“不便さ”のデザインについて

“不便さ”のデザインについて

こんにちは、むじょう代表の前田です。

価値は不便な所に宿るのではないか、という話をします。
最近、メモリアルムービー制作のご依頼をいただきました。

葬儀のメモリアルムービーは、ご逝去から葬儀までの短時間で制作する必要があります。
そのため、既存のサービスは早く、良いものを作るパッケージになっています。画像データと、テロップを指定用紙に書き込み、制作会社に送る形が一般的です。最短で納品するために最適化されています。

この商品の価値は「納品されるDVDそのもの」です。もちろん消費者はそれを買っているので希望を満たしています。

弊社ではメモリアルムービーの制作に際して、スキャナを鞄に詰めてお客様のご自宅近くのファミレスまで伺い、写真1枚1枚をスキャンさせていただきます。

理由としては、写真1枚1枚をスキャンしながら思い出を語っていただく時間が価値になるからです。テロップを入れるために指定された書式の紙に写真の説明を書く「DVDを完成させるための作業」にしかなりません。

一方で、「これはいつの写真ですか?」「お母様の得意料理は何でしたか?」とお話を伺いながらスキャンする中で、思い出を整理していただくことができます。もちろん、テロップに使う情報は十分に語っていただけます。

このスキャンを終えた後、お客様はスッキリした表情で帰って行かれました。自分でスキャンしてデータとして共有し、さらにテロップも電子メールで共有できたら便利かもしれませんが、「話終わった後のスッキリ感」は得られないでしょう。

わざわざ写真を持って出かけ、初対面の人に亡くなった大切な人の話をするなど、不便極まりないサービスのようですが、これが良いという人は必ずいます。

うちの商品の価値は「DVDを制作する時間」です。これは購入する前には分からない類の価値です。やってみてはじめて分かります。

これは価値をシンプルに訴求していくマーケティングとは相性が悪く、口コミの相性がいいと考えています。「根掘り葉掘り聞かれていやだったわ」という感想が出れば、それに共感する次のお客さんは来ませんし、「色々話てスッキリしたわ」という感想が出れば、それに共感する(共感したい)お客さんがきます。

お客さんがフィルタリングされていくので結果的に価値を感じてくれるお客様に届けることができます。どこに引力を効かせ、どこにフィルターを効かせるのか。そのフィルターの設計に”不便さ”が寄与します。

弊社は今までBtoCの葬想式と、BtoBのクリエイティブ制作事業しかやってきませんでしたが、これからBtoBtoCのメモリアルムービー制作事業を開始するにあたり、こんなことを考えてみました。

弊社のムービーを置きたいとご検討くださる葬儀屋さんがいらっしゃいましたら、是非相談させてください。

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前田 陽汰
前田 陽汰
株式会社むじょう 代表
2000年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部オーラルヒストリーゼミにて、葬送習俗の変化に関する研究を行う。2020年5月に株式会社むじょうを設立し、距離と時間を越えて故人を偲ぶオンライン追悼サービス「葬想式」、亡き父へ贈る父の日のメッセージ展示イベント「死んだ父の日展」、棺桶に入り自身の生を見つめ直す体験イベント「棺桶写真館」などの企画・運営を行っている。
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