶うことをお祈り申し上げます。

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監修・奥山晶子
監修・奥山晶子
株式会社むじょう 編集者
冠婚葬祭互助会に従事し、その後おもだか大学名義で「フリースタイルなお別れざっし 葬」(不定期)を刊行。現在は葬儀や墓など終活関連の記事を手がけるライターとして活動中。2012年より2年間、NPO法人葬送の自由をすすめる会の理事をつとめる。主な著者に『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』がある。